フライトシミュレーター『Digital Combat Simulator』(以下、『DCS』)にて、未確認飛行物体とのエンカウントが話題になっている。同作はEagle Dynamics SAが開発した基本プレイ無料のサンドボックスゲームで、戦闘機を主としたコンバットシムに長けている。空対空戦闘や洋上攻撃などが写実的に再現され、TF-51マスタングやSu-25Tといった実在の軍用機を本物さながらに体験できる。そんなリアリスティックな『DCS』だが、海外掲示板Redditのあるユーザーは超常的な飛翔体とエンカウントしたようだ。ドラゴンである。
空の彼方からこちらへ向かって飛来する黒い影。遠目では飛行機のように思えるが、複雑なシルエットが近づくにつれその正体が浮かび上がる。禍々しい巨躯と大きな翼はファンタジーのドラゴンそのものだ。さらにゲーマーであれば、その真名をすぐに悟るだろう。このドラゴンは、『The Elder Scrolls V: Skyrim』に出現する「アルドゥイン」である。世界を食らいし者としてドヴァーキンの前に立ちはだかったラスボスだが、どういうわけか地球上の領空に迷いこんでしまったようだ。パイロットはというと、冷静にその影をコックピットから捉え、掃射することでアルドゥインを撃墜している。「呪文も剣もナンセンスだ。これが竜を落とすやり方よ」と投稿者は語る。
目撃者、もとい、Mod製作者のFr3gat氏は今回の映像の技術的な種明かしについてそれほど情報を開示していない。しかし映像からはいくつかのヒントを得ることが可能だ。いかにも“遭遇映像”らしいショットの切り返しにより気がつきにくいが、動画のアルドゥインはほとんど羽ばたいていないことに注意しよう。また尾のあたりからジェット噴射が見えるのにも着目したい。そして極めつけはFr3gat氏が投稿したデモンストレーション動画だ。どうやら『Skyrim』に登場するアルドゥインのモデルを、既存の航空機と置き換えたというのが真相らしい。それだけでは凍りついたドラゴンが空をかっ飛ぶシュールな画になるところ、映像編集の巧みでうまく誤魔化しているところが妙技といえる。
ちなみにFr3gat氏はファンタジー世界とフライトシムの交錯に強い執念を抱いているようだ。過去に投稿した作品では、『Skyrim』の巨人とマンモスを機銃掃射で蹂躙している動画も挙がっている。これまた凝った映像だが、使用したModは無重力Modのみ。あとは自作ツールのフルオートクロスボウと爆発ボルト、そして映像編集で作品を作り上げたとのこと。もともと培われていた高いカスタマイズ技術が、今回のアルドゥイン動画にも活かされているようだ。
アルドゥインといえば、作中最強の設定が語られつつも今ひとつの強さで微妙な印象を残す天敵。シャウトや弓どころではない暴力でなぶられ、竜王はいったい何を思うのだろうか。