Steamのデータベース情報を収集・公開しているSteam Databaseは7月30日、Steamストアの国設定およびユーザーのウォレットの通貨について、Valveが最近になって新たな制限を設けたと報告した。
Valveが通知したという「Update Store & Wallet Country」という投稿では、まずユーザーの国設定はSteamアカウント設定の一部にあり、設定した国によってSteamストアや、販売ゲーム・ウォレットの通貨に影響を与えるという。そして、もしユーザーがほかの国に引越しをしたり、一定期間を過ごす場合、その国での支払方法を用いた最初の購入を完了した際に、国設定を変更することができるとしている。
Steamのサポートページでも、ドイツからアメリカに引っ越した場合を例に「新しい国に引っ越したことを裏付ける為、次回以降のご購入は、アメリカで発行されたお支払い方法をご利用いただくこととなります」と案内。つまり国設定を変更するには、新しい国で発行されたクレジットカードなどを使って、購入を完了させる必要があるということのようだ。これをもってSteam Databaseは、VPNを用いてゲームを安い価格で購入することが難しくなるだろうと指摘した。
Steamは数多くの国の通貨での販売に対応している。そして、同じゲームでも国によって価格が大きく異なることが知られている。たとえば、昨日7月30日に配信開始した『カニノケンカ -Fight Crab-』は、日本では現在1782円、アメリカでは17.99ドル(約1877円)となっているが、アルゼンチンでは202レアル(約292円)とかなり安い。これは国ごとの物価を反映しているためであり、現地のユーザーからするとこれが適正価格である。
ただ、VPNを使ってアルゼンチン国内からSteamストアに接続しているように偽装し、安くゲームを購入する国外ユーザーが存在し、一部で問題視されている。Steam版『Horizon Zero Dawn Complete Edition』においては、アルゼンチンを含め(国外から見て)格安で販売されていた国での価格が、発売直後に何倍にも引き上げられ大きな話題に。はっきりとした理由は不明だが、VPNを悪用する国外ユーザーが相次いだためではないかとコミュニティ内では指摘されている(関連記事)。
VPNを利用して格安でゲームを購入しようとするユーザーは、国設定を変更する前にあらかじめアカウントのウォレットにお金をチャージしておき、それを使って購入することが一般的なようだ。今回Valveは、当該国で発行された支払い方法にて購入を完了させなければならないと通知しているため、そうした手法を封じる狙いがあると考えられる。
そもそも、VPNなどを使用し位置情報を偽装してSteamストアに接続することは、Steam利用規約に反する行為であり、違反者はユーザーアカウントへのアクセスが無効化される場合がある。それでもVPNを悪用するユーザーが後を絶たないため、Valveはさらなる対策に乗り出したのかもしれない。それぞれの国での適正価格を守り、現地ユーザーが不利益を被らないためにも、対策の効果が見られることを期待したい。