初代『アサシン クリード』のサイドミッションの一部は発売直前に急遽追加された。きっかけは「CEOの子供」の一言

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Ubisoftの人気アクションゲーム『アサシン クリード』シリーズは、今年発売予定の最新作『アサシン クリード ヴァルハラ』にてメインタイトルとして12作目となる。そのシリーズの原点となった第1作目『アサシン クリード』の開発裏話が、当時のスタッフによって明らかにされた。

Ubisoftにて『アサシン クリード』シリーズの初期タイトルに携わったプログラマのCharles Randall氏は5月23日、「あなたの専門分野におけるホラー体験を5単語以内で教えてください」というツイートに反応。「The CEO’s kid played it(CEOの子供がプレイしたこと)」と返し、それがきっかけで人生でもっともクレイジーな5日間を過ごすことになったとしている。

Charles Randall氏は、『アサシン クリード』の開発が完了しリリースの準備ができた当時のことを振り返る。提出したゲームへの反応は上々だったそうだが、CEO(最高経営責任者)の子供がプレイした際に「何もやることがなくて退屈だよ」と述べたという。すると上司がやってきて、サイドミッションをたくさん追加する必要ができたとRandall氏に告げた。与えられた時間はわずか5日間で、しかも完成したらすぐにディスクのプレスを始めるため、バグも許されなかった。

クリエイティブディレクターのPatrice Désilets氏からは、サイドミッションを追加するためのプランが提示されていたが、実行するかどうかはRandall氏が参加するかどうかに委ねられた状態だったという。同氏は少し時間をくれと言って音楽をかけて机に突っ伏し、アルバム1枚を聴き終わったところで、4〜5人のサポートをつけることを条件に、仕事を引き受けることを待っていた上司に伝えたそうだ。

開発作業は、モントリオールにある施設の特別な一室にPCを持ち込んでおこなったそうだ。そこは特別なキーカードでしか入室できず、当時はRandall氏を含む開発メンバー以外はシャットアウトしていたという。新たなアートを制作することはなく、すでにゲーム内にあるアセットを利用してミッションを作り、組み込んでいったとのこと。Randall氏は、具体的な様子はもうはっきり覚えていないものの、5日間で実装までやり遂げたのだから、すべて上手くいったということだけは分かっていると述べる。

バグを起こさないことも求められていたが、こちらについてはいくつか問題が残っていたようだ。たとえば、あるテンプル騎士団が誤った区域に配置されており、特定の方向から攻撃するとマップをすり抜けていってしまう。この場合ゲーム側は死亡扱いにし、そのキャラクターはもう出現しない一方で、プレイヤーによるキルとしては記録されないため、テンプル騎士団を全員倒すという実績が解除できなくなってしまうそうだ。また、コントローラーを2つ接続するともうひとりのアルタイルが出現するバグも、この時に生まれたものだろうとしている。

Charles Randall氏は、あの部屋にいつ入って出ていったかも覚えておらず、ただ地獄あるいは煉獄のような場所で死んでいたことだけは覚えていると振り返る。そうした極限状態にあったためか、具体的にどういったサイドミッションを追加したのかは触れられていない。ただ、最終的に本作に収録されたサイドミッションのうち小規模なものが、発売直前の5日間で追加されたそうだ。

突然の激務に巻き込まれたRandall氏だが、CEOの子供の一言がきっかけだったというのはそう聞かされたからだそうで、実際のところは分からないとのこと。同氏自身は、当時CEOに子供がいたのかもどうかも知らないとしている。ただ、サイドミッションを追加することは、正しいことであり必要なことだったと振り返る。また、開発の最終盤で変更がおこなわれることはよくあることであり、同氏としては面白い逸話として今回共有したそうだ。もっとも、こうした話は面白がって受け止められるとは限らないため、ほかの開発者は公にはしたがらないだろうと述べ、深刻には受け止めないでほしい旨を語っている。

確かに、現在の作品の開発事情としてこうした裏話をすると、労働環境に問題ありとして会社が糾弾されることになるだろう。今回も、一部ではそうしたコメントが見られる。一方で、ゲーム史における重要人物として宮本茂・小島秀夫・Jeff Minter・Peter Molyneux・John Romero各氏らと並んで“Ubisoft CEO’s Kid”を挙げる人や、「Ubisoft作品のマップに常時1万個のサイドミッションのアイコンが表示されるようになったのは、これがきっかけだったんだな。ありがとう、CEO’s kid」といったコメントも(Eurogamer)。CEOの子供が登場するシチュエーションにはRandall氏も滑稽に感じたそうだが、同様に面白がるゲーマーも多いようだ。Randall氏は、ほかにも多くの開発裏話を持っているそうで、すべて共有したいとしているため、また何か興味深い逸話が飛び出すかもしれない。

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