パーティゲーム『Audio Party Pack』Steamにて早期アクセス版無料配信開始。目の見えない人とも遊べる「音」を使ったミニゲーム集


国内のゲームデベロッパー・ギフトテンインダストリは5月14日、パーティゲーム『Audio Party Pack (オーディオ・パーティパック)』の早期アクセス版を無料でリリースした。正式版の発売は2020年秋を予定している。本作はWindowsおよびMac向けにSteamにて配信されており、対応言語は日本語・英語・中国語(簡体字)。プレイ人数は2名で、遊ぶときは外付けのスピーカーが必要となる。

『Audio Party Pack』は音を聞きながら、目が見えない人とも一緒に遊べるパーティゲームだ。3つのミニゲームで構成された本作は、それぞれ違った角度で音を使った遊びを楽しむことができる。対象年齢が6歳~と低めに設定されているため、子どもから大人まで楽しむことが可能だ。

収録されたミニゲームのひとつが「ギリギリ収穫祭 / GIRI GIRI HARVEST」。2人対戦型のゲームとなっており、畑に生えた作物をより多くゲットしたプレイヤーが勝者となる。ただし畑にはポイントとなる作物以外に、怪しい叫び声を発する「マンドラゴラ」も混入している。うっかりマンドラゴラを引き当てて3回同じ声を聴くとリタイアとなってしまうため、お互いの音をよく聴きながらギリギリまで前進して作物を集める必要がある。シンプルなルールながら、駆け引きが熱いバトルを楽しめそうだ。

一方、協力型のゲームとなるのが「ブルブル貝殻 / BURU BURU SHELL」だ。片方のプレイヤーは出題されるお題の音を聴き、「◯◯っぽい音」「〜に感じる音」など、相手に伝えやすそうな音を選択する。もう片方のプレイヤーが与えられたヒントをもとに、お題の音を当てることができればステージクリアだ。お互いのフィーリングを合わせ、以心伝心となることが問題を突破する鍵となる。

もうひとつ協力タイプのゲームが、「ドキドキ潜水艦 / DOKI DOKI SUBMARINE」だ。プレイヤーたちは潜水艦の乗組員となって、敵や障害物を魚雷で撃ち落とす必要がある。しかし画面には敵影などの情報はほとんど表示されない。そこで重要となるのが、プレイヤーの片方が担うことになる「ソナー役」だ。ソナー役はスピーカーを耳に当て、音を頼りに障害物の位置をもう片方の「操縦士」プレイヤーに伝える。指示を受けた操縦士は、潜水艦を操作しながら敵を狙って魚雷を発射。うまく相手を撃沈させるにはソナー役と操縦士のコンビネーションが不可欠だ。

本作の開発には視覚障がいの当事者として、全盲の個人ゲームデベロッパー野澤幸男氏を迎えている。同氏はこれまでにも、音声だけを用いてプレイするオーディオゲームを開発し個人ウェブサイトで公開してきた。2018年には、接近してきた敵を音だけで察知して倒す作品『Screaming Strike』を東京ゲームショウに出展している。野澤氏は『Audio Party Pack』のBGM・効果音・開発ツールの一部を担当したほか、目の見えない人に向けた操作性に関するアドバイザーも担ったという。

ギフトテンインダストリは国内でボードゲーム・テレビゲームを開発する少人数企業。過去作としては、Nintendo Switch向けソフトでありながら「公式サイトからプリントアウトした紙を切ったり、折ったりする」ことで謎を解く異色のADV『紙謎 未来からの想いで』や、同じく印刷した間取り図を利用する探索ゲーム『マドリカ不動産』(関連記事)などがある。本作も、枠組みに囚われない挑戦的なものづくりを続けてきたギフトテンインダストリならではの作品といえそうだ。

『Audio Party Pack 』は現在、Steam(Windows / Mac)にて早期アクセス版を無料で配信中だ。正式版の発売は2020年秋を予定しており、その際価格の引き上げがされるとのこと。言語は日本語のほか、英語・中国語(簡体字)に対応。プレイ人数は2名で、遊ぶときは外付けのスピーカーが必要だ。