任天堂、Next Level Gamesを買収し子会社化。GC時代から共に戦うカナダの雄
任天堂は2021年1月5日、Next Level Gamesの全株式を取得し、子会社化すると発表した。子会社化にむけて、株主との間で株式譲渡に関する契約を締結したという。2021年3月1日に株式取得を実行する予定とのこと。
Next Level Gamesは、カナダのバンクーバーに本社を構えるゲームスタジオだ。スタジオを立ち上げた Douglas Tronsgard氏がもとより在籍していたのは、2000年代前半に『NHL』シリーズの開発に定評があったBlack Box Games(現: EA Black Box)。同氏が独立し、2002年に立ち上げたスタジオが Next Level Gamesである。設立当初はMidway Gamesと主に『NHL Hitz Pro』を開発。その後ホッケーを中心としたスポーツゲーム開発のノウハウを買われてか、ニンテンドーゲームキューブ向け『スーパーマリオストライカーズ』の開発を担当。その後Wii向けにオンライン対戦に対応した続編『マリオストライカーズ チャージド』を開発し、両作ともに安定した評価を獲得した。
この時点では任天堂からの仕事も請けており、『Spider-Man: Friend or Foe』の共同開発に参加していたが、任天堂とのタッグは続いていく。その後開発のゲームの幅を広げていき、リメイク版となるWii向け『パンチアウト!!』を任せられ結果を残すと、『ルイージマンション2』を任天堂と共同開発。『メトロイドプライム フェデレーションフォース』の開発を手がけると、さらには『ルイージマンション3』の制作も担当した。任天堂のプロデューサー田邊賢輔氏と共に、海外向け高評価タイトルを作り続けてきた。さまざまなジャンルの任天堂タイトルを、丁寧に仕上げてきたスタジオなのだ。
Next Level Gamesはオーナー役員および従業員がすべての株式を保有する会社だが、一部のオーナー役員が株式の売却を希望していたという。任天堂は Next Level Gamesを子会社化することで、同スタジオの開発ノウハウを含む開発リソースを安定的に確保することができる。また任天堂の開発チームとの緊密な連携・人材交流が可能となることでソフトウェアの開発スピードやクオリティ向上の効果が期待できるといった理由をあげ、全株式を取得することにしたと説明している。
任天堂が開発スタジオを子会社化することはやや珍しい。直近の事例でいうと、2007年にモノリスソフトを買収したことがあげられる。同社は『ゼノブレイド』シリーズなどオリジナルのヒット作品を生み出していることに加え、『どうぶつの森』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズなど、任天堂の大型タイトルの開発を支える側面を持つ。大型化する開発においては、支援する子会社も重要。役員の株式売却もひとつのきっかけかと思われるが、任天堂タイトルおよびプラットフォームへの理解が深いことも評価の理由だろう。任天堂タイトルの開発力がさらに底上げされることを期待したい。