人気ゲーム配信者Dr Disrespect、TPS『Rogue Company』をプレイし、マップ制作に意欲示す。運営元は「実力を証明せよ」と反応

人気ゲーム配信者Dr Disrespect、TPS『Rogue Company』をプレイし、マップ制作に意欲。『Rogue Company』運営元は「マップデザインの実力を証明せよ」と反応。

Twitchから原因不明のBAN措置を受け、しばらく活動を休止していた人気ゲーム配信者Guy “Dr Disrespect” Beahm氏が、YouTubeにて活動を再開した。復帰後初となる8月8日の配信では『Call of Duty: Warzone』を、8月10日の配信では三人称視点のチーム対戦シューター『Rogue Company』をプレイ。後者に関しては、初プレイながら気に入ったようで、配信中から「このゲームのマップを作りたい」と発言。そのまま『Rogue Company』の公式Twitterにラブコールを送ったところ、開発陣もかなり乗り気。Dr Disrespect考案マップの実現に向けて動き始めた。

*『Rogue Company』のゲーム概要説明トレイラー

『Rogue Company』は今年7月、PC(Epic Gamesストア)/PlayStation 4/Nintendo Switchおよび海外Xbox One向けのベータテストが始まった、三人称視点のチーム対戦シューター。目玉となるゲームモードは、4対4のチームに分かれて戦うデモリション。攻撃チームは目標エリアへの爆弾設置および爆破を目指し、防衛チームはそれを阻止する。『Counter-Strike: Global Offensive』や『VALORANT』などで親しまれている、爆破ルールのゲームモードだ。

本作の特徴は、爆破ルール系のゲームで多い一人称視点ではなく三人称視点を採用していることや、異なるスキルとロードアウトを有する複数のキャラクターから操作対象を選択できること。また一度購入した武器・アイテムは、死亡しても失わずに次のラウンドでも使い続けられるエコノミーシステム。各ラウンド開始時に航空機から降下する仕組みにすることで、相手チームの行き先を読み合えるようにしている点などが挙げられる。マップデザインも、三人称視点用に練られた作りとなっている。

Dr Disrespect氏は8月10日の配信開始直後から、『Rogue Company』のマップデザインに興味を示し、途中で「このゲーム用のマップを作ってみたい」と発言。プレイを終えた後には、マップ作りへの想いを述べた。「人生における最大の喜びのひとつは、クリエイティビティや創造的な思考能力を問いてくるプロジェクトに取り組み、自由に表現したり、クリエイティビティを発揮したりすることなんだ。何かを作り出すための工程を踏み、実行に移し、生み出したものに対する反応を見る。それは私にとって……アァーーーー!!」と、情熱的に語ったのち、天井を見上げて咆哮。最後は言葉になっていないが、「Dr Disrespect」のエキセントリックなキャラクターらしく、喜びや絶頂を表現しているのだろう。

いまでこそゲーム配信者として知られているDr Disrespect氏であるが、一時期はSledgehammer Gamesに勤務。レベルデザイナーとして『Call of Duty: Advanced Warfare』のマルチプレイモード用マップ制作に関与していた。2015年にSledgehammer Gamesを退社し、フルタイムの配信者になってからもマップ作りへの情熱は消えておらず。2019年10月には『Call of Duty: Modern Warfare』を想定して作ったマップを公開していた(Dexerto)。素人ではなく、レベルデザイナーとしての経歴があった上での「マップを作ってみたい」発言なのである。とくに左右対称のマップを好む傾向にあり、今回の配信中も「Symmetrical(左右対称)」のマップを作りたいと語っていた。

そして8月10日の配信中、Dr Disrespect氏は『Rogue Company』公式Twitterに向けて、「このゲーム気に入ったよ。俺にマップを作らせてくれ。マップのデザインとともに、このゲームにバイオレンスとスピード、そして勢いをもたらすと保証するよ」と発信。すると『Rogue Company』公式はすぐさま返答。「ぜひともお願いしたいです。ただ、あなたが最後にマップをデザインしたのは1997年のことでしょう(*)。それだけのブランクがあっても、“名マップ”を作れますか?ひとつの提案として、マップをデザインできると24時間以内に証明するというのはどうでしょうか。そこから話を進めていきましょう。この話、乗りますか?」と粋な返しを見せた。もちろんDr Disrespect氏も「その話、乗った。見せてやるさ」とやる気満々。かくして、Dr Disrespect氏の新たな挑戦が始まった。

*Dr Disrespect氏は2015年まで、レベルデザイナーとしてSledgehammer Gamesに在籍していた。「最後にマップをデザインしたのは1997年のことでしょう」というのは、「ブランクが長い」ということを誇張した表現だろう

そして約束どおり、Dr Disrespect氏はツイートから24時間以内にマップのレイアウト図を提出。マップの名は「The Arena」。Dr Disrespect氏が好む左右対称のマップだ。『Rogue Company』では、ラウンド開始時に航空機から降下して着陸地点を選ぶ仕様となっている。「The Arena」も『Rogue Company』を想定したマップということで、しっかりと着陸可能エリアが記されている。また、画像左側が上になるように画像を回転させると、Dr Disrespect氏の顔/アイコンとそっくりになると指摘するユーザーも。主張の強いDr Disrespect氏らしさを出した、同氏ならではのマップ案と言える。

『Rogue Company』公式はこの仕事ぶりに満足したようで、「The Arenaの3Dマップ制作にあたり必要なリソースはなんでも提供しますよ。いや、待ってください、もっとデカくて良い案が思いつきました。詳細は近いうちにあなたのガラケー(フィーチャーフォン)にかけてお伝えします。頼りにしていますよ」と投稿。Dr Disrespect氏は「ガラケーの充電はバッチリだ」と、今後の展開を期待させる言葉を残していった(Dr Disrespect氏は動画配信中に通話する際、ガラケーを使用している)。Dr Disrespect氏がかつてマップデザインに携わっていた『Call of Duty』シリーズとは違い、『Rogue Company』は三人称視点で操作するゲーム。もしこのまま彼がマップを作るとすれば、視野の違いを踏まえたデザインが求められるという点で、Dr Disrespect氏にとっても新しい挑戦となるだろう。

なおDr Disrespect氏は『Rogue Company』関連の配信時やツイート時には欠かさず「RoguePartner」表記を入れている。配信終了時には、同配信のスポンサーとして『Rogue Company』の名を挙げていた。同作のパブリッシャーであるHi-Rez Studiosと、何らかのパートナーシップを結んでいることがうかがえる。瞬時にレスポンスが返ってくるTwitter上でのやりとりのスピード感も踏まえると、マップ作成はマーケティング活動の一環として、事前に仕組まれていた展開だという可能性は十分にある。いずれにせよ、海外で人気の高いDr Disrespectが関わるマップが『Rogue Company』に実装されるとなれば、同作にとって宣伝効果は抜群だろう。

Dr Disrespect氏はYouTube復帰後の初配信時、TwitchからBANされた件にも触れている。Dr Disrespect氏いわく、「いまだに何が原因だったのかわからない」「私が知る限り、BAN処置を受けるに値するようなことはしていない」。またTwitchが同氏をBANするにあたり、事前に一切連絡がなかったこと、何も言わずにBANしたがゆえにコミュニティ内で憶測が広まってしまったことを指摘。ほかにも積もる想いはあるようだが、多額のお金が絡んでくる問題でもあるため、詳細な発言は控え、あとは弁護士に為すべきことを為してもらうとだけ述べている。Dr Disrespect氏はBANされる前、Twitchと独占配信契約を結んでいた。正当なBANではないと主張するにあたっては、そうした契約金まわりの話も問題になってくるだろう。

いまだ謎に包まれたTwitchからのBANと、YouTubeでの復活劇。そして『Rogue Company』のマップ制作。一時は配信者としての存続が危ぶまれていたものの、話題が尽きぬエンターテイナーとして、活躍の場を移してからも観る者を楽しませてくれそうだ。

【UPDATE 2020/08/18 17:32】
Dr Disrespectは8月18日、同氏が作成した『Rogue Company』用マップのプロトタイプ映像を公開。『Rogue Company』の公式Twitterアカウントは同マップを絶賛。近日中に同作のリードデザイナーであるScott Lussier氏を、この企画に参加させると返答した。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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