『レッド・デッド・オンライン』にて、道化師コスプレでデモを敢行するプレイヤーら現る。来ないアップデートを待ち続ける悲しきピエロたち
『Red Dead Online/レッド・デッド・オンライン(以下、RDO)』住民たちは鬱屈としていた。前回の大型アップデート「密造酒製造者」から早7か月が経つ。「白人カルト召喚騒ぎ」のような修正パッチはあったものの、新たなコンテンツが追加される気配は一向にない。よもやRockstar Gamesは『RDO』の存在を忘れているのではあるまいか。振り向いてくれない運営に一途な思いを募らせて、プレイヤーたちは民主主義的手段に訴えることにした。デモの敢行である。
ことの発端となったのはDiscordおよび海外掲示板Redditに存在する「Red Dead Fashion」コミュニティ。プレイヤーたちが気の利いたファッションや、他作品のキャラクターのコスプレなどを投稿する活発なスペースだ。そんなRed Dead Fashion界隈は、6月に初の試みとしてファッションコンテストを実施。「サンドニ」をお題としたコンテストは好評を博し、成功裏に終わった。そして早くも7月、新たに「今月のテーマ」が発表される。そのテーマとは「サーカス旅団」。シックな装いの多かった前回と比べ、ポップで華やかなコーディネートを楽しめる設定といえるだろう。
ところがお題の背景についての説明はやや不穏だ。「我々はみんなアップデートが来ると信じ続けているピエロなので、ゲーム内でもその通りドレスアップするのがお似合いだよね!」読んでわかる通り、これは痛烈な皮肉だ。しばしば間抜けな存在を指してピエロと揶揄することがある。『RDO』Discordサーバー管理者のひとりMagnar氏が海外メディアPolygonに語ったところによれば、『RDO』プレイヤーはしばしば「どうして楽しくもないのにゲームを遊び続けるのか」と謗りを受けることがある。確かにいつまでも新コンテンツが来ないゲームに不満を垂れ流しながらしがみついている義理はない。それでも『RDO』をすっぱり諦めることができない、ジレンマを抱えたプレイヤーたち自身を自虐的に「ピエロ」と表現したのが今回のファッションコンテストだという。
「『RDO』プレイヤーはピエロ」というミームは、6月末にはすでに界隈へ浸透していった。中にはファッションコンテストの域を外れ、そして今月10日にはプレイヤーのひとりPVPOnlyCat氏がイベントを企画する。ピエロのコスプレをしたプレイヤーばかりで集まり市中を占拠するのはどうかと申し出たのだ。このフラッシュモブは翌週末に実現した。西部の街角に突如大量のピエロ集団が現れ、大きな注目を集めたのだ。ピエロたちは記念撮影したり、馬上レースをしたり、列車をハイジャックしたりと思い思いに楽しいひとときを過ごしたようだ。
*ビビッドな緑色の「襟付きオーバーシャツ」(8ドル)が定番。所有していれば仮面を合わせても雰囲気が出る。
大元はRockstar Gamesへの不満に端を発していながら、どこか楽しげなオンラインイベントに昇華した『RDO』のピエロデモ。「不満を抱えた人たちが本当にネガティブなやり方でイライラをぶちまけているのを何度も目にしてきました」とMagnar氏は語る。「でも『RDO』コミュニティでは、多くの人がいまだにこのゲームを愛しています。Rockstar Gamesにがっかりしつつ、当たり前のことだと捉えて、そう、いまだに遊んでいるんです。でも私たちはどんな欲求不満も、もっと楽しくピエロ的なやり方でぶちまけていくでしょう」。ゲームへの深い愛憎から生まれた今回の出来事。今後Rockstar Gamesが『RDO』プレイヤーに報いることはあるのか、注目したいところだ。