開発中止された「アベンジャーズ」のゲームのプロトタイプが発掘。アイアンマンなどになりきってプレイできる一人称視点アクション
現在は存在しないパブリッシャーのTHQがかつて手がけるも開発中止になったという、マーベルの「アベンジャーズ(The Avengers)」をもとにしたゲームが発掘されたようだ。ゲームのプロトタイプ版の情報を収集しているPtoPOnlineのAndrew Borman氏は6月2日、その作品のゲームプレイ映像を投稿した。
発掘された作品は『The Avengers』というタイトルで、2011年7月14日付のXbox 360版のビルドだそうだ。テクスチャやオブジェクトが仮のままのところが多く、いかにも開発途中のバージョンといった雰囲気であるが、アイアンマンやソー、ハルク、キャプテン・アメリカといったキャラクターを使ったプレイが可能。4人協力プレイに対応し、ソロプレイではCPUがほかのキャラクターとして同行するようだ。
本作は一人称視点を採用し、ステージを進む中で、それぞれのキャラクターの持ち味を活かしたバトルを楽しめることがうかがえる。たとえばアイアンマンは掌からリパルサーレイを発射し、キャプテン・アメリカはヴィブラニウムの盾の投擲が可能。また、各キャラクターには3種類のクールダウン制のスキルが用意され、ハルクが地面にひび割れを起こして敵を攻撃したり、ソーが雷を発生させる様子などが見られる。
映像にはメインメニュー画面も収録されており、マンハッタンやマザーシップなど4つのチャプターに、それぞれ複数のミッションが用意されていることが分かる。なお、画面下にはPvPを楽しめるDLCや、スキンパックの配信を予定している旨の表記が見られるが、Borman氏によるとこの記載内容自体は仮のものだろうとのこと。
このTHQ版『The Avengers』は、正式に発表されないまま開発中止となったが、実は本作の映像は2011年にも流出していた。当時海外メディアKotaku Australiaは、THQ Studio Australiaを中心にPC/PS3/Xbox 360向けに開発されていた作品だと報じている。開発は18か月にわたっておこなわれていたものの、同スタジオが何らかのトラブルを抱え、それを知ったスタッフがマーベルの助けを得ようとして上の映像を制作して送ったのだという。しかし結果的に、プロジェクトはTHQによって中止されてしまったそうだ。
2011年というと、THQにとって激動の年だった。同社はそれまで映画などのライセンスを受けたゲームを多く手がけていたが、オリジナルIPに集中するよう方針転換。スタジオの再編を進めていく中で、THQ Studio Australiaも閉鎖した。しかし、いくつかのタイトルの不振に加え、Wii版に続いてリリースしたPS3/Xbox 360向けお絵描きゲーム『uDraw Studio』も失敗。その周辺機器のタブレット製造が重荷となり、翌年2012年のTHQ倒産に繋がっていったとされる。
「アベンジャーズ」のゲームはいくつかリリースされているが、一人称視点の作品は珍しい。先述の映像を見たマーベルは感銘を受けたとされるが、実際に発売されていればどのような評価を受けたのか興味深い。なお、「アベンジャーズ」のゲーム作品というと、スクウェア・エニックスが『Marvel’s Avengers(アベンジャーズ)』を開発中で、今年9月4日に発売予定。6月24日には最新ゲームプレイ映像や協力プレイの情報が発表予定となっている。