『サイバーパンク2077』公式が光感受性発作に関する注意喚起。発作を起こしたという海外メディアからの指摘を受けて

 

『サイバーパンク2077』の発売をひかえるCD PROJEKT REDは12月9日、光感受性発作に関する注意喚起をおこなった。「本作では、作中の視覚的な演出によって、まれに光感受性発作と考えられる症状が出る場合があります。こうした症状のある方は、事前に医師にご相談ください」とTwitter上で伝えている。発作に関する警告は『サイバーパンク2077』のEULA(エンドユーザーライセンス同意書)にも記載されている。今後、安全性を高めるためゲーム内にも同様の注意喚起を実装する予定だという。「より恒久的な解決策については、現在開発チームが検討中」とのことだ。


CD PROJEKT REDが注意喚起をおこなうきっかけとなったのは、海外メディアGame Informerの記事。『サイバーパンク2077』のPC版レビューが解禁され、各種メディアが実際のプレイスルーにもとづく記事を掲載し始めている。そんな中、米海軍兵役中に負った負傷により光感受性発作の症状を持つLiana Ruppert氏が、同作プレイ中に発作をおこしたことを踏まえ記事を執筆。症状を持ちながらも同作を遊びたい場合、どういった点に注意すべきなのかを記すガイドを掲載した。

視覚拡張機能を含むサイバーウェアの装着が浸透した『サイバーパンク2077』の世界。その世界観の性質もあり、ゲーム全編を通してグリッチ演出が多用される。発売前のトレイラーでも確認できたジョニー・シルヴァーハンドとの交流シーンでは、薄青色の点滅がともなうグリッチ演出が使用されるため、同シーンでは画面から目を背ける、モニターの明るさを下げる、あるいはゲーム内の色彩調整系オプションに触れるなどして対策を取ることが、Ruppert氏より推奨されている。


また同氏は要注意要素として、ゲーム内の「ブレインダンス」を挙げている。ブレインダンスは、他人の記憶にアクセスして追体験するための神経テクノロジー。本作の住民は、有名人の記憶を追体験するといったエンターテインメント目的で使用している。主人公Vはこのブレインダンスを、自身が追っている事件に関する推理・調査目的で使用することになる。

Ruppert氏いわく、主人公Vがブレインダンス用のヘッドセットを装着する際、白と赤の激しいLED点滅が発生するとのこと。そのため、ヘッドセット着用のタイミングになったら画面から目を背けるか目を閉じるようアドバイスしている。Ruppert氏いわく、この光の点滅は、実際に神経科医が診断目的で発作を引き起こす際に用いられるものに似ているとのこと。ゲームの設定上、極めてリアルに再現されていると評価している。ただ、その演出の性質上、Ruppert氏自身、本当に発作を起こしてしまったと伝えている。ゲーム内でのヘッドセット着用時だけでなく、ブレインダンス起動中も、数々のグリッチ演出がともなうため注意が必要だと述べている。

*今年6月に配信された「Night City Wire: Episode 1」。ブレインダンスのゲームプレイは11:10〜より

CD PROJEKT REDは、このRuppert氏の記事を踏まえて光感受性発作に関する注意喚起をおこなった。「より恒久的な解決策については、現在開発チームが検討中」とのことで、グリッチ演出やブレインダンス関連の演出について、何かしらの変更がなされる、もしくは映像関連の設定項目が設けられるのかもしれない。

発作を引き起こしうるような、光・模様の点滅シーンが含まれるゲームというのは、何も『サイバーパンク2077』に限った話ではない。ゲーム起動時に注意文言を表示する作品も多い。また、ゲーム側で根本的な対策を取る場合、アクセシビリティのオプションを用意するというよりは、そもそも発作を引き起こしやすい描写を入れないよう配慮する必要が出てくる。この点、先述したRuppert氏は過去に、マイクロソフトの担当者とアクセシビリティに関するインタビューを実施。同社はコミュニティや専門家と連携しつつ、Xbox Accessibility Guidelinesの一部(感光性の項目)として、避けるべき点滅パターンの基準を設けている点に言及している。このようにガイドラインとして浸透することで、スタジオ単位ではなく業界としての改善が期待されている。


『サイバーパンク2077』は12月10日、PC/PS4/Xbox One向けに発売される。PS5/Xbox Series X|Sでも後方互換によりプレイ可能となり、2021年には最適化されたバージョンがリリースされる予定だ。