『Anthem』の再開発はまだ最初期段階。本格プロダクションには入っておらず
BioWareは5月15日、自社公式ブログにて『Anthem』の進捗報告をおこなった。今年2月、BioWareは『Anthem』を抜本的に見直す大規模な改修作業を進めていくと発表。広大なSF世界を飛び回り戦う本作ならではの楽しさを残しつつ、明確な目標や挑戦しがいのあるコンテンツ、有意義な報酬のともなう成長システムなどが備わるよう、ゲームプレイループの芯となる部分を刷新。長期的なゲーム体験の再設計を目指すことが明かされた。そしてこのたび、『Anthem』改修作業の試作段階が始まったと報告された。
海外メディアからは「Anthem 2.0」や「Anthem Next」と呼ばれている、BioWareの新たな取り組み。現在は30人ほどのインキュベーションチームによる試作を通じて、ゲームデザインに関する仮説の妥当性を検証しているという。プレイヤーに好まれた要素を存分に活かしつつ、十分な水準に満たなかった部分を改善するための実験工程だ。ゲームを根本部分からじっくりと見直しているため、長いプロセスになるとのこと。まだ本格プロダクションには入っていない。そのため新生『Anthem』が日の目を見るのは、かなり先の話になるだろう。
開発の進捗状況や方向性をオープンかつ実直に伝えるべく、今後は公式ブログやライブストリームを通じて定期的にコミュニケーションを図っていく予定だという。ときおり、ブログを更新しているChristian Dailey氏が身を縮めて部屋の隅で泣いている様子を流すかもしれないという、ちょっと悲しいジョークも交えて説明された。
今回ブログを更新したDailey氏は、『Anthem』の開発を指揮しているBioWare Austinのスタジオ・ディレクターに就任した人物。これまでは『Anthem』ライブサービスのフランチャイズ開発ディレクターとしてプロジェクトに関わっていた。このところ、BioWare公式ブログにおける『Anthem』関連記事の投稿者は頻繁に変わっていた。2019年、ライブサービス責任者Chad Robertson氏、リード・プロデューサーのBen Irving氏と、『Anthem』チーム主要メンバーの退社報告が続き、情報発信者が何度も入れ替わっていたからだ。今後はDailey氏がチームの顔として情報を発信していくと考えられる。
大型タイトルの「2.0化」や「再ローンチ」は近年増えつつある。仕切り直しによりプレイヤーの信頼を取り戻すチャンスであると同時に、「ふたを開けたら期待していた内容と違った」という失望を招くリスクも背負っている。たとえば『Anthem』と同じルートシューターである『ディビジョン2』は、大規模改修がともなう3月の大型アップデート以降、コミュニティから落胆の声が相次いでいる。コミュニティとの密なコミュニケーションに加え、大規模な改修の後につきものなトラブルに迅速かつ適切に対応できる運営体制を取れるかどうかも、再ローンチを軌道に乗せる上で重要になってくるだろう。
なお『Anthem』では2月以降、既存プレイヤー向けの施策としてコンテンツ・報酬のローテーション制度が取り入れられている(アップデート1.7.0)。現在はゲームの改修作業中につき、しばらくの間はめぼしい新規コンテンツを期待できない。新しいコンテンツは望めないが、少なくとも時期によって異なるイベントやチャレンジに挑めるようにはなっている。