『あつまれ どうぶつの森』の「やよい」のかわいさに注目集まる。古参のホラー系どうぶつは、マスコットキャラになれるのか？

『あつまれ どうぶつの森』の住人やよいに人気が集まりつつあるようだ。長らく怖いどうぶつ（？）として認識されがちだった住民に対して「実は好きだった」と告白する声が、海外コミュニティにて寄せられ始めている。

やよいは、初代『どうぶつの森』より登場するキャラクター。性格は「ふつう（一人称わたし）」系で、口癖ははにょ。その見た目どおり、はにわをモチーフとしたうさぎ系のどうぶつだ。古参どうぶつであったが、必ずしもかわいいキャラとして愛される存在ではなかった。というのも、公式とコミュニティ両方でホラーな存在として扱われてきたからだ。

やよいは、ふつう系として性格こそかわいらしいが、なかなか強烈な見た目をしている。見た目については、はにわをモチーフにしていることから目と鼻が空洞になっている。個性がありながらも生き物らしさを感じさせる『どうぶつの森』住民群において、あまり生を感じさせない側面がある。また不気味さに拍車をかけているのが、部屋が怖かったこと。もともと埴輪のみが置かれているという無骨なコーデが特徴だったやよいの部屋であるが、『とびだせ どうぶつの森』では完全にホラー化。「こわいうた」がかけられるという、開発元公認の恐ろしい住民であった。

おまけに、やよいは何かと怖い現象に関連付けられ、怖い印象が強められていた。特に有名なのは、「はにわ顔にさせられる」という仕様への恐怖だ。初代『どうぶつの森』などでは、友人の家にお出かけ中にリセットをおこなうと、ペナルティとしてプレイヤーの顔がはにわになるという仕様が存在していた。ベルやアイテムごとロストし、はにわにさせられるというこの恐ろしい仕様から、はにわに怖い印象が与えられ、結果として同様の顔を持つやよいの恐ろしさが高まっていた。

『あつまれ どうぶつの森』でもこうした現象は確認されている。すでに修正されたものの、『あつまれ どうぶつの森』では住民失踪バグなる不具合が存在していた（関連記事）。 このバグは一部では「Voided Villagers」と呼ばれており、バグを語る際にはあわせてやよいの画像が貼られることが多かった。Voidは、欠けるや空くといった意味で使われる英単語。空き地になる現象と、やよいの“穴”がかかっているわけだ。コミュニティ内でもやよいが怖い存在という認識は浸透している。『あつまれ どうぶつの森』動画クリエイターであるEvil Imp氏は、自身のホラー調のムービーに度々やよいを出演させている。The Gamerが特集した「気味が悪いどうぶつランキング」でも1位に輝いていることからも、その扱いがわかるだろう。

しかし一方で、ここにきてやよいを再評価する声が高まっている。きっかけとなったのは、Redditの投稿だ。とあるユーザーが、やよいがココナッツの上に座る画像を掲載。「ココがココナッツの木のそばに座って、ココがココナッツの身体になった」。やよいの英語名はCoco。CocoとCoconutをかけたちょっとしたダジャレになっているわけだ。住民たちが座り込んだ際に語る「居心地がよいので、この場所は譲りません」という旨のテキストが、シュールさを引き立てる。やよいとココナッツをかけたちょっとしたミームが生まれたわけだ。

実は少し前からコミュニティ内に、やよいを愛でようとする動きは出ていた。Mochi_Rushmoom氏は、やよいをかわいいと褒めて引っ越してきなよと語りかけ、同キャラが涙する画像を公開。やよいは気味が悪いと言われているが、かわいいのだと力説し、多くの賛同の声が寄せられていた。かわいいと思っていたものの、なんとなく「好き」とは言い出せなかったやよいへの愛着。そんな想いが溢れ出したのだ。ここ1か月、Redditのr/AnimalCrossingには自身の島にいるやよいを自慢し、かわいさをアピールする投稿が相次いだ。前述したココナッツとやよいをかけあわせた投稿は、そうしたやよい自慢の流れのひとつであったわけだ。

その後もやよいが嬉しそうに道を歩く動画が大量のUpvoteを集めたり、ファンアートが量産されたりと、コミュニティ内でちょっとしたブームが生まれている。やよいは、目が空洞なゆえに、アイマスクやをかしなめがねが似合うキャラとして話題になることはあったものの、どこか色物扱いされることも多かった。今回、キュートなキャラとして寄り添おうという動きが生まれているのである。本作では、はにわが姿を消し、部屋もしっとりとした和風コーデで、家の外観もユニーク。過去作よりもホラーテイストがなくなっているというのも、親しみやすくなった理由のひとつだろう。

住民たちの性格は日々の生活で変化することはない。しかし、コミュニティ内でフィーチャーされることにより、その魅力は再確認されることはありうる。わかりやすい見た目から爆発的な人気を呼んだちゃちゃまるとはまた異なる、興味深い親しまれ方と言えるかもしれない。