ゲームのUIデザインまとめサイト「Game UI Database」公開。ゲーム開発者向けのUI事例集/データベースを目指す


英国のゲームスタジオDouble Elevenに所属するシニアUIデザイナーEdd Coates氏は12月5日、ゲームのUIデザインをまとめるサイト「Game UI Database」を公開した。現時点で325作品・1万1569枚のスクリーンショットがデータベース化されており、画面用途・ジャンル・アートスタイル・操作デバイス・レイアウトなど、豊富なフィルター機能によって、ゲーム/スクリーンショットを検索できる。扱っているタイトルは『Apex Legends』『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』『ブラッドボーン』『Call of Duty: Warzone』『DOOM』『ゴースト・オブ・ツシマ』など幅広い。


ゲームのプレイ画面やプレイ映像を探すのは簡単でも、ゲームのUIに関する参考資料を集めるのは大変。そんな悩みを抱えるUIデザイナーが、同業者向けのデータベースサイトとして作り上げたのがGame UI Databaseだ。サイト発案者であるUIデザイナーCoates氏は海外メディアMashableのインタビューにて、「私の仕事の一番厄介な部分は、新しいプロジェクト用の参考資料を集めることです。知っているゲームのスクリーンショットを探すのは簡単ですが、世に出回っているゲームを把握しきっていない限り、新たなインスピレーションの源を見つけ出すのは難しいものです」と答えている。参考事例探しは、かなり手探りの作業になるわけだ。

UIデザインをデータベース化するにあたって課題となったのは、サイト利用者が求めている情報へと簡単にたどり着けるようなフィルター機能の作成であったという。そこで、どの画面のUIなのか、何の情報を示すUIなのか、何の機能に関わるUIなのか。そうした用途によるフィルタリングのほか、ジャンル・世界観・カメラ視点・操作デバイスなど細かなフィルター項目が設けられている。体力・装備品・スコア・ミニマップといったHUDの項目。スキルツリー・インベントリー・クラフト・ミッション結果といった画面単位でのUIなど、さまざまな項目で絞り込めるようになっている。

ダイアログボックス・字幕に関するスクリーンショットで絞り込み。本稿画像はEdd Coates氏のGame UI Databaseよりキャプチャー
アイテム入手画面で絞り込み


なお各UI画面に関する背景説明は最小限に抑えられている。Coates氏いわく、同サイトの狙いは、成功をおさめたタイトル群にて繰り返し採用されているパターンを見つけ出したいデザイナーに役立つ情報を提供すること。タイトルごとのアプローチ方法の違いを知ることが狙いであるため、細かな背景説明は除いているという。

Coates氏が所属するDouble Elevenは『マインクラフト ダンジョンズ』の共同開発を含め、数々のタイトルに関わってきたスタジオ。またCoates氏自身はフリーランスのUI/UXデザイナーとしても10年以上経験を積んでいる。Game UI Databaseには、そうしたベテランのUIデザイナーが選定した事例が集められているわけだ。玉石混淆ではなく、運営者によるキュレーションを経たデータベースなのである。あらゆるゲームを網羅する歴史保存ではなく、あくまでも実務的な用途を想定した作りとなっている。

同サイトは、Coates氏が住む英国がロックダウンに入った今年3月ごろから着手したプロジェクトとのこと。大量に生じた空き時間を使ってスクリーンショットを取り、ひとつひとつタグ付けするという作業を進めていったという。今後もアップデートを継続し、将来的にはユーザーからのスクリーンショット投稿も受け付ける予定

スキルツリー画面
インベントリー画面


Coates氏いわく、UIデザインは過小評価されがち。本来はゲームのナビゲーションを快適にするだけでなく、ビジュアル面でのアイデンティティやブランディングを明確化する上で要となる要素なのだと語っている。ゲームによってUIの設計がどれほど違うか、UIの違いによって受ける印象がどう変わってくるのか。そうした情報を仕入れられるという意味で、Game UI Databaseはクリエイターに限らず、広くゲームファンにとって参考になるサイトと言えるだろう。