『スマブラ』人気ファンゲームを作り続けた集団が商業作品として『Fraymakers』制作中。インディーゲームオールスター
『大乱闘スマッシュブラザーズ(以下、スマブラ)』の人気ファンゲーム『Super Smash Flash 2』を手がけた開発者が、商業ゲームとして『Fraymakers』を開発しているようだ。開発元McLeodGamingは現在Kickstarterにてクラウドファンディングキャンペーンを実施しており、目標額の6倍以上の資金(約3000万円)を集めている。
『Fraymakers』は、対戦格闘型のアクションゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)およびNintendo Switch。インディーゲームのキャラクターたちが、最大4人で戦うゲームになるという。システムとしては、攻撃によって相手の数字を蓄積させ、場外へと吹き飛ばす“スマブラ”形式が採用されているようだ。参戦キャラクターは現時点で以下の6名。
・Welltaro(Downwell)
・Orcane (Rivals of Aether)
・Ultra Fishbunjin 3000(Slap City)
・The Watcher(Slay the Spire)
・Octodad(Octodad)
・CommanderVideo (BIT.TRIP series)
これらのキャラについて、既存のアセットを流用するのではなく、ゼロからドット絵やアニメーションを制作しているという。さらに開発資金が集まれば、プレイアブルな参戦キャラを増やしていくそうだ。またプレイアブルではないものの、アシストキャラとして数多くの作品からキャラが参戦するという。アシストキャラは、それぞれの能力にて自動で攻撃してくれるというもの。すでに参戦発表済みアシストキャラ以下のとおり:
・Aine (Renaine)
・Captain Viridian (VVVVVV)
・Josef (Machinarium)
・Peppino (Pizza Tower)
・Lea (CrossCode)
・the Bard (Wandersong)
・Nikandreos (Apotheon)
・the Ape (Ape Out)
・the Shopkeeper (Downwell)
・Rockman (FTL: Faster Than Light)
・Tankman (Newgrounds)
・Lady Luck (Dicey Dungeons)
・the Silent (Slay the Spire)
・Fancy Pants Man (Fancy Pants)
・the Kid (I Wanna Be the Guy)
・Pizza (Chicory)
・Birthday (King of the Hat)
・Diogenes (Getting Over It with Bennett Foddy)
また『Fraymakers』は、対戦環境の整備とカスタマイズ性の高さを特色としている。本作は自社エンジンによって、常時60fpsでの対戦を実現。さらにロールバックネットコードを実装し、ラグを感じにくいオンライン対戦環境の実現を目指している。そのほか、『スマブラ』にはないシステムとしてエアダッシュ機能を実装。空中での駆け引きを深化しようとしているとのこと。シールドはキャラの前面にだけ有効にし、背後をとることを重視。本家を参考にしつつ、さまざまな変更を加えている印象だ。
さらにMcLeodGamingは同作専用のModツールFraymakersを開発中。ユーザーがキャラを作り出し、実装できるというものだ。レイヤーレベルでカスタムでき、思い通りのキャラを実現。自分で参戦キャラを作りゲームに実装、もしくはコミュニティに共有できるというのが、ひとつのポイントになっている。そのほか、ステージのギミックのオフ設定など、細かい設定も変更できるとのこと。
Kickstarterキャンペーンは、現在28万ドル(約3000万円)を集めている。ストレッチゴールについても数多く達成しており、プレイアブルキャラ数やステージ数、アシストキャラ数、スペシャル技数などが増加される。23万5000ドル(約2500万円)以上集まったことで、Nintendo Switch向けの移植も確定したという。開発資金を経て、制作が進められているようだ。
McLeodGamingはもともと、『スマブラ』ファンゲーム『Super Smash Flash 2』を手がけてきた集団だ。Flashベースの対戦アクションゲームとして、絶大な人気を獲得してきた。同作は『スマブラ』の世界をドット絵に落とし込んでいる点が特徴だ。2Dに落とし込む上で本家から変更している点もある。技の構成やキャラ性質が変更されているほか、『レイマン』シリーズのレイマンや『キングダムハーツ』シリーズのソラ、『ファイナルファンタジー』の黒魔道士、『ボンバーマン』シリーズのボンバーマン、『ちびロボ』のちびロボや『テイルズ・オブ・シンフォニア』のロイドを参戦させたりと、ファンゲームらしいアレンジがなされている。
『Super Smash Flash 2』は現在も公開されているが、危険性もある。同作のグラフィックやアニメーションは、自社エンジンによってゼロから作られているというが、IPを無断使用しているほか、音声などもオリジナルのものの利用が散見されており、リスクのあるゲームには変わらない。さらに『Super Smash Flash 2』はその名のとおりFlashベースのゲームであるが、Flashは2020年をもってサポートが終了する。ゲームの開発は続けられるようだが、プレイ環境は制限されるわけだ。セーブデータの頻繁な保存やダウンロード版でのプレイが推奨されるなど、これまでと同じようには遊べない。
そうした背景もあり、『Fraymakers』の制作にはかなり力が入っているようだ。すでに膨大な時間が開発には費やされているといい、同作を実際に商業化できるかはKickstarterキャンペーンで集まる資金次第とも語っている。昨今ではインディー作品のオールスターゲームはいくつかリリースされており、『Bounty Battle』や『Indie Pogo』といった作品があげられる。両作品共にそれほどユーザーレビューが集まっておらず、あまり注目を集めきれていない。インディーゲームオールスターというテーマそのものには、それほど訴求力はないのかもしれない。一方で『Fraymakers』は『Super Smash Flash 2』という実績があるからか、大きな期待が寄せられている。ファンゲーム開発にて培った技術力は、商業ゲームにて発揮できるのだろうか。
『Fraymakers』は、2022年初頭にSteamにて早期アクセス配信予定。正式リリース時にはNintendo Switchでの発売も予定されている。