インディースタジオのLone Pine Gamesは6月12日、街作りゲーム『NewCity』の早期アクセス配信をSteamにて開始した。同作は、90年代後期の街作りゲームのビジュアルスタイルに、複雑な経済や交通システムの要素を加えた作品だ。発表当初のタイトルは『New Cities』だったが、3月に『NewCity』へと変更されていた。
『NewCity』はクラシックな街作りゲームらしいビジュアルが特徴の1つ。開発者のLone Pine氏が人生で初めて没頭したゲームは『SimCity 2000』。その後『SimCity 3000』『Pharaoh』といったゲームへのめりこんでいったという。『NewCity』のビジュアルスタイルも、これらのゲームのスタイルを受け継いでいる。『NewCity』の街は遠近感を排したアイソメトリック図法で描画されている。遠くのオブジェクトも、近くのオブジェクトも基本的に同じ大きさで描かれる。ゲームは3D空間だが、まるで往年のシティビルディングゲームのような質感。ただしオプションで遠近法カメラに切り替えることもできる。こちらはより現代的な3Dの街作りゲームらしい見た目で遊ぶことができるはずだ。
ゲームの目的は高密度な都市を作ること。街を発展させるためには、まずは道路を敷くことから始める。道路の周りにエリアを設置していくことで、住宅や産業施設が自動的に出来ていく。産業には農業や商業、工業、オフィスがある。住宅や産業はそれぞれの需要が増加すると建設されていくようだ。しかし街が大きくなると、犯罪や公害も増える。教育機関や公園、警察署を設置することで、これらの問題に対処していこう。教育には高校卒業、学士、博士、教育なしの4つのレベルがある。工業は高校を卒業した市民が必要で、オフィスを運営するには大学を卒業した市民を育てる必要がある。
道路の種類は並木のある道路から高速道路、一方通行道路までさまざま。トンネルや高架を作って、立体交差するインターチェンジも作成できる。道路を走るのは、自家用車と貨物トラック、そしてバス。自転車や歩行者は現時点では確認できないが、将来的に実装される予定だ。公共交通機関にはバスと電車が用意されている。プレイヤーが自分で路線を設定して、ルートを巡回させていこう。学校の周りにバスのルートを設定すれば、学生が利用してくれるだろう。
『NewCity』の街は景気の波によって、衰退したり繁栄したりダイナミックに変化する。街には人口・収入・失業率といった指標が存在する。街の経済に影響を与えるこれらの要素に気を配りつつ、限られた資金をやりくりする。予算をオーバーすると自動的に借金でまかなわれるが、それにも限界がある。上手く予算配分を行い、問題を解決しつつ都市を発展させるのだ。
ゲームにはいくつかヒートマップが存在していて、街のパラメーターを視覚的に確認できる。地価・汚染・教育・繁栄・犯罪・都市密度・コミュニティ・健康・交通と、いくつものヒートマップが存在する。たとえばコミュニティヒートマップでは地域社会のつながりの強さがマップに表示される。コミュニティが強ければ、住宅需要が増加し、観光客が増え、街に繁栄をもたらすだろう。一方これらのヒートマップの値が悪化すると、街に悪影響を及ぼし施設は廃棄されてしまう。
『NewCity』では、住民の生活を追いかけることもできる。住民は画面には直接表示されないが、リアルタイムで生活を送っている。彼らは家庭と仕事場を往復するだけでなく、友人の家や買い物へ行ったりと自分の生活を持っているのだ。Lone Pine氏によると将来的には友人や、クラスメート、同僚と一緒に出掛けるなどの行動も追加していきたいとのことだ。
難易度はEasyからVery Hardまでの4段階から選べる。マップは5×5マスを1チャンクとして、10×10チャンクの小さいものから125×125チャンクの超巨大なマップまで6段階。Mod機能もあり、ゲーム内のテクスチャやシェーダー、建築物のデザインを変更できる。
『NewCity』は、アイソメトリックなグラフィックが手伝って、非常に高密度な都市を作り上げられる。都市が発展すればストアページにあるような、画面いっぱいに道路とビルがこれでもかとみっちり詰まった画を楽しめそうだ。確かに早期アクセスということで、動作が不安定だったり、UIが分かりづらい点は存在している。それでも『シムシティ』ライクな街で、しかもそれを巨大なマップで遊べる本作は、のビジュアルがは十分に魅力的であると筆者は感じている。
『NewCity』の対応プラットフォームはWindows/Linux。Steamでの価格は2050円。正式版は2020年内にリリース予定だ。