PS5/PC『Ghostwire: Tokyo』はホラーではなく「魔法と出会ったカラテ」。ハイテク忍者エクソシストとなり、九字切りコンボで悪霊退散バトルアクション

 

Bethesda Softworksは6月11日、自社ウェブサイトにてPlayStation 5/PC向け新作『Ghostwire: Tokyo』の詳細情報を公開している。三上真司氏率いるTango Gameworksが開発する本作は、6月12日に放送されたデジタルショウケース「PS5 THE FUTURE OF GAMING」でトレイラーが放送され注目を集めていた。映像からは謎めいた世界観が断片的にうかがえるばかりだったが、Bethesdaの紹介記事によりそのディティールが明らかとなっている。

『Ghostwire: Tokyo』の舞台となるのは2021年の東京だ。あるとき謎の現象に見舞われた東京は、人口の99%が突如として消滅してしまう。人々の消えた通りは静まりかえり、代わりにこの世ならざる霊体たちが市街にはびこるようになる。そして壊滅的なオカルト現象の影には、般若の面をかぶった正体不明の集団が暗躍していた。主人公は未知なる超自然のパワーを駆使する者として霊を打ち祓い、消滅の謎について迫ってゆく。消えゆく東京の運命はプレイヤーにかかっているのだ。

美しくも妖しく描かれたトレイラーを観た視聴者は、少なからず背筋の冷える感覚を覚えたはずだ。また『バイオハザード』シリーズの生みの親である三上真司氏、そして『サイコブレイク』シリーズのTango Gameworksの名前を見れば、本作を一見して「ホラーゲーム」と認識するのも無理からぬことだろう。しかし開発陣は、『Ghostwire: Tokyo』はホラーではないと語る。緊迫感ある演出や忘れがたいクリーチャーなど、Tangoが得意とする恐ろしげな魅力の数々は、あくまで本作の核となる「アクションアドベンチャー」へと誘う入り口なのだという。


その事実を雄弁に語るのは、本作のコンバットディレクターを務めるShinichiro Hara氏だ。同氏は2016年発売のFPS『DOOM』でアニメーションディレクターを務めていたことでも知られる。本作における戦闘を構築するため、Hara氏は独特のコンボシステムを生み出した。同氏が着眼したのは日本独自の作法「九字切り」である。仏教や道教の影響を受けて誕生した護身法で、両手を使って複雑な印を結ぶことで祝言や呪術として用いられる。Hara氏はこの動きにインスパイアされ、これまでにないアクションシステムを確立した。

改めてトレイラーを観てみると、確かに一人称のプレイヤーの両手が複雑な印を描きながらバトルが展開されているのがわかるだろう。PS5コントローラーの触覚フィードバックと合わさって、他では味わえないユニークな手応えの戦闘が味わえるようになっている。「タフな呪術使いで、ハイテクな忍者エクソシストとして無数の悪霊を祓う体験をしてほしいんです」とHara氏は語る。シンプルな銃ではなくあえて複雑な「手」の動きをメインウェポンにすることで、キャラクターの手がそのままプレイヤーの腕の延長であるような感覚を抱かせるのだという。「空手が魔法と出会ったようなものです。魔法使いは大抵フィジカル面が弱いように描かれますが、『Ghostwire: Tokyo』では違います。本作では、格闘しながら呪術を操ることになるんです」。


Hara氏の功績といえば、『DOOM』における「グローリーキル」の実装を欠かすことはできないだろう。ただ遠くから銃撃するのではなく、あえて接近戦で敵にトドメを刺すことでスペシャルな残虐演出が見られるうえ、追加の体力や弾薬といったボーナスが得られるシステムだ。『DOOM』に限らず多くのゲームでキルムーブを発動するには接近戦が不可欠となるが、『Ghostwire: Tokyo』では近接・遠距離どちらの戦い方でも特別なトドメの刺し方ができる。たとえば敵のコアが露出しているのを狙い、魔術的なワイヤーでそれを引きずり出すといったアクションが可能だ。このほか、ワイヤーを使って何体もの敵をチェインキルすることもできるという。

『Ghostwire: Tokyo』における敵=「ビジター」にはそれぞれ強みと弱点があり、効きやすい攻撃と通りにくい技がある。敵ごとの特性を把握しておかないと、あっという間に首なし女学生に取り囲まれたり、白無垢が造るバリケードに追い込まれたりしてしまうだろう。本作における幽霊たちは日本古来の伝承に沿って生み出されているが、その造形には現代的なひねりが加えられている。しばしば昔話に着物姿で登場する「のっぺらぼう」は、『Ghostwire: Tokyo』ではスーツを着込んだサラリーマンとして現れる。このほかにも黄色いレインコートを着た「雨わらし」や、すばやく距離を詰めて大きなハサミで襲いかかる「口裂け」など多数の妖怪が登場するそうだ。

霊たちはいずれも「命」や「人間性」の別の側面を表しているという。「概して『Ghostwire: Tokyo』における敵は、怖い(scary)だけではなく非常にゾッとする(creepy)ように作られています。日本の幽霊や妖怪にはこれが不可欠なんです」。個性的な敵キャラクターは本作の世界観を構築するのに大きな役割を担っている。現代的な都市の真ん中でフォークロアの悪霊と対峙する、奇妙で新鮮な感覚がプレイヤーを襲うだろう。


『Ghostwire: Tokyo』では、誰もがよく知る東京のロケーションがいくつも登場する。それでいて見慣れたはずの景色は、どこか違った妖気をまとって描かれているのだ。美しさと不気味さが同居する東京の街並みは、PS5のグラフィック描写力やオーディオ性能の力でいっそう臨場感をもって迫ってくる。ゲームディレクターの木村憲司氏の言葉によれば、「このような東京は誰一人見たことも聞いたこともないと思います。『Ghostwire: Tokyo』をプレイすると、普段の現実の都市では聞けない音が聞こえてきます。プレーヤーがそうした音を3Dサウンドで聞くと、その音を作り出しているのが何かを突き止めたくなるのではないかと思います」とのこと。

また木村氏、ひいてはTangoのチームは東京の「ふたつの面」を融合させることにこだわった。かたや高層ビルが立ち並び、テクノロジーが行き届いた現代都市としての側面。かたや、伝統が今も息づく古色蒼然たる側面である。プレイヤーは摩天楼の屋上に登って広大な景色を見晴らすこともできる。あるいは通りを歩いてふと、ビルとビルに挟まれた古き良き小さな銭湯にはっとすることもある。新しくも懐かしい、けれど見慣れた姿とはどこか違う東京を探索することも、本作の大きな楽しみとなるだろう。

『Ghostwire: Tokyo』はPS5/PC向けに、2021年の発売を予定している。