感染症ゲーム『Plague Inc: Evolved』にて“感染防止”新DLCリリース。感染拡大を許すな、予防と治療を軸とし人類の奮闘を描く

Ndemic Creationsは11月11日、伝染病シミュレーションゲーム『Plague Inc: Evolved』にてDLC「Plague Inc: The Cure」をリリースした。「Plague Inc: The Cure」は感染症予防と治療がテーマ。

インディースタジオのNdemic Creationsは11月11日、伝染病シミュレーションゲーム『Plague Inc: Evolved』にてDLC「Plague Inc: The Cure」をリリースした。配信済みの対応プラットフォームはiOS/Android。PC(Steam)/ PlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch版については追って配信されるとのことだ。『Plague Inc: Evolved』を所持しているプレイヤーには無料て提供され、その期間は「新型コロナウイルスが終息するまで」だという。
 

 
『Plague Inc.』は「伝染症」をテーマとした戦略シミュレーションゲーム。プレイヤーの目的は人類に仇なす危険な病原体を生み出し、疫病を蔓延させることで世界を滅亡させることだ。伝染症のタイプや感染国を引き起こし、病原体を広める。人類はワクチンを開発して抵抗してくるため、ウイルスを進化させたり、特性を変化させたりすることで人間の上手をいこう。伝染症の脅威だけでなく、人間側でも反ワクチン派が現れたり、フェイクニュースで社会が混乱に陥ったりと風刺的な時事ネタが多いのも特徴だ。

本作はオリジナル版のリリースが2012年という古株の作品だが、2020年に入ってからは状況が一変。新型コロナウイルス感染拡大が始まった2019年末には同時接続人数がピークの1万7000人を突破し、疫病に苦しむ世界情勢が重なったことで一躍人気を集めた。センシティブな話題に関連してしまったことで、中国App StoreにてBAN処分を受けるという思わぬトラブルに巻き込まれる事態も発生している(関連記事)。
 

 
予期せぬ追い風を受けた『Plague Inc: Evolved』だが、開発元のNdemic Creationsはジレンマも見せていた。同作は現実的で教育的な意義にもとづいており、実生活の深刻な出来事をセンセーショナルにするためのものではないと公式サイトで声明を発表。『Plague Inc: Evolved』はあくまでゲームであるとも強調しており、新型コロナウイルスについては保健機関などから正しい情報を得てほしいと呼びかけていた。その後も公式Twitterにて新型コロナウイルスに関する情報発信に尽力してきたスタジオ。ある意味偶然にも社会的影響力を背負ってしまったかたちだが、可能な限りその責任を果たそうとする姿勢を見せてきた。

そんなNdemic Creationsが新たにリリースする「Plague Inc: The Cure」は、ずばり伝染症の予防・治療をテーマとしたコンテンツだ。病の拡大を目的としてきたこれまでとは打って変わって、感染に対抗する人類を主役に据えたモードとなっている。プレイヤーは調査チームを世界中に送り出すことでゼロ号患者、すなわち最初の感染例を見つけ出す。感染拡大の経路を割り出し、検査の規模を拡大しながら地域での対応も支援するのだ。
 

 
伝染症拡大を調査・防止するために、プレイヤーにはさまざまな施策を打ち出すことが求められる。接触追跡やロックダウン、国境封鎖などを駆使してウイルスの蔓延を阻止しよう。病院を十分に用意しておくことで医療崩壊を防ぐマネジメントも必要となる。もちろん人々の手洗いを徹底させることも忘れずに。無計画に自粛を要請するだけでは人々は受け入れてくれない。休暇計画やその他の政策を具体的に打ち出すことで、コミュニティの支援と同意を得ることが大切だ。そしてもっとも重要なのがワクチンの開発。研究・生産・配布を慎重に進め、国際協調を図ることで伝染症根絶を促進しよう。

「Plague Inc: The Cure」の制作にあたっては、世界中の保険・伝染症専門機関の助力を得ている。感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)・世界保健機関(WHO)・Global Outbreak Alert and Response Network(GOARN)などが協力した。Ndemic CreationsのJames Vaughan氏はコメントにて、8年前にはゲームどおりの世界になるとは想像だにしていなかったと振り返る。複雑なトピックを本作に取り込むのはきわめて難題だったが、CEPIをはじめとする専門家のおかげで、本作が教育的で意義のあるものになったと自信を見せた。

CEPIのCEOであるRichard Hatchett氏も本作に寄せてコメント。接触追跡からワクチン生産に至るまで、「Plague Inc: The Cure 」は世界的な伝染症対策の複雑さをうまく表現し、国際協調の重要性に焦点を当てていると評価した。本作が教育や社会的関心を高めるためにきわめて大きな役割を果たすメディアだとして、Ndemic Creationsが率先して本作を制作したことに対し称賛を示している。
 

 
『Plague Inc: Evolved』はPC/Mac/Linux(Steam)/ PlayStation 4/Xbox One/Nintendo SwitchおよびiOS/Android向けに配信中。「Plague Inc: The Cure」は現在モバイル向けにリリースされており、PC/コンソール向けには追ってリリースされるという。

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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