ソニー・インタラクティブエンタテインメントは6月2日、PlayStation 5(PS5)のゲームソフトを紹介するイベント「PS5 THE FUTURE OF GAMING」の6月5日の放送を見合わせると発表した。同放送では、日本時間6月5日(金)の午前5時より、YouTubeとTwitchにてデジタルショーケースでソフトラインナップを紹介するとしていたが、これが延期になるということだ。
ゲームソフトのラインナップについては「新しいスタジオからベテランのチームまで、規模の大小を問わず、世界中の革新的な開発会社の皆様が日々、PS5向けのゲーム開発にご尽力いただいています。ハードウェアの可能性を引き出すべく制作されたゲームの数々は、業界の中でも選りすぐりのものになるでしょう。」と告知されていた。放送の長さは1時間強ということでかなり長丁場。内容の充実度にも期待されていたが、少なくとも今週に見ることはできないようだ。
延期の理由について、ソニー・インタラクティブエンタテインメントはTwitterの投稿の中で「世界中のファンがPS5のゲームを見ることに期待を寄せているのはわかっている」としながら、「今はお祝いをするべきタイミングではない」とコメント。「身を引いてより重要な声が聞こえるようにしたい」とも語っている。
はっきりとは語られていないが、この延期にはアメリカで起こった黒人死亡事件およびそれに反対するデモ活動が絡んでいるだろう。先月25日に、46歳のアフリカ系黒人男性が、アメリカ・ミネソタ州のミネアポリスで警察官に首を押さえつけられ亡くなった。黒人男性が「息ができない」と訴える様子を撮影した動画が、SNSで拡散。それまでの黒人への仕打ちの背景や、現場対応にあたった白人警官4人が免職されただけで、逮捕にまで至らなかったことなどが重なり、各地でデモが起こり抗議活動が繰り広げられている(ハフポスト)。
企業からも黒人に対する暴力や形式的な人種差別の撤廃を訴えるハッシュタグ「#BlackLivesMatter」を使った意思表明がなされている。Bethesda SoftworksやAnnapurna Interactive、Naughty Dogのほか、ソニー・インタラクティブエンタテインメントも、同ハッシュタグにて黒人に対する差別と暴力に抗議すると表明していた。延期発表直前にこの抗議ツイートを投稿していたことから、発表会の延期はアメリカの情勢に基づくものであると推測できるだろう。
※なお黒人差別への抗議は、SonyアカウントやSony Musicアカウントからも投稿されており、グループ全体としての姿勢であることがわかる。
情勢に配慮したゲーム番組の延期といえば、任天堂も北海道にて地震が起こった際にNintendo Directを延期していた。PS5の発表イベントが盛り上がれば、黒人差別への抗議運動が矮小化される可能性もある。アメリカに本社を構えるソニー・インタラクティブエンタテインメントだからこその配慮とも言えよう。
現時点で、「PS5 THE FUTURE OF GAMING」の放送時期は未定。ひとまず公式からの発表を待つことになりそうだ。