『スマブラSP』への『マイクラ』キャラ参戦後、“パチモノ”スティーブが再び注目を集める。その名も「グロテスクスティーブ」


『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(スマブラSP)にて、ユーザーの参戦予想から生まれたスティーブが今注目を集めているようだ。『スマブラSP』においては、どのファイターが参戦するかを予想する行為自体も、ひとつのエンタメとなっている。どのゲームの何のキャラが参戦するのか。そうした予想を楽しむファンは多いことだろう。


一方で、こうした予想は堂々巡りをしがち。参戦予想の議論は楽しいものの、答えが出るのは公式発表時のみ。そしてもうひとつの問題があった。“参戦予想キャラループしがち問題”である。『スマブラ』シリーズでは、他社IPを含めた幅広いコラボをすでに実現しており、“していないキャラ”のほうが少ない状態でもある。中でも『マインクラフト』のスティーブ参戦予想は、頻出項目。新鮮味もなく語られ尽くされた、嫌われトピックだったのだ。そうした頻出する参戦予想に飽き飽きした一部ユーザーが、独自のスティーブを作り上げていった。それが「グロテスクスティーブ」である。

きっかけとなったのは、2018年9月の海外掲示板4chanの投稿。アンダーグラウンドな掲示板として知られる4chanにて、『スマブラSP』キャラの参戦について話し合われていた。スレッドの投稿者は、『マインクラフト』のスティーブ参戦を支持。当時は、前述したようにスティーブが語られ飽きており、「スティーブスレにはろくなものがない」と言われる始末。しかしこのスレッドは、少し違ったようだ。


というのも、スレッドに添付されたスティーブの画像が少々おかしなものだった。スティーブといえば、ボクセルグラフィックで表現されたカクついたビジュアルが特徴。黒髪に茶色のヒゲ、水色のシャツに青のズボン。どこか垢抜けない容姿によって、ほどよい無個性さをもたらしており、プレイヤーキャラクターとして認識するに足る存在となっている。しかしこのスレッドに添付されたスティーブは、丸みを帯びており、眉毛はつり上がっており、率直に言って気持ちが悪い。

しかし、4chan住民たちはこの気持ち悪さを面白さとして捉えたようだ。どんどんこの気持ち悪いスティーブをアレンジするユーザーが続出。いつしか「グロテスクスティーブ」という名前がつけられていた。単純にこのデザインをイジる意図もあるかと思うが、飽き飽きしていたスティーブ参戦予想を皮肉る思いもあったのかもしれない。どんどん“気持ち悪くモデリングされたスティーブ”が、一部界隈で溢れたのだ。卑劣で気持ち悪い架空キャラとして、「グロテスクスティーブ」は定着していった。


そして時は経ち、2020年10月。『マインクラフト』のスティーブがついに公式に『スマブラSP』に参戦することになった。公式参戦がなされたこのタイミングにて、グロテスクスティーブという文化が掘り起こされ、注目を集めているわけだ。Twitter上では、「グロテスクスティーブを出して」「グロテスクスティーブを返して」など、どこまで本気かわからない投稿が散見される。2年前に作られた二次創作キャラであったが、それほど記憶に残る存在だったのだろう。


なお海外ファンサイトSourceGamingは今年6月に、ファイターパス Vol. 2に収録してほしいキャラを募る大規模アンケートを実施。結果としては1423票集まり、トップは『クラッシュ・バンディクー』のクラッシュになったとのこと。クラッシュは、もともとはソニーのIP(現在はアクティビジョンIP)だったこともあり、『スマブラSP』への参戦の実現性については不透明。しかし「グロテスククラッシュ」については、公式CMなどで事足りているので、そうした画像がつくられることはなさそうだ。


『スマブラSP』はNintendo Switch向けに発売中だ。