旅客機の“乗客”シム『Airplane Mode』Steam配信開始。6時間リアルタイムで空の旅を満喫するゲーム

旅客機の“乗客”シム『Airplane Mode』Steam配信開始。『Airplane Mode』は、6時間リアルタイムで空の旅を満喫するゲーム。席はエコノミークラスだ。

AMC Networkは10月15日、『Airplane Mode』の配信を開始した。対応プラットフォームはPC/Mac(Steam)で、通常価格は1220円。10月23日までのプロモーション期間中は10%オフの1098円で購入できる。『Airplane Mode』は、民間航空機の乗客として空の旅を味わう一人称視点のフライトシミュレーションゲーム。フライトシミュレーションというと、航空機の操縦シミュレーションが主流だが、本作は旅客側に焦点を当てた珍しい作品である。日本語には対応していない。


本作は、エコノミークラスの窓側席に座り、リアルタイムで6時間、ひたすら目的地への到着を待つゲームだ。厳密には、米国ニューヨークのJFK国際空港発、アイスランド・レイキャビックのケプラヴィーク国際空港(KEF)着の5時間45分。離陸までの時間を含めると6時間ほどになる。別途、JFK国際空港発、カナダ・ハリファックス国際空港(YHZ)着の2時間5分フライトもオプションとして用意されている。

ひたすら飛行機の席に座って到着を待つというのは、現実世界での飛行機移動を苦痛に感じるプレイヤーにとっては苦行かもしれない。だがフライトや旅行が好きな方であれば、日常から非日常へと旅立つワクワク感を思い出して、空のひと時を噛みしめるといった楽しみ方ができるかもしれない。離着陸時の感覚が苦手な方や、墜落事故を恐れている方も、本作であればそうした心配をせずに空の旅を堪能できる。

フライトによって乗客が違う


旅客体験の再現にあたり、機長のアナウンス、座席のデザイン、シートバック、Wi-Fiの通信悪化、他の旅客や客室乗務員の振る舞い方といった細かい部分まで考慮。機内特有のアンビエントなノイズにもこだわっているとのこと。気圧の変化による耳詰まりまで再現されている。座席スクリーンでは、飛行経路を映し出すフライトトラッカーや機内安全ビデオ、30年代のヒット映画などを視聴して時間をつぶせる。ブラックジャックやソリティアといったゲームもあり。また機内誌で記事を読んだりクロスワードパズル・数独を解いたりといった娯楽も。持ち込んだスマートフォンの操作、座席ライトの調整、機内食(魚オプションあり)・ドリンクでの気晴らしも可能だ。


あまり音楽に興味がない設定なのか、持ち込んだスマートフォンには17曲しか入っていない。ただPodcastも入れており、ちょっとしたSFトークなどを聞けたりもする。なお写真フォルダを覗いてみたところ、猫の写真ばかりだった。癒しを求めているときには役立ちそうだ。そのほか持ち込んだ本を読んだり、ノートにペンで書き込んだり。窓から外を眺めるもよし、隣の席の人をじっと眺めてもよし。筆者がプレイした範囲だと、トイレにはいけないようだ。6時間ほどなので、目的地到着まで我慢しよう。
【UPDATE 2020/10/16 6:36】
トイレにも行けることが確認できたため、上段落の記述を訂正。


フライトごとにランダムイベント(乱気流の発生、赤ちゃんの泣き声、運航遅延など)が発生するため、リプレイ性もあるようだ。現実での乗客時には起きてほしくないイベントも、ゲームであればほどよい刺激になるかもしれない。プレイするたびに隣席の乗客が異なり、よく見ると自分の服装も変わっている。眠くなってきたらゲームを起動したまま椅子に座って休めば、きっと旅客機で睡眠を取っている気分に浸れるだろう。まだ不具合が散見される状態であり、途中でスマートフォンの設定画面から抜け出せなくなったり、座席スクリーンのメニューに戻れなくなったり。クラッシュの発生も含めて難があるため、購入する場合は、そうしたトラブルに遭遇する可能性があることに留意しておきたい(現在Steamのユーザーレビューは不評が多めだ)。

現実世界においては、GoToトラベルキャンペーンがあるとはいえ、なかなか遠出できない方も少なくないはず。『Airplane Mode』のフライトは6時間。日本に住むプレイヤーの感覚でいえば、羽田から東南アジアへのフライトといったところか。行ってみたい旅行先に想いを馳せ、ブランケットを用意し、6時間のスケジュールを空けてプレイすれば、よりリアルなフライト時間を過ごせるだろう。途中でセーブできないため、着陸まで体験したい場合は通しで遊ぶ時間の確保が必須となる。


『Airplane Mode』は米国のケーブル/衛星テレビ放送を主な事業とするAMC Networksのゲーム部門からパブリッシュされた作品。米国のゲーム開発者Hosni Auji氏が2018年に『Flight Simulator』として発表したもので、そこから進化を遂げてリリースへと漕ぎ着けた。「かつてなくリアルなフライトシミュレーション」を謳う『Airplane Mode』は、Steamにて配信中だ。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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