稲作RPG『天穂のサクナヒメ』Nintendo Switch版の予約はPS4版の倍。コミケの声かけから任天堂の期待作に

XSEED Gamesのエグゼクティブ・バイスプレジデントは『天穂のサクナヒメ』のNintendo Switch版予約数が、PS4版の倍に及ぶことを発表した。期待度の高さが現れている。

XSEED Gamesのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるKenji Hosoi氏は、Siliconeraのインタビューに答え、『天穂のサクナヒメ』のNintendo Switch版予約数が、PS4版の倍に及ぶことを発表した。XSEED Gamesは『天穂のサクナヒメ』の北米版およびSteam版を担当。北米における予約数にて、Nintendo Switch版がPS4版を大きく引き離しているのかもしれない。


『天穂のサクナヒメ』は、和風RPGだ。国内のゲーム制作サークル・えーでるわいすが開発を手がけており、ジェムドロップなども制作に協力している。主人公となるのは、武神と豊穣神を両親に持つサクナヒメ。神の都でぐうたらな毎日を過ごしていたサクナヒメは、ある日神界に迷い込んだ人間を都に侵入させたことで、主神から処罰を受けることに。代償として鬼が支配するヒノエ島を探索することとなる。

本作では農具を使ったさまざまな武技と、羽衣を使ったアクションで鬼と戦う。サクナの持つ羽衣は伸縮自在で、羽衣を使った移動やかみや投げといったアクションが可能。鬼を浮かせて敵にぶつけたり、農具による連続攻撃も使いながら、鬼退治が繰り広げるのだ。また人間たちが暮らす集落では、稲作ができる。田植え、稲刈、脱穀など8工程を経て良質の米を収穫すると、豊穣の神であるサクナが成長して、強くなっていく。作った米や食材を組み合わせて料理を作り、食事することでも能力が強化され、サクナは普段以上の力が発揮できるという。

https://twitter.com/nal_ew/status/1324190534039040002


本作はPC(Steam)/PS4/Nintendo Switch向けタイトルであるが、Nintendo Switchタイトルとしての露出も多い。予約数が多いことについても、その現れだろう。というのも、本作については任天堂も積極的にプッシュしているのだ。たとえばE3 2019においては、『ポケットモンスター』シリーズや『あつまれ どうぶつの森』などと並んで、Nintendo Treehouseにて取り上げられ、開発者であるなる氏とこいち氏が登場。ニンテンドーオブアメリカのスタッフと共に、ゲームプレイを披露した。Treehouseではほかにもインディーゲームとして『Hollow Knight: Silksong』なども特集されたが、大きな抜擢であったことには間違いないだろう。その後もトレイラーやNintendo Directにて『天穂のサクナヒメ』は頻繁に取り上げられるなど、Nintendo Switchタイトルとして期待が寄せられていることがわかる。


しかし同作は、最初はNintendo Switch向け展開を予定していたわけではないようだ。開発者であるなる氏は、コミックマーケットにて任天堂からお誘いを受けたと語っていた。もともとNintendo Switch展開に主要スタッフのなる氏とこいち氏が興味を持っており、さらに誘いを受けたことでNintendo Switch向けリリースへと前進したようだ。同プラットフォーム対応に着手し、1週間ほどで基本的な動作が完了したことも明かされている。

XSEED GamesのHosoi氏によると、任天堂に声をかけられた当初は、発売スケジュール変更が必要になるため、承諾を躊躇していたようだ。しかし、任天堂側の熱意を感じ取りNintendo Switch版の発売が決定したとも語られている。
【UPDATE 2020/11/10 21:40】
なる氏は、Nintendo Switch版の開発は『天穂のサクナヒメ』のスケジュールに影響していないと再度明言している。


任天堂は近年、こうしたインディーゲーム開発者とのリレーションに力を入れており、さまざまなイベントにて担当者が姿を見せている。光るタイトルを見つけては声かけ営業をおこなっており、こうした担当者の地道な努力がNintendo Switchにおけるインディーゲームの賑わいを担っているといっても過言ではない。コミケから始まり全世界向けのお披露目を果たした『天穂のサクナヒメ』への注目度の高まりおよび予約数の好調っぷりの背景には、こうした担当者のアプローチがあったわけだ。もちろん、XSEED Gamesやマーベラスの同作への理解および愛情もまた、販促において重要だったのだろう。逆に言えば、イベントなどに出展していれば、同様のチャンスが得られる可能性もゼロではないということである。えーでるわいすはもともと実績あるサークルだということを差し引いても、ひとつのインディードリームとも表現できるかもしれない。

『天穂のサクナヒメ』は、11月12日発売予定。価格については、Nintendo Switch/PS4版はパッケージ版・ダウンロード版ともに税別4980円となっている。PC(Steam)向けにも同日発売予定だ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

Articles: 5183