中国テンセントが『System Shock 3』のドメインを取得。窮地のプロジェクトに新たな資本投入か
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中国テンセントが「SystemShock3.com」および「SystemShock4.com」のドメインを取得したようだ。海外メディアVGCが報じている。両ドメインは、これまで開発元のOtherSide Entertainmentが保有していたが、現在はテンセントが保有している。Whois検索で、実際にテンセント・ホールディングスがサイトを保有していることを確認できる。VGCの報道によると、移管がおこなわれたのは先週のことだという。
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『System Shock 3』は、人気シリーズ『System Shock』最新作。一人称視点のサイバーパンクRPGとして開発された初代『System Shock』は、後続のタイトルを生んだり、携わったスタッフがのちに『BioShock』シリーズを立ち上げるなど、さまざまな作品を誕生させるきっかけとなった作品。久しぶりの新作となる『System Shock 3』は、権利元であるNightdive Studiosの公認を得ており、初代に関わったスタッフも多く在籍するOtherSide Entertainmentのもと、アメリカ・テキサスのオースティンにて開発されていた。GDC 2019のUnityキーノートで公開された美しい映像は、開発が順調に進んでいることを予感させた。
しかしながらパブリッシャーを務める予定だったStarbreezeグループが経営不振に陥り、OtherSide Entertainmentが権利を取得してからは険しい道のりが続く。続報が途絶えたほか、主要スタッフの離脱やゲームエンジン変更による開発難航などが報じられ、さらにパブリッシャーも見つかっておらず、新作のリリースそのものが危ぶまれていた(関連記事)。しかしテンセントがドメインを保有するとなれば、テンセントが『System Shock 3』となんらかの関係を持ち、ゲーム開発に資本が投じられている可能性を示唆する。資本の投下対象が在籍スタッフも数少ないとされているOtherSide Entertainmentであるかは定かではないが、新作の開発については希望が持てるかもしれない。
テンセントと言えば、最近になり北米にもスタジオを構えゲーム開発を進めるという報道が出たばかり。EAや343 Industriesなど数多くの会社にて活躍してきたゲームデザイナーのScott Warner氏が先日Ubisoftを退職し、テンセントの北米スタジオのスタジオディレクターに就任したという(doope)。これらのスタジオが『System Shock 3』に携わる可能性もあるかもしれない。
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テンセントは、さまざまなゲーム会社と資本提携を結んでいる。テンセントと資本提携を結んだプラチナゲームズは、テンセントのバックアップを受けたことにより念願のセルフ・パブリッシングを果たしている。もしドメイン取得が資本提携のヒントになるとすれば、『System Shock 3』の開発に助け舟がきていることになるだろう。
いずれにせよ、公式発表がない以上は推測に過ぎない。どのような形になるにせよ、『System Shock 3』が世に出ることを願いたいところだ。