国内の個人デベロッパーじぃーま氏は8月30日、寄生虫駆除アドベンチャー『パラサイトデイズ』をリリースした。対応プラットフォームはiOS/Androidで、無料にて配信している。
『パラサイトデイズ』は宿主の命を吸い取る「寄生虫」との奇妙な共同生活を描くアドベンチャーゲームだ。主人公が目を覚ましたのはある財団が有する研究施設。自身の右腕には小さな子どものようなクリーチャー、寄生虫が生えていた。実験の目的は寄生虫に生気を吸われながら、可能な限り長く生存することだという。パラサイトに食い潰されるのが先か、何とか駆除する手段を見つけるのが先か、荒廃した未来でのサバイバル生活が幕を開ける。
プレイヤーには「生命力」のパラメータが与えられており、この値を維持して生き残ることがゲームの目的だ。重要となるのが財団から与えられる「支給品」。飲料水やカレー、サラダといった食料を摂ることでバイタリティを増やし、寿命を食いつないでいこう。「ご飯と焼き鮭」など特定の組み合わせで食べ物を摂取するとコンボが発生し、さらなる効果が見込めることもある。生命力のほかに「免疫力」や寄生虫の「成長度」といった数値も存在するため、それぞれをバランスよく管理する食生活が大切だ。より栄養価の高い支給品を手に入れるにはポイントが必要となる。財団の実験を手伝うミニゲームで賃金を得て、エンゲル係数の高い生活を目指そう。
うまく生命力を保ったまま一定日数が過ぎると寄生虫の「発作」が発生する。急激に生命力を吸収され命の危機にさらされてしまうのだ。自身の心臓を連打して抵抗し、なんとか死を回避しよう。直前の食事により有利な効果が発生することもあるため、計画的な栄養設計が肝となる。
あらすじだけ聞くとSFホラーのような本作。しか『パラサイトデイズ』の真髄はサバイバルではない。寄生虫ちゃんとの「イチャイチャ」である。寄生虫ちゃんは宿主のことをいたく気に入っており、基本的にすべての会話においてデレデレだ。生命力を頂戴する立場でありつつプレイヤーの健康を気にかけ、最大限の愛情を示してくれる。好奇心も旺盛で、支給品のケーキ・めかぶなど珍しい食べ物に興味津津。実験サポートAI「ウォッチくん」との漫才を交えつつ、ときにノリノリで歌い、ときに飲んだくれ、多彩なリアクションを見せてくれるのだ。食事後のトークではしばしば会話の選択肢が現れ、回答しだいで寄生虫ちゃんの「ラブ度」も変化する。ふたりの関係がどうなるかはプレイヤーの選択しだいだ。
本作はじぃーま氏が手がける「終末アドベンチャー」シリーズの第7弾となる。過去には滅亡を生き延びた未来の子孫に時を超えて“仕送り”する『TimeMachine』や、地球最後のパン屋として世界を救う『ポストアポカリプスベーカリー』など、独自の世界観を構築してきた。ディストピアで繰り広げられるユルいノリの会話や、一転急降下するブラックなストーリーなど幅広い作風が特徴だ。『パラサイトデイズ』でもそうしたエッセンスは凝縮されており、寄生虫ちゃんとの交流を重ねるほど最後の「駆除するか、されるか」という決断が迫るシビアな構成となっている。このほか秘密裏に接触を図ってくる別チャンバーの被験者や、財団が掲げる“究極の目的”などサスペンシックな要素が複雑に絡み合う。物語はマルチエンディングとなっており、選択によっては代償が「ひとりの命」では済まないこともあるだろう。
『パラサイトデイズ』はiOS/Android向けに配信中。無料で最後まで遊ぶことができ、アプリ内課金では「強制生存装置」などのサポートアイテムを購入することが可能だ。