ひきこもりRPG『OMORI』ついにSteamにて配信開始。執念で紡がれた、優しさと恐ろしさの不協旋律

OMOCATは本日12月25日、『OMORI』をSteamにて配信開始した。価格は1980円。現時点では日本語には非対応だが、PLAYISMによる日本語化が予定されている。

インディースタジオOMOCATは本日12月25日、『OMORI』をSteamにて配信開始した。価格は1980円。現時点では日本語には非対応だが、PLAYISMによる日本語化が予定されている。Steam版のリリースに際してPLAYISMの担当者より「クリスマスにもがんばってローカライズ進めております。なるべく早く皆様が日本語で遊べるようがんばります」とのメッセージが寄せられている。

『OMORI』は、「RPGツクール」にて開発されたRPG。主人公は真っ白な壁もない部屋に住んでいる、ひきこもりの少年OMORI。自分が何者なのか、なぜここにいるのかも分からず、謎めいた部屋に惰性で住み続けている。彼はふと突然、かすかに記憶に残る「この部屋に住む前の自分」のこと、そして大切な友達のことを思い出す。

彼は真実を知るため、奇妙な「2つの世界」を行き来する。出会った人々との交流や敵との戦闘を介して、隠された記憶や真実に向き合っていく。そしていつか、どちらの世界がリアルであるのかを、決めるのだ。ユニークなストーリーにRPGエッセンスを織り交ぜた作品として開発されている。


冒険の舞台となる2つの世界には、8つ以上のダンジョンが存在し、60以上のNPCが登場。かなりボリュームのあるゲームに仕上がっている。フィールド一面が細やかなピクセルアートと手描きイラストによって、時に幻想的に、時に不気味に描かれる。敵との戦闘には、4人のパーティーメンバーを4隅に配置したユニークなUIを採用。敵を含めた登場キャラクターや背景ビジュアルは手描きのアニメーションで描かれている。一見可愛らしい世界だけに見える本作、実は“「死」と「うつ病」というテーマを含んだ作品”でもある。ゲーム開始直後に該当テーマに関する注意文が表示される。

6年半以上の歳月がかけられ、執念のすえに完成に至った本作。Steamウィンターセール中、そしてクリスマス中という異例のスケジュールでリリースされたことを考えても、異彩を放っていることがわかる。以下は、OMOCATのリリースにあたり公式Twitterにて投稿されたメッセージの日本語訳である。翻訳は、PLAYISMのチーフマネージャーによるもの。その作品熱をトレイラーやメッセージで感じながら、Steamにて日本語版のリリースを待っていてほしい。


皆さん、こんにちは。
OMORIを今日、ようやくリリースします。
辛抱強く待っていてくれた皆さん、本当にありがとうございます。

このプロジェクトをアナウンスしてからどのくらい経ったでしょうか……。もう6年半、そして最初に決めていたリリース日からは5年半にもなりますね。

この間、痛みと罪の意識がわたしをずっと苛んでいました。
多くの人々を失望させ、裏切ってしまったんだ、と。このことを悔やまない夜はありませんでした。プレッシャーだけではなく、延期の発表をするたびに数多くの、強い非難が届いていました。中には誹謗中傷もあり、それを否定したい思いもありました。

でも、その代わりにゲームを作り続けることに集中しようと決めたのです。それが、今わたしがやるべきことだと。集中するのにちょうどいいじゃないか、と。結局の所、わたしが守りたいのは自分自身ではなく、このゲームのビジョンであり、このゲームをより良いものにすることなのですから。

OMORIプロジェクトはわたしひとりでは成し遂げられないことでした。チームのみんなのおかげで、今のOMORIがあります。仕事としてだけではなく、わたしを信じて、そして支えてくれた、その助けがなければ達成できなかったでしょう。このプロジェクトの終わりを見届けてくれた方々、皆さんに最大の感謝を捧げます。

このプロジェクトには信じられないほどの愛と、努力が満ち溢れていて、ゲームがそれをきちんと反映した形に作り上げること、それがわたしの責任でした。

…そして、それを実現できたと、思っています。

わたしたちのプロジェクトにこれほど長く付き合ってくれて、本当にありがとうございます。この感謝の気持ちはわたしだけではなく、チームのみんなからです。

ファンの皆様の中には、プロジェクト当初は子どもだった方もいるでしょう。わたしたちも、随分と成長してしまいました。
ようやく、ようやくお届けできます。

もちろん、まだまだやることは残っています。ローカライズ、コンソール移植、おそらく必要であろうパッチ修正、バッカーリワードの配布、攻略本とアートブックの作成、そのほかにもまだまだ……(。大変ですね、と思うかもしれませんが、全くそんなことはないんです。
なんと言っても、皆さんにゲームをお届けできたんですから!

わたしたちにとって、言い表せないほどの意味があるものを皆さんに届けられて、今はただ、幸せです。
皆さんが楽しんでくれること。
皆さんがわたしたちの愛を感じてくれること。
皆さんに特別な何かを与えられること。
そして、皆さんにとって大切な作品になることを願って。

OMOCAT

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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