PC版『Horizon Zero Dawn』一部の国で予約価格が突如値上げ、4倍に跳ね上がった国も。VPNの悪用が引き金か
配信日が決定し予約受付が開始したPC版『Horizon Zero Dawn Complete Edition』。SIEワールドワイド・スタジオであるGuerrilla Gamesが手がけたPS4向けファーストパーティタイトルが、PCでもリリースされるとあって話題だが、現在Steamの掲示板などではその予約価格について活発に議論が交わされている。一部の国にて、予告なく大幅な値上げがおこなわれたのだ。
本作の予約受付は、7月4日からSteamおよびEpic Gamesストアにて開始。日本での価格は4900円で、これは現在も変わらない。しかし、たとえばアルゼンチンでのSteam版の価格は、540ペソから2100ペソへと約4倍も値上げ。そのほか、ブラジル・ロシア・南アフリカ・トルコ・コロンビアなどでも、当初の価格より約2〜3倍に値上げされた。Epic Gamesストアにおいても、国によって同等の値上げがおこなわれているという。
Steamでの予約受付中に価格が調整されることについては前例がない訳ではないが、ここまで大幅な値上げがおこなわれるのは珍しい。上述のアルゼンチンでの旧価格540ペソは、日本円に換算すると約827円で、新価格2100ペソは約3200円となる。上に挙げたほかの国々でも、1000円台から4000円台へと値上げされた計算である。
日本での価格が4900円であることを考えると、こうした旧価格は安すぎたように感じるかもしれない。しかしこれらの国々では、もともとほかのタイトルでも日本円に換算するとかなり安く設定されている。たとえば、最近人気の魔女っ子アクションゲーム『Little Witch Nobeta』のアルゼンチンでの価格は日本の約五分の一であり、同国の『Horizon Zero Dawn』の旧価格とほぼ同じ水準だと言えるだろう。これは国によって物価が異なるからであり、そのためSteamなどでは、国ごとに価格設定できる仕組みを用意し対応しているわけだ。
では、なぜ今回このような大幅な値上げがおこなわれたのだろうか。本稿執筆時点ではSIEもGuerrilla Gamesもコメントを出していないため理由ははっきりしないが、Steamの本作の掲示板などでは、VPNを使ってアルゼンチン国内から接続したように偽装し、『Horizon Zero Dawn』を格安で購入する他国ユーザーが相次いだからではないかという見方が強い。本作の予約開始直後には、「たった7.6ドルで購入できるぞ」と掲示板に投稿するユーザーもいた。
値上げして価格面でのメリットが少なくなれば、VPNを使って購入しようとするユーザーは減るかもしれない。しかし現地で暮らすユーザーからすると、正規価格が急に何倍も跳ね上がるのはたまったものではないだろう。アルゼンチン在住だという海外フォーラムResetEraユーザーHikari_Ryu氏は、同国ではインフレと関税によりPCなどのハードウェアの価格はアメリカと比べて2〜3倍はするが、Steamでは適切な価格設定がなされてきたと述べる。しかし今回の値上げを受けて、他国ユーザーが国別の価格設定を悪用し続けるなら、ゲームすら手にできなくなると嘆く。そして、第一世界に暮らしながら得をしようとこれを悪用するということは、自分よりもずっと所得の低い人たちを狩るような行為であると非難している。
先述したように、今回の値上げの理由については現時点ではまだ公式には明らかにされていない。それぞれの国にとって適正な価格にいずれ戻されるのか、SIEの対応には注目が集まる。なおSteamの利用規約では、所在地を偽って接続する行為については目的を問わず禁止しており、違反者はユーザーアカウントへのアクセスが無効化される場合がある。低価格で販売されている国があるからといって、VPNなどを利用することは規約違反となるため注意したい。
PC版『Horizon Zero Dawn Complete Edition』は、SteamとEpic Gamesストアにて8月7日発売予定だ。