『Apex Legends』ウィンターエクスプレスは“使い回し”説に開発者が反論。背景にはスキン販売方法に高まるユーザーの不満
『Apex Legends』年内最後の期間限定モード「ウィンターエクスプレス」について、ちょっとした議論が起きているようだ。海外掲示板Redditにて、ユーザーと開発者の問答が繰り広げられた。
ウィンターエクスプレスは、12月2日より開催されているイベント「ホロデーバッシュ 2020」の一環として実装されたモードだ。普段のバトルロイヤルと異なり、3チームの少人数で争う特殊なルール。移動する列車の上で拠点を確保し続けるか、最後まで生き残ることで1点先取となる。3ラウンドで繰り広げられる、ハイペースな試合展開が特徴だ。2019年のクリスマスシーズンにて初出のモードであり、いくつかのシステムを洗練させて今年も復刻された。数ある期間限定イベントの中でも人気の高いウィンターエクスプレスの復刻は、古参・新規プレイヤーともに嬉しいプレゼントといえる。
ただし、一部のユーザーにとっては物足りなさも感じられたようだ。Redditにてホロデーバッシュ専用のスレッドが立ち上げられると、あるユーザーは今回のアップデートに際してパッチノートがあるかどうかを尋ねた。これに対し、ゲームデザイナーのDaniel Zenon Klein氏が反応。このたびはウィンターエクスプレスを実装しただけであり、次のパッチは1月となることを伝えた。すると、この返信にあるユーザーが不満を寄せる。今年のイベントは過去のモードのリブートに加え、スキンも復刻が中心。わずかなパッチノートもないとあっては、開発状況に不安を抱かざるを得ないと苦言を呈している。
このユーザーに対しKlein氏はきっぱりと反論を述べた。今年のウィンターエクスプレス実装に際し、多くの改善が図られたことを挙げたのだ。例として、今年のモードでは新たにサプライシップが追加。敗北したチームが高所から戦況を確認できるようになり、アドバンテージを得ることができるようになった。目に見える追加点としては停車駅の追加も挙げられるだろう。このほか水面下で待機時間を減少したり、ロードアウトの検討に数日を要したりと、時間をかけて今年の復刻に至ったことを説明。“手抜き”によるイベントの流用ではなく、多くの工数をかけて実装したことを強調した。
それでも議論は続き、ユーザーがレスを寄せる。投稿者はウィンターエクスプレスに対し改善が図られていること、同時にモードの復刻自体は喜ばしく思っていることを認めつつも、あくまで“使い回し”であることには変わりないと主張。ここでもKlein氏は反論を試みており、今年のウィンターエクスプレスに対しては新たなモード(「危険武装」が例に挙げられた)を実装するよりも時間がかかっていると述べている。
同時に、期間限定モードの実装についての困難もちらりと語られた。誰もが新モード追加を望むわりに、統計を見ると実装から3〜4日でプレイ人口が急落するとこぼしている。期間限定モードの実装は非常な労力を要するわりに、コストに見合ったユーザーの反響を得られないのが実情のようだ。Redditでユーザーが声高に求めるものと、プレイヤーが実際に遊ぶものには乖離があるため、限られた時間の中で何を実現するかはきわめて難しい判断になると語っている。
ウィンターエクスプレス復刻について議論が高まった背景には、ホロデーバッシュにおける別のフラストレーションも一因となっていそうだ。というのも、今年のイベント限定スキンの販売方法に対し、複数のユーザーから不満の声が上がっているのだ。多く指摘されている問題は「トレイラーで見られるレジェンドと武器のスキンの組み合わせがセットになっていない」という点だ。
たとえばトレイラーでは、「完全結晶」のスキンをまとったローバが「凍てつく怒り」スキンのスピットファイアを手にした姿が紹介された。いずれも青い氷の結晶をモチーフとしており、統一感のあるコーディネートとなっている。ところが実際にストアでバンドルとして販売されているものを見ると、ローバのスキンとセットになっているのはP2020の「季節の挨拶」スキン。こちらは赤と緑のクリスマスカラーをモチーフとしており、両者を組み合わせるとややチグハグな印象だ。代わりにスピットファイアのスキンは、クリプトの衣装とセットになっている。すなわちトレイラーで見たとおりのコーディネートを実現したければ、ローバのバンドルとクリプトのバンドル双方を購入しないといけないわけだ。
こうした見せ方と売り方のねじれが、「わざわざセットを2つ買わせようとしているのではないか」という不信感につながったようだ。同時に今年のクリスマス限定スキン新作はローバ・レヴナントの2種類、あとは再販品のみと控えめなラインナップ。ハロウィーンイベントでも既存スキンの色違い再販が中心だったことから、新スキン追加を期待するユーザー層から不満の声が高まっていた。まずスキン販売方法に対する不信感が基盤にあり、新コンテンツ不足への批判につながったのち、最終的に期間限定モードへの物言いへと波及していったといえるだろう。
スキン販売についての批判は、先述のスレッドでKlein氏に対しても直談判されていた。この訴えに対しKlein氏は、自身の管轄外であり、バンドルについてはユーザーと同じタイミングで知らされているに過ぎないと陳謝した。この回答に対してユーザーからは監督不足・責任逃れを追及するレスが寄せられた。Klein氏は、チームを運営するためには個々人の制約を踏まえつつある程度仕事を任せること、リードデザイナーとはいえ全員の仕事内容を把握することは困難であることを説いている。
なおスレッドではこのほかに、個別のユーザーの疑問についてKlein氏の回答が寄せられた。ウィンターエクスプレスでの実績がデイリーミッションとしてカウントされない点については、システムの違いと時間不足で調整できなかったと謝罪。将来のモードではデイリーチャレンジと期間限定モードの連動をぜひ実現したいとの意欲を示した。また各ロードアウト設定の意図については、基本的に「Sランクのメイン武器+Bランクのセカンダリー武器」で構成しているとのこと。ハボック+オルタネーターの組み合わせについては、ターボチャージャー付きハボックをSランクとみなしたものの、オルタネーターは「フルキットですらBランク未満だったかもしれません」との談。
ホロデーバッシュ 2020およびウィンターエクスプレスは2021年1月5日まで開催予定だ。
【UPDATE 2020/12/03 15:21】
「凍てつく怒り」スキン対応武器について、誤ってR-301カービンと記載していた箇所をスピットファイアに修正。