Take-Two InteractiveのCEOであるStrauss Zelnick氏が、次世代コンソールにおける自社タイトルの値上げについて考えを語った。海外メディアGamesIndustry.bizが伝えている。Take-Two傘下にある2K Gamesは先月、バスケットボールゲーム『NBA 2K21』の次世代版における値上げを発表したばかり(関連記事)。一方、競合他社のひとつUbisoftは少なくとも今年のホリデーシーズンタイトルについて、現行機と同等のプライスで販売することを明かしている。GamesIndustry.bizの記者は、Take-Two第1四半期の決算発表に先立ちZelnick氏を直撃。次世代機における値上げや、Ubisoftが脅威となりうるかなどを詳しく聞いた。
「一線級タイトルを制作する費用は非常に増えているという事実にもかかわらず、これまで本当に長い間、価格の引き上げは行われてきませんでした」とZelnick氏は前置きする。「我々が消費者に提供する価値と、次世代機ならではのある種の経験を鑑みれば、価格はしかるべきものだと考えています。ただしそれは並外れた品質を提供しているときにこそ容易にいえることです。それこそ我々が誇りに思っていることなのです」。同様のことはゲーム市場調査会社IDG ConsultingのCEO、Yoshio Osaki氏によっても語られていた。PS3/Xbox360以来、テレビや映画コンテンツの価格は上昇しているにもかかわらず、ゲームのプライスは一定を保ってきた。その一方、タイトルの製作費は200〜300%高騰してきたといわれている。こうした状況を踏まえ、Zelnick氏は値上げの正当性を語ったのだ。
記者はZelnick氏に対し、Ubisoftについても質問を重ねる。消費者が値上げを受け入れるためには、AAAパブリッシャー業界の他社が(値上げへの取り組みに)参加する必要があると感じているかどうか尋ねたところ、次のような答えが返ってきた。「我々は自分たちのことしか語りません。いうまでもなく、私たちは業界を代表して話しているわけではありませんし、業界は当然のことながらこうした問題について調整していません。価格設定は体験のクオリティを反映していなくてはならないし、我々はビジネスで最高の体験を提供することを目指しています。我々の視点からしてみれば、価格が長期間にわたって変更されていないことを考えると、今回は非常に穏やかな価格変更です」。業界全体での価格設定に対する連携を否定すると同時に、自社における値上げの妥当性を改めて強調したかたちだ。
インタビューでは、新型コロナウイルスによる経済萎縮が次世代コンソールに与える影響についても尋ねられた。「(新型コロナウイルスの影響について)予測するのは極めて難しく、歴史的にもそれが試みられたことはありません」とZelnick氏は述べる。「我々は自社のタイトルを、現状でベストなプラットフォームで出します。これらのコンソールには非常に素晴らしいものを期待していますし、もちろんサポートを提供していきます。すでに『NBA 2K21』を次世代機でリリースすることや、『Grand Theft Auto V』を2022年度に次世代コンソールで出すことも伝えました。これ以外のアナウンスは出していません」。
なお決算発表において、Zelnick氏は次世代ソフトの価格を「タイトルごと」に決定して発表することを明らかにした。つまり、すべての次世代ゲームが必ずしも10ドルの値上げをするわけではないということだ。一線級企業の姿勢が今後各社の動向にどのような影響を与えていくか、気になるところだ。