果たして、『Apex Legends』シーズン7で実装される新レジェンドのホライゾンは本当に強いのか。こんなユーザーの疑問がきっかけとなり、開発者の反応を招いているようだ。日本時間の11月5日より開幕される『Apex Legends』シーズン7(関連記事)。やはりユーザーの注目を集めているのは新たなプレイアブルキャラクター、ホライゾンの存在だろう。その詳細はいまだ明かされていないものの、重力にまつわるアビリティをもったレジェンドであるとの推測が立てられている。新たなキャラクターへの期待が高まる一方、ユーザーの一部からは新レジェンドに対する不安も寄せられているようだ。
実はここ数シーズンで実装されているレジェンドたちの評判は芳しくない。シーズン6のニューカマー、ランパートは増幅壁設置にかかる時間の遅さや、パッシブアビリティで運用可能な武器が3種類(LMG)しかないことが仇に。シーズン5より参戦のローバについては、戦術アビリティであるテレポートの使い勝手の悪さがかねてより問題視されている(関連記事)。こうした流れもあって、海外掲示板Redditのユーザーはホライゾン実装直後の実力について不安視する意見を投稿した。次に実装されるホライゾンこそは、強いレジェンドであってほしいものだ……というわけである。このとき投稿者は「強すぎるレジェンドを出してほしいわけではない」として、『オーバーウォッチ』におけるシグマやブリギッテが実装当初強キャラとしてランクを騒がせていたことを対照例に挙げた。
ここで返信を返したのがRespawn Entertainmentでゲームデザイナーを務めるDaniel Z. Klein氏だ。Klein氏は『Apex Legends』があくまでガンシューターであることを最重要視しつつ、ヒーローシューターとしての側面を両立させるうえでの苦心を語っている。まず同氏は、投稿者が引き合いに出した『オーバーウォッチ』と『Apex Legends』の違いを明確化した。
Klein氏は、前者がキャラクターのアビリティに特化したシューターであるのに対し、後者は撃ち合いをメインとしたバトルロイヤルであることを強調している。たとえば『オーバーウォッチ』でソルジャー76のシューティングをマスターしたとしても、同じ技術をトレーサーに適用することはできない。各キャラクターの武器は、あくまでもそのキャラクターのアビリティセットの一部だからだ。対して『Apex Legends』では、いちどフラットラインの制御さえ覚えてしまえばどのレジェンドでもテクニックを運用することができる。Klein氏は『オーバーウォッチ』と比較することで、改めて『Apex Legends』がガンベースのゲームであることを示した。
なおKlein氏があくまで本作を撃ち合いメインのデザインであることを尊重しているのは、「敵の行動を予測することでそれに対処できる余地を常にプレイヤーに与えること」を同氏が重視していることが関わっていそうだ(関連記事)。『Apex Legends』のようなワンライフ型のゲームモードにおいて、アビリティベースのシューターよりガンベースのシューターが優れていると考える点について、「特殊能力によって予期せず倒されることがないから」と、同氏は述べている。『Apex Legends』がガンシューターであることにこだわりを見せ続けるのは、「行動の予見性」についての強い関心が設計に関わっているからなのだろう。
そして『Apex Legends』があくまで撃ち合いメインのゲームであることが、新レジェンドのアビリティ調整を難しくしている。新たなキャラクターを追加するとき、その能力は常に「撃ち合いの優劣によって決まる」ゲームバランスを崩さない程度の限られた範囲によって設定される。そのため新規に追加されるレジェンドの能力はどうしても控えめなものになってしまうのだという。また同氏は、まず「ぶっ壊れ」性能のキャラクターを追加して徐々にナーフしていく調整のあり方では、最初にキャラクターを購入したプレイヤーの不満が高まるだろうとの見方も示している。したがって後期に導入されるレジェンドについては、まず抑えめの性能で実装したのちパッチで暫時強化していく方針をとっているのだという。
Klein氏は決して「弱いレジェンド」を送り出したいわけではなく、控えめなステータスで誕生したレジェンドも運営を続ける上で強化を施し続けるとしている。実際、ランパートについてはシーズン7にて何らかの強化を施されることがKlein氏その人によって宣言されている(Dexerto)。また長らくバフを望まれているミラージュも何らかの調整を受ける可能性が濃厚だ。
『Apex Legends』シーズン7は日本時間の11月5日より開幕を予定している。