『GTAオンライン』で暴れる「緑エイリアン」に対抗し「紫エイリアン」登場、宇宙戦争状態に。開発元は50万ドルばらまきで火に油を注ぐ

『GTAオンライン』で、緑エイリアンと紫エイリアンの抗争が加熱している。ごく普通のギャングと犯罪で満たされていたロスサントスは、宇宙戦争の戦場と化しつつある。

『Grand Theft Auto Online(以下、GTAオンライン)』で、緑エイリアンと紫エイリアンの抗争が加熱している。Rockstar Gamesは一連の流れに具体的な言及はしていないものの、「レーザー武器のセール」をはじめトレンドの後押しを匂わせるキャンペーンを実施している。

日本時間で5月2日、Rockstarから気前のいい報せが届いた。『GTAオンライン』にてレーザー武器の40%オフセールが開始される。さらに5月中に本作をプレイすると、もれなくゲーム内通貨50万ドルがプレイヤーに贈られるという。一見これらは運営の太っ腹なサービスに思われるだろう。しかし昨今のサンアンドレアス事情に精通していたなら、その影にある陰謀を読み取れるはずだ。そう、“奴ら”である。

はじまりは4月の中頃だった。ごく普通のギャングと犯罪で満たされていたロスサントスの秩序は、突如として外なる襲来者に打ち壊されることとなった。市街のあちこちに、蛍光グリーンのエイリアンが集団で現れるようになったのである。宇宙人たちはUFO……ではなくバンに乗りつけて出没し、金属バットを手に通行人を取り囲む。無差別に目をつけられた通りすがりのプレイヤーは、集団リンチでほぼ確実にPKされる。ここ数週間、出し抜けな地球外生命体の侵略により多くの罪なきアウトローが命を落とした。

エイリアンの正体は、DLC「GTAオンライン:アリーナウォーズ」で追加された宇宙人風ボディスーツを着込んだプレイヤーたち。2年前に配信された衣装が今、なぜか空前の大ブームを巻き起こし「エイリアンの格好でその辺のプレイヤーをボコボコにする」というインベーダーごっこが流行りだしたのだ。祭りが始まった明確なきっかけは定かではないが、海外掲示板Redditにも「エイリアン遭遇レポート」あるいは「侵略報告」が大量に投稿され、一大ムーブメントとなっている。このままサンアンドレアスは奴らの手に落ちるのか。そう思われていたさなか、事態は思わぬ方向に動きだした。

紫のエイリアンが現れたのだ。緑の連中に対抗して、全身蛍光パープルに身をまとった集団が出現。新たなる来訪者たちは一斉にグリーンのエイリアンたちを攻撃し始めた。これに対し先行集団の宇宙人たちも容赦なく迎撃を開始する。かくしてロスサントスの各所でエイリアンVSエイリアンの全面抗争が勃発。街中で乱闘が繰り広げられ、バンによる誘拐はもちろん、飛行機に爆弾を取り付けての自爆テロまで巻き起こるようになった。もはや『GTAオンライン』は犯罪者の楽園ではない。宇宙戦争の最前線になってしまった。

ところでいっそう不可解なのが、プレイヤーたちを宇宙人コスプレに駆り立てるモチベーションの源泉である。参加者らが身にまとうエイリアン衣装はまるでドン・キホーテの宴会グッズのような見た目だが、アンロック費用は驚きの30万ドル超え。参考までに、本作では20万ドルあればガレージ10台付きの不動産物件「デル・ペロ・ハイツ7号室」を購入することができる。一見ふざけた宇宙戦争だが、その背後には身銭切りをいとわないプレイヤーたちの熱狂が隠されているのだ。繰り返すが、そのパッションの出どころは不明。

そして一連の狂乱に目をつけたのがRockstarだった。先述のとおり、5月中に本作をプレイすればゲーム内で50万ドルがプレゼントされるという羽振りのいいキャンペーンが実施されている。そして見計ったかのようにセール対象となったのが、アトマイザー・ヘルブリンガー・ウィドウメーカーといったレーザー武器だ。「レーザーの用途は様々です。DJブースに取り付けたりサメの頭に取り付けたりと、眩しい光で人々を楽しませるために使われます」。こうのたまう確信犯Rockstarは次のようにも付け加える。「その一方で、宇宙人は武器としてレーザーを使用します」。

そう考えると「50万ドル」という贈与額も意味深に思われる。緑のエイリアンスーツと紫のエイリアンスーツ、そのそれぞれの費用が30万以上。50万ドルではどうしても両方を買うには足りないのだ。我々はRockstarの手のひらの上で「緑派」と「紫派」どちらにつくかの決断を迫られているのかもしれない。

ところでグリーンVSパープルという構図にもし既視感を覚えたならば、きっと長らくのシリーズファンであろう。偶然の一致だが、16年前の作品でも緑のグループと紫のグループの戦いが描かれていた。2004年発売の『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』は同じくロスサントスを舞台に、若きギャングの一員・CJが失墜した勢力「グローブストリート・ファミリーズ」の覇権を取り戻そうと奮闘する物語だった。

ここで描かれる主人公側ギャングのチームカラーは緑色。対して敵対関係にある最大のギャング「バラス」は紫をチームカラーとしていた。奇しくも同じ街でグリーンとパープルの抗争が繰り返されているのである。もっとも、90年代を生きたCJたちもまさか自分たちの禍根がエイリアン戦争として新世紀に到来するとは思ってもみなかっただろう。

Image Credit : sexymemer69420

日ごろ殺伐としたPK環境に身を置くプレイヤーたちが、皆同じ格好で「ごっこ」遊びに興じる奇妙な現象。血と火薬に塗れたその実態に目を瞑れば、ある意味『GTAオンライン』史上もっともほのぼのした光景といえるかもしれない。5月中に本作を遊んだプレイヤーには、50万ドルのプレゼントが7日以内にメイズバンクの口座へ振り込まれる。キャッシュを手に入れ宇宙抗争に参加するなら、今がチャンスだ。

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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