株式会社スマイルブームは9月9日、CESA主催のPERACON 2020で審査員を務めた取締役徳留和人氏に不適切な審査コメントがあったとして、同氏の処分を発表した。コンテストでは一部の審査員コメントに不適切な発言があったとしてSNSを中心に批判が高まっており、8日にもPERACON 2020公式ページにて謝罪が掲載されていた。『プチコン』シリーズなどを手がけるスマイルブームの代表取締役である小林貴樹氏が今回声明を出している。「今回の誠意に欠ける数々の発言は、楽しい物を作る若い皆様を応援していきたいという弊社のポリシーに全く反するもの」とのこと。
今月2日から4日にかけて、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が開催するゲーム開発者向けイベントCEDEC 2020が開催された。その中の一企画として行われたのが企画書コンテスト、PERACON 2020だ。応募者は事前に設定されたテーマに沿った企画コンセプトをA4用紙1枚(程度のサイズの画像)にまとめて競う。審査員には『ゼビウス』クリエイターのひとり遠藤雅伸氏をはじめ、多くの業界プロフェッショナルが名を連ねていた。
ところが応募作品につけられる審査員コメントについて、一部審査員のコメントがパワハラ・モラハラにあたるのではないかとの問題が浮上。たとえば特に厳しいコメントをピックアップすると、「作成中の試行錯誤に疲れてそれ自体を形にしたなんちゃって提案。面白い作品が作れないのなら、作品を出すのもゲームクリエイターへの道も諦めてくれ!」「わかんない上、臭そう」「センスが無い。思考が低い。今年の支笏湖行きに決定。沈んで出てくんな」といったフィードバックが寄せられていた。
業界スタッフから批判などが出てきており、作品の評価を外れて応募者の人格・尊厳を傷つけているとして、Twitterなどで批判が起きていた。こうした流れを受け、PERACON 2020は公式ページにて謝罪を掲載。あわせて審査員コメントを一時的に非公開とし、「不適切な箇所について訂正のうえ、後日掲載」すると発表している。
徳留和人氏は攻撃的なコメントをつけた審査員として非難を受けていたひとりで、今回の処分を受けるに至った模様。この件に関し、審査委員長を務める遠藤氏はTwitterにて、審査する量が多いあまり寛容さが失われたと語り、改善案について承ったとコメント。来年から方向性は見直されるとしながら、「遠藤の作品に対しての姿勢は変えるつもりがない。人に対する姿勢は社会の窓が開いてることを注意しないような対応にするけど」と語っていた。
また批判を受けたひとり、アプリゲーム開発企業カエルパンダの河上京子氏に関してはPERACON 2020関連のツイートを削除している旨が報告されている。一方、審査員のひとり?瀨洋平氏は批判対象とはなっていなかったものの、TwitterやnoteでPERACON 2020に対して言及。「審査をする側が人を傷つけるような言動をしないよう求めていく必要」があったものの不十分だったとして、次回以降の改善への意欲を示している。来年以降のPERACONがどういう形態で実施されるか、注目が集まるところだろう。