PS5では、将来的にさらなるロード時間の高速化を実現か。SIEと提携するミドルウェアツール開発者が予告


ゲーム用ミドルウェアツールを開発・提供するRAD Game ToolsのプログラマーCharles Bloom氏は9月24日、同社製品である「Oodle Kraken」と「Oodle Texture」の、PS5での活用法について解説。この中で、大衆消費者市場向けデバイスとして、PS5はもっとも速いデータローディングを実現するだろうとの考えを示した。

Oodle Krakenは、データの圧縮・解凍に利用するロスレスコーデックSDK「Oodle」における、高圧縮率と高速解凍を特徴とするコーデック。一方のOodle Textureは、GPUテクスチャをBC1~BC7フォーマットへとエンコードするためのSDKである。

https://twitter.com/RADGameTools_JP/status/1309280681181151233

Charles Bloom氏はまず、SIEが公式に発表しているスペックについて言及。PS5の内蔵SSDの帯域幅は5.5GB/sとされている。ゲーム側が必要なデータをIOシステムに要求すると、この帯域幅にて圧縮されたデータがSSDから転送。そしてデコーダーによって解凍されRAMに展開されていく。

また、PS5のリードシステムアーキテクトを務めるMark Cerny氏は2020年3月、PS5の技術解説プレゼンテーションをおこない、この中で開発者にはOodle Krakenの利用を推奨する旨を語っていた(関連記事)。PS5には、そのハードウェアデコーダーが搭載されているという。Oodle Krakenは従来利用されていたzlibよりも高圧縮が可能で、結果的にRAMに展開される際の帯域幅は8〜9GB/sになる見込みを示している。すなわち、PS5向けゲームではデータ圧縮比1.45:1から1.64:1で利用できるいうこと。ここまでが現状明らかになっているPS5の公式スペックである。


RAD Game Toolsは、ゲームコンテンツの大部分を占めるGPUテクスチャについて、使用可能なパターンを見つける手法の確立に苦労していたが、Oodle Textureの改善によって大幅な進歩を見たという。Oodle Textureによって準備されたデータの品質を確保しながら、Oodle Krakenによる圧縮の効率をさらに高めることが可能に。両技術を組み合わせると、ある最近のゲームのテクスチャではデータ圧縮比にして3.16:1、従来より圧縮率を約1.7倍高めることができたそうだ。自ずと、RAMに展開する際の帯域幅の向上にも繋がる。

Charles Bloom氏によると、Mark Cerny氏によるプレゼンテーションのあと、RAD Game ToolsはSIEとOodle Textureについてもライセンス契約を結んだとのこと。対象はすべてのPS5およびPS4向けゲーム。上述した技術的な進歩により、これまで発表されていたスペックよりも高いパフォーマンスを引き出せるのではないかとしている。もっとも、Oodle Textureはまだ新しい技術であるため、PS5のローンチ時点でこれを利用するタイトルは限られるとのこと。ただ、将来的には大部分のタイトルが利用することになるだろうとも述べている。

ちなみに、Oodle Textureを活用する例としてはPC版『Warframe』が挙げられる。先日配信されたアップデートにより、テクスチャデータをさらに圧縮したものに差し替え、品質を保ったまま15GB程度の容量削減を実現したという(公式フォーラム)。ロード時間の短縮だけでなく、ストレージ容量的にもありがたい技術であると言えそうだ。

PS5は、11月12日に発売予定だ。