『ゴールデンアイ 007』の非公式リメイク作品、ついに権利者から差し止め要求を受ける。独自作品として仕切り直しへ

『ゴールデンアイ 007』非公式リメイクプロジェクトが開発仕切り直し。少なくとも2018年から開発が続けられてきたが、ついに権利者から差し止め要求を受けてしまったようだ。

1997年にNINTENDO64向けに発売された『ゴールデンアイ 007』。映画「007 ゴールデンアイ」のゲーム版として開発された本作は、コンソール向けのFPSとして初期の名作と評されることが多く、その後リメイク版も発売された。そんな本作においては、25周年にあたる2022年のリリースを目指す非公式リメイクプロジェクトが存在。少なくとも2018年から開発が続けられてきたが、ついに権利者から差し止め要求を受けてしまったようだ。


そのリメイクプロジェクトは『GoldenEye 25』と呼ばれ、3DアーティストのBen Colclough氏を中心にUnreal Engine 4を用いて開発中だった。その進捗は公式Twitterアカウントを通じて報告されてきたが、8月11日になって、「ジェームズ・ボンド」作品関連の権利を保有するMGMとDanjaqから開発を中止するよう連絡を受けたと投稿。その後アカウントごと削除された。

『GoldenEye 25』にコンポーザーとして参加していたYannick Zenhäusern氏によると、MGM/Danjaqは8月19日までに開発を中止するよう、丁寧な態度で要求してきたとのこと。同作は無料で配布する予定だったが、「ゴールデンアイ」は両社のIPであるため、Zenhäusern氏らはいつかこうした日が来るのではとずっと考えていたそうで、素直に従うことにしたという。とはいえ、彼らは何年もの歳月を費やしたこのプロジェクトを、完全に終了させてしまう考えはないようだ。

チームは新たに「Spies Don’t Die」というTwitterアカウントを開設。「ゴールデンアイ」や「ジェームズ・ボンド」に関する表現を作品からすべて削除した上で、開発を続行する意思を表明している。『GoldenEye 25』では、『ゴールデンアイ 007』のキャンペーンモードのリメイクを掲げていたため、ストーリーも変更する。同じ武器の名前も使えない。

そうした状況の中で、『ゴールデンアイ 007』のような1990年代のFPSの精神を受け継ぐオリジナル作品として開発するという。上のツイートでは、時計を使ったメニュー画面や武器システム、サウンドエフェクトなど、これまでに制作したアセットやコードなどには、引き続き使用可能なものがあるとしている。また、「ジェームズ・ボンド」作品の音楽から影響を受けてZenhäusern氏が手がけた楽曲についても、そのまま使用する予定とのことだ。

人気作品をファンが非公式にリメイクするプロジェクトはたびたび登場するが、権利保有者が別に存在するため、たとえ無料配布を前提にしたとしても完成までこぎつけられる例はあまりない。一方で、オリジナル作品として仕切り直すことでリリースに至った作品もあり、たとえば2019年にPCやコンソール向けに配信された『Daymare: 1998』は、もともと『バイオハザード2』の非公式リメイク作品として制作されていた(関連記事)。

『GoldenEye 25』についても、『ゴールデンアイ 007』のファンリメイクとしての道は絶たれてしまったが、同作から影響を受ける独自の作品として仕切り直すことによって、Steamでの販売やコンソールへの移植の道が開けたと前出のZenhäusern氏は述べる。なお、「Spies Don’t Die」というのは急遽考えた仮のものであって、正式なゲームタイトルは改めて決定するそうだ。開発チームは、「Perfect Dark」のように2文字・3音節であったり、「No One Lives Forever」のような響きを持つ、良いタイトルのアイデアがあったら提案してほしいとファンに呼びかけている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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