PS5転売業者、闇の実態が垣間見える。22歳にして400万円以上稼いだベテラン転売ヤーに、3500台以上を買い占める暗黒の秘密結社

各国でPlayStation 5の転売業者が暗躍を続けている。個人レベルから組織的に運営される業者まで、その形態はさまざまだ。たとえばアメリカでは、弱冠22歳にして、PlayStation 5の転売で4万ドル（約417万円）を稼いだという転売ヤーの存在が報じられている。「Mike F」と名乗る若者に対し、海外メディアBusiness Insiderが取材した。

Mike F氏は米国でPS5がローンチされて以来221台のコンソールを確保し、1週間足らずで4万ドルの利益を出したという。Business Insider記者が同氏のPayPalアカウントを確認したところ、確かにMike F氏が誇った通りの数字が確認できた。Twitterのダイレクトメッセージを通じておこなわれたインタビューによれば、同氏はbotと手動購入双方を駆使して200台以上のPS5を確保済み。まだ手元に在庫を抱える状態ながら、ホリデーシーズンを見越して、売り切るうえでの心配はしていないとのこと。

Mike F氏の転売歴は4年におよぶ。2016年から、スニーカーなどの転売を開始し、2017年には大学を中退。フルタイムで業務に打ち込むようになった。一銭でも利益が出るなら、合法である限り何でも売る、とうそぶく Mike F氏。夏には庭用プールを取り扱い、需要の急上昇にともなって2000台以上を販売したという。
　

　
Business Insiderによれば、今年のパンデミックによる経済低迷にともない、新たな収入源を求めた人々による転売行為がここ数か月で活性化。スニーカーやトレーディングカードといった高価なコレクター品を中心に、主にDiscordでオンライン取引がおこなわれている。もちろんPS5の潜在的な価値は多くの転売業者の目にとまり、瞬く間に“商品”として取り扱われるようになった。しかし、成功するかどうかには大きな分かれ目があったようだ。Mike F氏が競争の激しい市場で勝利したのは、以前から転売業に携わってきた経験値や各種ツールなどのリソースが大きなアドバンテージになったからだという。

Mike F氏はPS5ローンチに際し、在庫確保の計画を構築するのに10時間以上を費やした。なるべく多くの小売店で予約購入・サインアップするため、複数の友人に協力を依頼。報酬としていくらかの“給与”を支払いはしたものの、最終的な収益はみずからのものとしている。正式ローンチ後も予約数を増やし、店舗でハードを受け取り、状況に応じてbotも併用した。一連の手順はスニーカー転売のプロセスと同様だといい、すでに経験を積んでいたMike F氏にとって、何をすべきかは自明のことであったという。

予約戦争に苦しむ消費者にとって、品薄の責任は転売業者にあるとの怒りは共通認識だ。しかしMike F氏は、実態はそれほど深刻ではないと言ってのける。高値を払う気のない消費者はもう少し待つことになるだけであり、転売価格でも購入する人はいくらでもいる。シンプルな需要と供給の関係に過ぎない、とインタビューにて語っている。
　

　
Business Insiderは、英国の転売業者グループCrepChiefNotifyにも取材を敢行している。CrepChiefNotifyのマネージャーによれば同グループは、構成員全体で約3500台のPS5を確保したとのこと。グループはサブクリプション制で運営されており、会費は29.99ポンド〜399.99ポンド（約4200円〜5万6000円）。有料会員は、人気商品を確保するためのさまざまな転売補助サービスを利用できる。CrepChiefNotifyはサービス開始から1年程度にして、コアメンバーは12名に対し数千人規模の会員総数を誇るという。

ロックダウンの折、屋外バスタブの需要高騰と品薄に気づいたCrepChiefNotifyは、各小売店の在庫監視ツールを作成。そのツールを使い、PS5のストックが検知されるたび、メンバーに通達して買い占めさせる体制を構築した。その際、全員が最低でも1台のPS5を確保できるよう、botも稼働させてハードを獲得しているとのこと。待機時間を回避する、順番待ちをジャンプするといった種々のツールを駆使し、PS5の買い占めを進めている。次世代機の登場にともないbot開発者の需要も高まっており、スニーカー専用のツールから電子機器全般に利用可能な多目的botの開発が進んでいるという。
　

　
国内ソニーストアでは11月30日から本日12月1日にかけて、第2弾抽選販売の結果をメールにて通達中。現時点で、ソニーストアの各店舗での販売予定はない。