レビュー集積サイトMetacriticが「ユーザーレビュー」の仕様を変更。ゲームの発売から36時間はレビュー投稿不可に
レビュー集積サイトMetacriticは7月18日、ユーザーによるレビュー投稿の仕様を変更したことを明らかにした。同サイトでは、これまではゲームの発売日になるとユーザーレビューを投稿できたが、今後は発売から36時間経たないと投稿できないという。たとえば、昨日7月17日に発売されたばかりのPS4『Ghost of Tsushima』のページでは、7月18日12時(太平洋標準時)からレビュー投稿が可能になると案内している。
Metacriticと同じくメディア企業ViacomCBSを親会社に持つGameSpotを通じて出された今回の発表によると、ユーザーレビューの投稿に36時間の“待ち時間”を設けたのは、レビューを書いてもらう前に、そのゲームをプレイしてもらう時間を確保するためだという。上の画像のように、レビュー受付前の新作ゲームのページでも、ゲームをプレイするよう促している。
今回の仕様変更は、データをもとにしたリサーチに加え、批評家や業界の専門家の意見も取り入れた内容とのこと。また、特定のゲームにおけるユーザーの行動によって決定したものではないとも述べている。
Metacriticでは、世界中のメディアレビューを作品ごとに集積し、それぞれの評価からメタスコアと呼ばれる数値を、満点を100点として算出している。同時に、ユーザーからのレビューおよびスコアの投稿も受け付けており、こちらは10点満点としてスコア化。業界への影響力がある著名サイトということもあり、非常に多くのユーザーを抱えている。
一方で、Metacriticのユーザーレビュー欄は、いわゆる「レビュー爆撃」の場となることもあり問題視されてきた。レビュー爆撃とは、特定のタイトルのスコア・評価を下げることを目的に、多数のユーザーが短期間に大量のレビューを投稿すること。これが発生する原因はタイトルによってさまざまで、ゲーム内の何らかの要素への批判がきっかけになることもあれば、開発元や販売元のスタッフの個人的な言動が引き金になることもある。
いずれにせよレビュー爆撃における投稿は、メディアレビューのようにゲーム全体を評価した内容ではないことがほとんど。わずかな言葉で不満を書き殴るだけのものも多い。そのため、明らかなレビュー爆撃が発生するたびに、Metacriticは問題のあるレビューを削除するなどの対応に追われてきた。
なお、作品の評価を下げるレビュー爆撃が発生すると、逆に評価を持ち直させようとして、ファンが好評レビューをカウンターとして大量に投稿することもある。これはこれで、Metacriticにとっては頭の痛い問題だったかもしれない。
今回の仕様変更により、発売日から36時間の待ち時間を設けて、ユーザーにそのゲームをプレイするよう促しているのは、発売前の情報や噂を根拠にしたレビュー投稿を防ぐことが目的だと考えられる。Metacriticは、レビュー爆撃対策だとは明言していないが、これにより一定の効果が見込めるかもしれない。
ただ、作品への批判の原因によっては、1日半という待ち時間がさして意味をなさないことも考えられるだろう。またMetacriticでは、ユーザーが対象のゲームを所有していなくてもレビューを投稿でき、これがレビュー爆撃を生みやすい背景のひとつだという見方もある。過去には、悪意を持った個人によって作品の評価が下げられたこともあった(関連記事)。今後の状況次第では、Metacriticはさらなる対策を取るよう迫られる可能性がありそうだ。