『Apex Legends』実装前に死んだ男フォージ、1年経とうする今もなお存在感見せる。ギスギスする海外ファンコミュニティに爽やかな笑みをお届け

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海外の『Apex Legends』界隈が少々ギスギスしてきた今日この頃、「あの男」だけは変わらぬ“イジられ”っぷりを発揮しているようだ。シーズン7開幕以来、ファンコミュニティは少々きな臭い雰囲気が漂っていた。バトルパス改変に関する議論は日本にも波及したといっていいだろう。また12月2日より開催されているホロデーバッシュについても、スキンの“抱き合わせ”的な販売方法について国外中心に波紋を呼んでいた(関連記事)。海外掲示板Redditの『Apex Legends』板では連日ディスカッションスレッドが立てられ、開発者の無関係な投稿にも追及のレスが連なるなど少々神経が逆立っている昨今。そんな中ある投稿が思わずユーザーたちを脱力させ、高い評価を得ているようだ。 

「みんなスキンについて怒っているけど、私のメインキャラは第1日目からひとつも新スキンが実装されてないよ」。この文言とともに投稿者が添付したのは、何の変哲もないですボックスの画像だ。この1枚がなぜ2万1000件ものUpvoteを獲得しているのか、特に最近『Apex Legends』を始めたユーザーにとっては理解しがたいだろう。「スキンがひとつもないレジェンド」とは、今年1月に界隈をざわつかせた“悲劇の男”を指している。
  

 
シーズン4で追加されたレジェンドといえば、人造の悪夢こと殺人マシーンのレヴナントだ。今でこそすっかり試合環境になじんだ彼だが、そのお披露目に際してはきわめて特殊な演出が用意されていた。シーズン開幕以前の1月23日、『Apex Legends』運営チームはシーズン4に関する概要動画を公開。そこでは新武器の実装やランクシステムの改定内容とともに、新レジェンドとしてレヴナントではなく「フォージ」なる人物が紹介されていた。筋骨隆々たる肉体を有しており、格闘に特化した斬新な能力が特徴。近接攻撃の速度とダメージが強化されるパッシブアビリティ・大きく跳躍して着地時に範囲ダメージを与える戦術アビリティ・武器が使えなくなる代わりに戦術のCTが縮まるアルティメットアビリティと、これまでにない近接特化のレジェンドとして注目を集めていた。 

実装直前、『Apex Legends』の公式Twitterはアカウント名を架空のテレビ局の名称に変更。新レジェンドに対する取材を敢行するという体で、フォージ参戦にあたって他レジェンドが寄せたコメント集を投稿したり、他レジェンドとのデータ比較をしたりと盛り上げてきた。そしていよいよ実装直前、「テレビ局からフォージに対する直撃インタビュー」との名目でアニメーションが投稿された。事件が起きたのはその動画内だ。 
 

 
インタビューの最後、突如レヴナントがフォージの背後に出現。そのまま彼を刺殺し、フォージは絶命してしまう。その後、フォージ参戦を謳っていた公式サイトはすべて書き換えられ、レヴナントがレジェンドとしての参加権を奪取。シーズン4の追加キャラクターとして正式に発表されるかたちとなったのだ。また事件ののちしばらくの間、マップの仕分け工場へ行くと「フォージのデスボックス」が置かれているという小粋な(悪趣味な?)演出も見られた。調べると記念のガンチャームを入手することができた始末。レヴナントのサプライズ参戦は多くのユーザーに衝撃を与え、同時にデスボックス≒フォージという強烈な印象も与えた。先述の投稿は、『Apex Legends』ゲーム内にデスボックスとして登場して以来いちども出演機会が与えられていないフォージを茶化したジョークだったというわけだ。 

開発陣から、フォージはデータマイナーによる事前リークをかわすための壮大な「釣り」だったことが明かされている。しかし事件の衝撃度や、他のキャラクターにないマッシブな体格、格闘特化という特殊な仕様設定から、いまだにファンの間でフォージの人気は高い。かれこれシーズン3つ分を過ぎようかという現在もなお、フォージを“イジる”ネタは愛され続けている。また真面目に彼の参戦を望み続けているプレイヤーも少なくないようだ。 
 

*つい先ほど昏睡状態から目覚めたという投稿者。シーズン4でフォージが実装されるのを楽しみにしているという。 
 

*ファン手製の、フォージ“ゲーム内”モデル。なお開発陣より、実際の彼はモデルすら制作されていないことが明かされている。 
 

*『Apex Legends』ライターが各キャラクターとシナリオについて語った際の投稿。「いずれのレジェンドの物語も、どこかの時点で終わるということはありません」。「フォージを除いては」。 
 

年間を通じて愛でられているフォージだが、彼が『Apex Legends』に参戦する可能性は本当にないのだろうか。彼の参戦を一途に待ち望むユーザーは、あるスレッドでデザイナーのDaniel Zenon Klein氏に直撃している。しかし回答はにべもないものだった。本作はあくまでガンアクションとして制作されており、フォージに設定されていた能力は「プロトタイプすら作っていないクソ(shitpost)」であるとバッサリ。『Apex Legends』をあくまでヒーローシューターではなくガンアクションとして成立させる苦労は以前より語られており(関連記事)この物言いは説得力がある。また海外メディアdot esportsのインタビューにて、フォージの現状については「超死んでる(super dead)」と断言された。 
 

 
波乱万丈、あるいは波風ひとつ立てないまま儚く散った男・フォージ。そんな彼もあっという間に初登場から1年が経とうとしている。デコイとして作られた一発ネタのキャラクターながら、コミュニティに思いがけず愛される存在として大きな輝きを放っているといえるだろう。民衆のチャンピオンのアニバーサリーに際しては、もしかしたら何かサプライズが待っている……のだろうか。冒頭に挙げた投稿では、開発チームのAmusedApricotことDavid Bocek氏も「えーと、うちのフォージは白色や青色だったりしますよ」とノリノリでコメント。死せる男は、何かと議論の絶えないユーザー・開発者双方にクスリと笑みをもたらしてくれたようだ。 

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