混沌のソ連FPS『Atomic Heart』新たなゲームプレイ映像が公開、次世代機にも対応へ。襲い来る触手だらけのクリーチャー


ロシアのインディースタジオMundfishは8月11日、『Atomic Heart』の新映像を公開した。同映像内では、新たにステージ探索の様子や強敵との戦闘などをお披露目。またその中では、次世代機に対応することも明かされた。これにて本作の対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X/Xbox Oneとなる。


『Atomic Heart』は、パラレルワールドのソ連を舞台とした一人称視点アクションRPGだ。舞台となるのは最高機密施設「3826」。ここにはオーバーテクノロジーにより狂った機械生命体たちがうごめいている。プレイヤーはロシアのスパイP-3となり、事故の真相を確かめるべく、複数のバイオームが連なる謎多き施設の奥へと進んでいくこととなる。

今回の映像は主に、VDNKHと呼ばれるエリアの探索およびPlyushなる強敵との戦闘をフィーチャーしたものとなっている。まずは、展示通路らしき場所から探索がスタート。いかにもハイテク施設といった無機質な内装と、人の死体や倒壊した植木などが散乱する床が奇怪なコントラストを生んでいる。しばらく進み、施設の吹き抜けにたどり着く主人公。ここからVDNKH は4階建てのホールだということ、そして施設の外部が自然に囲まれていることが判明する。


エリア各階を見渡すと掃除用ロボットが動いていたり、2階の廊下には奇妙な植物が根を張っていたりと、とにかく施設全体からカオスな印象を受けるだろう。しばらくすると先述した植物が動き出し、プレイヤーに襲い掛かる。ここから戦闘シーンの開始だ。主人公は2枚のチップソーが付いた無骨な近接武器を取り出し、うようよと葉をなびかせながら近づく植物クリーチャーを容赦なく叩き潰す。この際には、画面下部にスタミナゲージらしきUIが表示されており、武器を振るうごとにゲージを消費していることが確認できる。

もうひとつ触れておきたいのは、戦闘中に主人公が発動している特殊能力。手のひらから触手のように伸びるコードはプレイヤーの生命線となっているようで、カプセルをつなげて回復する様子がうかがえる。また壊れた掃除用ロボットを遠隔ハッキングし、戦闘に利用するシーンも。さながらテレキネシスのような能力を発動しており、これには体力とは別に用意されたパワーを消費していることが映像からうかがえる。本作の戦闘においては、これらの特殊能力をいかに駆使し、パワーを管理していくのかが重要になりそうだ。


さらに先へ進んでいくと、次はかなりひらけた場所に到着。敵の姿は見えないものの、天井には内臓と血管が透けて見えるクジラのようなモニュメントが飾られており、相変わらず不穏な空気が漂っている。下に降りると肉塊のようなものが動き出し、いよいよ強敵Plyushとの戦闘が開始。同クリーチャーは無数の触手が集合したような見た目をしており、素早い動きで主人公を翻弄している。また長い両手を駆使した攻撃からは、かなり手ごわそうな印象を受けるだろう。

一方、Plyushとの戦闘シーンでは主人公の強力な能力も見ることができる。たとえばチップソーを用いたホーミング弾。これは近接武器に取り付けられた回転ノコギリ2枚を飛ばし、敵にダメージを与えるといったもの。飛ばしたノコギリは、しばらくのあいだ敵を自動で追従する。さらに今回の映像では、飛ばして無くなったノコギリを特殊能力で再生成する様子も。そのほか、壁越しに敵の位置を把握可能な能力なども披露されており、本作の戦闘におけるアクション性の高さが垣間見える。なお、奮闘むなしく映像の最後で主人公はPlyushの餌食となってしまう。


今回の映像にてフィーチャーされた強敵Plyushについて、開発元はIGNとのインタビューにて「政府が秘密裏に生み出した、バイオテクノロジーの産物(かもしれない)」と述べている。本作では機械生命体の暴走がひとつストーリーのテーマとして組み込まれているが、今回のプレイ映像からも分かるとおり、機械以外の奇妙なクリーチャーもさまざま立ちはだかるのだろう。またPlyushは俊敏で手強い相手ではあるものの、もっとも強い敵でも特別凶悪な敵でもない”ミニボス”と開発元は語っている。実際のゲームプレイでは、よりおぞましい存在が待ち受けているのだろう。

またPS5/Xbox Series Xへの対応について開発元は、次世代機に搭載されるSSDによってロード時間はなくなり、また理想的なビジュアルを実現できるだろうと発言。次世代機のパワーをフルに活かした作品となることにも期待がかかる。なお今回開発元はIGNに対し、新型コロナウイルスによる開発への影響についても述べており、それについては「結果的に、よりチーム内の結束力を高めてくれた」とポジティブな回答を寄せている。そのほか、ゲーム内BGM制作に『DOOM』(2016)などの楽曲を手がけるMick Gordon氏を迎えいれているとも明かしている。


テクノロジーと生命体の融合を奇抜かつ不気味な世界観で描く『Atomic Heart』。本作は発表から長い月日が経つも、いまだに具体的な発売日は明かされていない。一方、今回のゲームプレイ映像は本作の開発の進捗具合をしっかりと感じ取れる内容となっており、発売できる状態にまで一歩ずつ着実に近づきつつある印象だ。また次世代機に対応することで、想定よりも長い開発期間を要している可能性も十分に考えられる。発売を待ち遠しく思う方も多いことと思われるが、ひとまず今はゲームプレイ映像などを見て期待を膨らませておこう。

『Atomic Heart』は、PC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X/Xbox One向けにリリース予定。発売日については、現時点で未定となっている。