ハチャメチャ手術シム『Surgeon Simulator 2』イギリスで“医療従事者向け”に無料配布。実際にプレイした本物の医者は何を思う

Bossa Studiosは、イギリスのNational Health Serviceに加入する医療従事者向けに、手術シミュレーションゲーム『Surgeon Simulator 2』を無料配布すると発表。

英国インディーゲームスタジオBossa Studiosは、イギリスのNational Health Service(国民保健サービス、NHS)に加入する医療従事者向けに、手術シミュレーションゲーム『Surgeon Simulator 2』を無料配布すると発表した。

同作は物理演算を用いた外科手術シミュレーションゲームだ。プレイヤーは医師となり、手術室にて麻酔で眠る患者の手術に取り組む……のだが、用意された手術道具はメス・ハンマー・ノコギリなどなど。ざっくり切り開かれた胸部に手を突っ込み、邪魔な骨や臓器を取り除いて適当に詰め替えよう。患者の頭部や手足はすぐに取れてしまうため、うっかり落としたり付け間違えたりしないように気をつける必要がある。

スタジオの共同設立者Henrique Olifiers氏は、本作が実用的な手術スキルを磨くためのトレーニングツールとして開発されてきたと自信をもって語る。同時に現状では『Surgeon Simulator 2』のコミュニティが患者を救うにあたり「ゴミみたいな」体たらくであることを嘆き、“本物”の医師がいかに手術をやり遂げるかを示してくれることに期待を寄せているようだ。

実際にイギリスにて医師として勤務するYouTuberのDoctor MimことIdris Morgan氏は『Surgeon Simulator 2』をプレイし、Bossa Studiosによる“医療”の解釈や「5秒でできる心臓移植」の可能性が医療界に示唆を与えるだろうと述べている。なお有用性については「絶対にないですが」とのこと。

Bossa Studiosは10月15日に本作を用いたチャリティーイベントもYouTubeにて配信予定。NHS所属外科医・心臓専門医・放射線技師・ITスペシャリストが可能な限り素早く心臓移植を成功させるスピードランに挑む。1000ポンド(約13万6000円)の支援を目標としており、集まった金額は北部リンカーンシャーNHS受託団体に寄付され、MRI施設の拡充に使われるという。

Bossa Studiosはパンなりきりシミュレーター『I Am Bread』や、金魚鉢の魚として海を目指す『I Am Fish』などキワモノ系物理演算シミュレーターで知られている。そんなユニークなゲームづくりを進めるスタジオらしい、キャッチーなプロモーションだが、国営の医療サービスがいかにも非倫理的な本作の企画に協賛してくれる点は興味深い。ブラックユーモア好きなかの国の国民性かもしれない。

本作はNHS加入者向けに10月22日(現地時間)まで無料配布中。医者でなくともEpic Gamesストアにて2580円で手に入れることができる。

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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