『ウォッチドッグス レギオン』では、復讐のサイクルを生み出す「人物関係システム」も見どころに。本人ではなく家族を狙って報復するプレイヤーたち

 

全住民を操作できるという実験的なオープンワールド作品『ウォッチドッグス レギオン』。いろんな住民を仲間にできる(関連記事)だけでなく、各住民に人物関係・1日の行動パターンなどが設定されている。とある住民をうっかり車両でひき殺してしまうと、その住民の家族・友人の好感度が下がり、場合によっては攻撃してくるといった連鎖反応が起こるのだ。

そうした住民の採用・生活システムを物語と有機的に繋げられているかというと、首を横に振らざるを得ないものの、人間観察やロールプレイの場としては、なかなか興味深いものがある。実際、ユーザーの反応を見ていると、人間観察・ロールプレイの場として本作を楽しんでいる様子がうかがえる。

住民ひとりひとりの人物関係を確認できる



たとえばredditユーザーのWigglingWeiner氏は、『ウォッチドッグス レギオン』ならではの体験として、自身のエピソードを紹介。同氏にはお気に入りのキャラクター/工作員がいたのだが、敵対組織であるアルビオンの兵士に背後から射殺されてしまった。怒りを覚えた同氏は、憎きアルビオン兵のプロファイルを覗き、人物関係を調べ上げる。アルビオン兵に親友といとこがいることを知ったWigglingWeiner氏は、操作キャラクターを殺し屋に切り替え、独自に設けた任務に挑む。翌日アルビオン兵が親友と会う時間帯になるまで待ち、アルビオン兵の目の前で、親友を射殺。そう、相手の大切な人をひとりずつ奪っていくという報復プレイである。

アルビオン兵はさぞショックを受けたことだろうと、復讐の喜びを覚えたWigglingWeiner氏は、続いて標的をアルビオン兵のいとこに移す。雨が降り注ぐロンドンの憂鬱な夜の街にとけ込んだ殺し屋は、一杯ひっかけて楽しんでいた、アルビオン兵のいとこに、アサルトライフルの弾薬をありったけ食らわせる。さらにその蜂の巣になったいとこのプロファイルから兄弟の居場所を割り出し、暗殺。こうして人物関係を追っていくことで、憎きアルビオン兵の大切な人を順番に消していったのだ。「こんなことができるゲーム、ほかにありますか?」と興奮気味に語るWigglingWeiner氏であった。

一定のルーティンに沿って行動する住民たち


このように復讐の喜びを覚えたユーザーの投稿・コメントは複数確認できる。Redditユーザーのzerotwolives氏は、本作で出来る一番好きなこととして、犯罪者の人物関係を辿っていき、家族を崩壊させるプレイを挙げている。犯罪組織のメンバーの人物関係を調べ上げ、スパイ職の工作員を使って家族をひとりずつ暗殺していったのだ。「犯罪組織のメンバーから始まり、彼の叔母、いとこ、いとこの妻、いとこの妻の父とその親友、そしてその母親。全員、私のサイレンサー付きピストルで死にました」。

こうしたスレッドへの返答として、「私も似たようなプレイをしました」といったコメントが見られる。なかには、仲間の命を奪った相手への復讐を果たしたものの、その相手の兄弟に別の仲間をさらわれたという、復讐のサイクルにとらわれた者の話も。さらなるリベンジとして、仲間をさらった相手を病院送りに。後日、その相手が入院している病院に医師として潜入し、安楽死させてやったと、同ユーザーは報告している。このように、メインストーリーとは関係のない復讐譚に魅力を感じているプレイヤーたちもいるようだ。


何気なく殺した住民の家族が、後になってデッドセックの仲間を拉致しにくるイベントは、「復讐ミッション」として存在する。そうしたメインストーリーとは関係のないところでの工夫が、先述したような復讐譚に味を付け足している。なお、本作ではパーマデス設定(死んだら最後モード)のオン/オフによって、仲間にした工作員が重傷を負った際に死ぬ可能性があるかどうかを選択できる。パーマデスをオフにしておけば、大切な工作員を失くさずに済む。ただ、パーマデスをオフにしていても、「自殺願望」「絶望(突然死)」といった一部スキルを持っている場合は亡くなってしまう可能性があるのでご注意。特に絶望スキル持ちは、本当にいつポックリ逝ってしまうのかわからないのでスリリングだ。


住民同士の関係性をシステムとして設けたことで、復讐ロールプレイが可能になった。一方、同システムの限界を示すシュールな場面に出くわすこともある。住民に対して敵対的な行動を取った際の反応は、設定上特別な関係性があったとしても変わらない。そのため、うっかり怒らせてしまった母親にノックアウトされるという、redditユーザーMuhfukin_uhh氏が投稿した以下「おかあさん、どうして?」のような状況も生まれ得る。実のところ特別な関係性などないという、システム上の限界を露呈する部分。そこも笑いとして消化されている。

*何気なく住民の様子を観察していると、しつこくナンパしてくる男性の腕をへし折る女性といった、目を引くシチュエーションに出くわすこともある。殺し屋がターゲットを仕留めようとしている場面なども。前作『ウォッチドッグス2』同様、住民観察はひとつの見どころとなっている。


余談ながら、本作では物語序盤で登場するダルトンというキャラクターの家族や恋人を仲間として採用することも可能。住民の設定にはランダム要素が絡んでいるため、ダルトンの家族・恋人といっても、遭遇するプレイヤーによって外見やプロフィールはまちまちではあるが、(*各リンクは物語冒頭のネタバレを含むため注意)ダルトンの母元彼氏などを見つけたとの報告が挙がっている。復讐という観点では、ダルトンの家族としてプレイすることで、プレイヤーとしても動機が明確になるかもしれない。

全住民に人物関係というパラメーターを与え、復讐のサイクルが生まれるようになった『ウォッチドッグス レギオン』。PC/PS4/Xbox One向けに販売中で、今後PS5/Xbox Series X|Sにも対応する。