iOS端末でStadiaやProject xCloudを利用できない理由をAppleが説明。個別に審査できないゲームは規約違反
【UPDATE 2020/08/07 20:52】
記事タイトル・本文の「Apple製品」を「iOS端末」に訂正
【原文 2020/08/07 18:09】
Googleのクラウドゲームサービスである「Google Stadia」やマイクロソフトの「Project xCloud」、NIVIDIAの「GeForce Now」はiOS端末では利用できない。Appleはとくに「Project xCloud」を利用できないことについてBusiness Insiderへコメントを出している。サービスに含まれるゲームを個別に審査できないことが、App Storeのガイドラインに違反しているようだ。
マイクロソフトのProject xCloudは、クラウド上で実行されるXbox Oneゲームをストリーミングでプレイできるサービスだ。高速で安定した回線があれば、パワフルなデバイスもインストール作業もなしでゲームをプレイできる。海外では9月15日にAndroid端末でのローンチを予定。「Xbox Game Pass」とサービスが統合されることが発表されており、「Xbox Game Pass Ultimate」加入者なら追加費用無しで、スマホやタブレットで100以上のXbox Oneのゲームを遊び放題となる(関連記事)。
Project xCloudはすでにiOSやAndroidでテスト運用が行われていた。ところがマイクロソフトは、9月11日まで実施されるはずであったProject xCloudのiOS製品でのテストを中止し、Androidのみでのローンチになることを発表(The Verge)。テスト段階ではiOSでも利用できていたが、ユーザーがプレイできるタイトルは『Halo: The Master Chief Collection』のみ。これについてマイクロソフトは、The Vergeに対し、App Storeのガイドラインが原因であるとだけ語っていた。
そしてこのたび、Project xCloudがiOSでリリースされないことについて、Business InsiderへAppleはコメントを出した。App Storeのガイドライン違反、具体的には、ゲームを個別に審査できないことが原因であると説明している。「App Storeは、お客様がアプリを発見してダウンロードする安心で信頼できる場所であり、そしてすべての開発者にとってビジネスチャンスの場になるように作られました」と、Appleの広報担当者はBusiness Insiderに語っている。また「アプリがApp Storeにならぶ前に、すべてのアプリはお客様を守り開発者に公平な競争の場を提供することを目的とした、同じガイドラインに照らし合わせて審査されます」とのことだ。
さらに「我々のお客様は何百万もの開発者による素晴らしいアプリとゲームを楽しんでおり、ゲーミングサービスは、審査のために個別にゲームを提出し、チャートや検索で見ることができるといったことを含む、すべての開発者に適用される同じガイドラインを守っているかぎりは、もちろんのことローンチできます」とAppleの広報担当者は述べている。App Store内のゲームはひとつずつ個別に審査される。クラウドゲームサービスでは、Appleがゲームを個別に審査できないのがまずいのだ。
クラウドゲームサービスにはProject xCloudのほかにも、Google StadiaやNVIDIAの「GeForce Now」がある。いずれもiOSの端末では利用できないか、機能が制限されている。基本的にゲームをストリーミングできるモバイル端末は、Android製品に限られている。iOS端末でこれらのサービスが利用できない原因も、やはりAppleの規約に違反しているからだろう。
NetflixやSpotifyのような映画や音楽のストリーミングサービスは、コンテンツを個別に審査することなしにApp Storeで利用可能だ。なぜゲームに限ってガイドラインに違反しているのか、これについてもAppleはBusiness Insiderに答えている。ゲームは音楽や映画と異なりインタラクティブであり、また消費者はApp Storeで扱われるゲームに対し、一定の基準をクリアしていることを求めているからだ。後者に関しては、App Storeのユーザーレーティング機能への対応、Apple製のアプリ内課金用APIの使用などが、例として挙げられている。
あくまでApp Storeでゲームを配信することと、コンテンツのメディアの違いが重要であるようだ。はたして、クラウドゲームサービスがAppleのガイドラインをクリアし、iOS端末で利用できるようになる日はくるのだろうか。