プロeスポーツチーム「野良連合」の代表を務めていたKizoku氏が8月30日、辞任する意向を明らかにした。野良連合といえば『レインボーシックス シージ』をはじめ、各eスポーツ大会で実績を残してきた有名チームだ。一方、先週より団体—選手間でのトラブルが告発されており、Twitterを中心として騒動が続いていた。
先月8月25日、野良連合の選手に対する給与未払いの疑いを告発するツイートが投稿された。当該ツイートは削除されたものの、これをきっかけとして野良連合およびKizoku氏に対する疑惑が数多く寄せられることとなる。主な論点は「所属選手およびスタッフに対し給与未払いがあったのではないか」および「選手に対するパワハラがあったのではないか」との問題である。騒ぎが大きくなるにつれ、疑惑の追及はKizoku氏のプライベートにまつわる噂にまで波及していった。いずれの告発に関しても現状では“被害者”証言が上がっている段階であり、事実関係については断定しきれない状況が続いている。
騒動が続く中、8月26日に野良連合公式Twitterは声明を発表した。同団体は「事実が極めて大幅に誇張され、かつ捻じ曲げられて」いると主張。一連の疑いを否定し、弁護士と協議のうえ「権利侵害に関与している者全てを対象に民事上の責任追及及び刑事告訴等の法的措置をとることを検討している」と伝えた。また団体および団体クライアント宛に脅迫・誹謗中傷が送られていることも明かしている。なお同日、野良連合の公式サイトからコナミをはじめスポンサー各社のロゴマークが削除された。正式にスポンサー契約が解除されたかどうかは今のところ明かされていない。
これらの流れを受け、8月30日夜Kizoku氏が代表辞任の意向をツイートしたはこびだ。同氏は給与未払いおよび販売収益の私的流用の疑いについては「事実無根」と否定。活動収益はチーム活動費(所属選手への給与・生活支援)にあてている旨を主張した。ファイトマネー運用についても「このような資金が提供されるのは一部のタイトルのみ」としつつ、「選手用に提供するよう指定をうけている資金については、選手に支給して」いると述べている。
一方で、「選手に潤沢なお金を渡せていた」わけではないとして、実績やスポンサーのない部門についてはボランティアのかたちで勤務を要請していたことを認めた。この際、選手・団体間でどのような了解がとられていたかは不透明である。またパワハラ疑惑については「脱退していく選手への間違った言動」があった点を認めた。代表を辞任したKizoku氏が今後、野良連合の運営に関与するか否かは不明となっている。
プロeスポーツチームでは選手が若いケースや、契約が書面化されないことも多く、団体—選手間でのトラブルは今後も生じるおそれがある。Kizoku氏および野良連合は一刻も早く詳細な事実関係を明らかにするとともに、業界全体で雇用・被雇用のあり方を見直していくことが望まれるだろう。