YouTube、攻撃的なコメントを投稿するユーザーに“再考”促す。投稿者を守る新たなサービスが試験導入

YouTubeは12月3日、同社の動画投稿プラットフォームに、コメント再考機能を導入したことを発表した。投稿者を守る新たなサービスが試験導入された。

YouTubeは12月3日、同社の動画投稿プラットフォームに、コメント再考機能を導入したことを発表した。YouTubeはかねてからクリエイターを守るシステム導入を模索しているといい、再考システムはそのひとつであるようだ。

https://twitter.com/Fwiz/status/1334571711031771136


新機能の具体的な仕組みはというと、動画にコメントをする際に、YouTube側がコメントに含まれる攻撃的なコメントを検知。「Keep comments respectful(敬意をもってコメントしてください)」というポップアップが表示され、そのまま投稿をするか投稿を再編集するか選べるという。直前に投稿内容の再考を促しているわけだ。

もちろんこうした再考を無視することは可能。システムとしてはあくまで一度再考を促すのみで、投稿が差し止められるといったことはない。またどのようなコメントが攻撃的と判断されるかは、YouTubeのシステム判断に依拠する。システムは日々学習しているといい、そもそも攻撃的ではない投稿でもそうしたポップアップは表示され得る。その際にはYouTube側にフィードバックをすることも可能だ。同機能はまずはAndroidの英語ユーザー向けに試験導入されているそうだ。検知の精度が高まることで、今後はさまざまなデバイスや言語で有効化されるかもしれない。


投稿の再考機能については、ほかのSNSプラットフォームも力を入れている。Twitter社は、攻撃的なリプライを試みるユーザーに、投稿前に再考を促す機能を今年5月より試験導入。そのほか先日には、ユーザーがリンクをシェアする前にリンクを読んだかどうか確認するという機能を実装していた。各プラットフォームが、ユーザーがかっとなり他者を攻撃するのを防いだり、フェイクニュースを流さないようにしたりすべくさまざまな試みをおこなっている。YouTubeもそうした対策を進めているのだろう。

YouTube側の攻撃的なコメント対策は、再考促進に終わらない。たとえば現在クリエイター向けツールYouTube Studioには自動モデレート機能が実装されている。動画投稿者自身が内容を確認せずとも、悪意あるコメントを一定フィルタリングできるというわけだ。そのほか、2021年からは投稿者が性別や国籍など自分のプロフィールをYouTube側に任意で提出することで、収益化やイベント実施、差別対策をする上で有用なデータを作成するプログラムなども準備中だという。


YouTubeといえば、現在でも動画投稿者に向けて苛烈なコメントが寄せられることがあるプラットフォーム。投稿者を守るための施策、そしてヘイトスピーチ対策が十分ではないと批判されがちだ。しかしYouTube側もそうした部分には気を配っているようで、今回は同プラットフォームをインクルーシブなものにすべく進めている活動を一挙公開したかたちだ。その中ではヘイトスピーチへの取り締まりを強化していることも明かしており、2019年初頭から1日あたりのヘイトスピーチ削除数を46倍に増やしたほか、夏から秋にかけてヘイトスピーチをおこなうチャンネルを5万4000以上削除してきたと明かしている。手動と自動、そしてユーザーへの意識喚起。さまざまな方向での整備がおこなわれ、YouTubeがより健全なプラットフォームになっていくことに期待がかかる。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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