『ライフ イズ ストレンジ』開発元の新作ADV『Tell Me Why』8月27日にチャプター1配信。トランスジェンダーの主人公と双子の絆を描く

『ライフ イズ ストレンジ』開発元の新作ADV『Tell Me Why』8月27日にチャプター1配信。『Tell Me Why』は、トランスジェンダーの主人公と双子の絆を描く作品。Xbox One/PC対応。

マイクロソフトは7月24日、今後の新作タイトルを紹介する「Xbox Games Showcase」にて『Tell Me Why』の最新映像を公開。同作のチャプター1を8月27日に配信することを明かした。3チャプター構成となっており、チャプター2は9月3日、チャプター3は9月10日と、短い間隔で配信されていく。対応プラットフォームはXbox One/PC(Microsoft Store/Steam)。日本語字幕・インターフェイスに対応。Microsoft Storeでは3100円、Steamでは3132円で予約受付中だ。

『Tell My Why』は、『ライフ イズ ストレンジ』シリーズで知られるDONTNOD Entertainmentが開発するアドベンチャーゲーム。一卵性の双子であるタイラーとアリソン・ローナンは、10年間離れ離れに暮らしていた。そんな二人が、故郷の家を売るために再会。話し合う中で、自分たちの過去が記憶と異なることに気づき始める。二人は双子の絆を使い、美しいアラスカ州の小さな町で過ごした、愛おしくも苦難多き幼少時代の謎、そして母の死の真相を解き明かしていく。


タイラーとアリソンは、共に経験した事柄であっても、その記憶が異なる場合がある。二人は超能力のような絆によって、記憶の追体験が可能。そこで両者の記憶を辿り、どちらの思い出を信じるのか選択することに。選択の方向性が双子の関係に影響を及ぼしたり、双子の絆の強さを決定したりと、二人の進路を形作っていく。

なお開発陣はタイラーを「トランスジェンダーの男性」と表現している。トランスジェンダーのキャラクターを扱う上で、適切な人物描写になるよう、そして多面的なキャラクターに仕上げられるよう、本作はマイクロソフトおよびLGBTQ権利援護団体GLAADと協力しながら開発。タイラー役の声優August Aiden氏も、トランスジェンダーの男性である(Fluidity.Love)。


公式サイトのFAQによると、タイラーという名前は出生名ではなく、ゲーム内で出生名が使われることもないという。改名前の名前(Deadname)で呼ぶことは失礼に値するとの考えがあり、そうした点も踏まえて出生名を伏せていると考えられる。「Deadname」の言及は、海外では特に厳しく咎められる傾向にある。最近の事例で言うと、『Deadly Premonition 2』というゲームにて、トランスジェンダーに理解を示しているはずの主人公が、「Deadname」の言及を繰り返すという描写が批判の的となり、テキストの修正が入った(開発者SWERY氏のツイート)。『Tell Me Why』が公式FAQに項目を設け、出生名には一切言及しないと前もって伝えていることからも、デリケートなトピックであることがわかるだろう。

そのほかFAQでは、タイラーとアリソンの母はトランスフォビアなのかどうか、幼少期のトラウマのせいでトランスジェンダーになったという描き方をするのか、タイラーがバッドエンドを迎える可能性はあるのかなど、懸念視されそうな点をネタバレ覚悟で説明している。トランスジェンダーのキャラクターは、トラウマや苦しみを軸に描かれがちであることから、本作ではそうしたステレオタイプな描き方を避け、タイラーをより多面的なキャラクターとして描くよう力を入れたと記されている。それはエンディングの方向性にも影響しているようだ。またトランスジェンダーだけでなく、メンタルヘルスの分野や、アラスカの先住民族トリンギットについても調査を重ねたという。


『ライフ イズ ストレンジ』では、開発期間の都合上、新エピソードの配信までに数か月の間隔があいていた。『Tell Me Why』は1週間に1チャプターと、かなり短いスパンで配信されていく。ゆえにプレイヤーからのフィードバックを受けて軌道修正する開発スタイルではないのだろう。ただ、チャプターを分割して配信することで、ゲーム体験についてコミュニティ内で議論を交わしたり、続きの展開を予想したり、いろんな物語分岐を試してみたりといった時間の余裕が生まれると、Xbox Game StudiosのコミュニティマネージャーLivvy Hall氏は説明している(Xbox Wire)。

『Tell Me Why』は3チャプター形式で配信予定。対応プラットフォームはXbox One/PC(Microsoft Store/Steam)となっている。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

記事本文: 1953