暗号通貨取引所Bitcoin.com Exchangeは10月17日、老舗ゲームメーカーAtariの子会社Atari Chainが発行する暗号通貨「Atari Token」の公開販売を、10月29日に開始すると発表した。通貨単位はATRIで、1ATRIあたり0.25ドル(約26円)で販売予定。調達上限金額は100万ドルに設定される。
Atari Tokenは、Ethereumのプロトコル(ERC20)を使用する暗号通貨で、今年3月から段階的に事前販売を開始。すでに6870万ATRIが流通しているとのこと。ゲーム内アイテムなど、通貨としての価値以外の情報も格納できることが特徴で、Atariは当面は同社が手がけるゲームやオンラインカジノ「Atari Casino」での利用を見込み、ゆくゆくはインタラクティブ・エンターテイメント業界に広く普及することを期待しているという。
Atariというと、独自の新型ゲーム機「Atari VCS」を開発中だ。Atari VCS向けに販売されるゲームやゲーム内アイテムについては、Atari Tokenを使って購入できるオプションが用意されるという。また、暗号通貨の活用を進める現在の同社経営陣は、今年5月にLitecoin Foundationと提携しており、LitecoinでもAtari VCSを購入できる予定。暗号通貨の利用者をAtari VCSに呼び込み、そのエコシステム内でのAtari Tokenの利用を活性化させたい狙いがあるようだ。
Atari VCSは、Atariのクラシックゲームや新作ゲーム、サードパーティが提供するゲームを楽しめ、またWindows 10などのOSをインストールしてPCライクにも使用できるゲーム機である。これまでには、クラウドベースのAntstreamやAirConsole、ブロックチェーン技術を活用するUltra、そしてインディーゲームを扱うGame Joltといったゲーム配信プラットフォームと提携。それぞれが抱える多数のタイトルも、Atari VCS向けに供給される。そうしたタイトルやサービスの支払いにも、Atari Tokenを利用できるということなのかもしれない。
Atari VCSについては、Indiegogoでのクラウドファンディングの成功後、何度も発売延期を繰り返し不穏な空気が漂っていたが、今年11月についにローンチを迎える見込みだという。PS5やXbox Series X|Sの発売時期と重なるが、Atari CEOのFrederic Chesnais氏は、競合相手となるのはそれらの次世代機よりも、むしろiPhoneであるとコメント。ただ、長期的な視野に立って展開していくため、早期に何百万台も売る必要はないとも述べている(Bloomberg)。
紆余曲折を経てようやく発売が見えてきたAtari VCS。それに先立って公開販売を開始するAtari Tokenを含め、ゲーマーにどのように受け入れられるのか、歴史あるブランドから展開されるだけに注目が集まる。