海外メディアIGNは4月18日、『DOOM Eternal』のスピードランを、同作の開発元であるid Softwareのスタッフが見て反応する動画を公開した。3月20日に発売された『DOOM Eternal』のany%スピードラン記録は、4月上旬に30分を切っている。今回IGNの動画に使用されたのは、動画が収録された時点での世界記録である27分9秒のものだ。
参加したメンバーは、id Softwareのエグゼクティブ・プロデューサーMarty Stratton氏、ディレクターHugo Martin氏、リード・レベルデザイナーJerry Keehan氏、リード・ゲームプログラマーEvan Eubanks氏の4名だ。27分間のスピードラン動画を提供したのは、スピードランナーのXamide氏。動画収録時にany%スピードランのカテゴリで世界記録だった27分9秒は、同じくXamide氏によって更新され現在24分42秒(ロード時間を除く)まで縮まっている。
IGNが公開した動画「Doom Eternal Developers React to 27 Minute Speedrun」は、スピードランナーたちが発見したグリッチや、通常考えられない新ルートが盛りだくさん。開発者たちが、自分たちが開発したゲームのスピードランを見て驚いたり、笑ったりして語りあう楽しい動画だ。
動画が開始して早々、Xamide氏はグリッチで空まで大ジャンプして、開発者の面々を驚愕させる。『DOOM Eternal』のany%スピードランでは、ほかのタイトルのスピードランでも活用されることが多い衝突判定を利用したグリッチを使い、イベントやカットシーンをスキップして大幅に時間を短縮させている。
頻繁に使用されるスーパージャンプについて、Eubanks氏が解説している。マウスホイールにジャンプを割り当て、ホイールを高速で回転させてジャンプを大量に入力。斜面上に立っている、もしくは地面の端から落ちている最中にこれを実行すると、はるか空まで大ジャンプできるのだ。またこのグリッチを実行するには、高いフレームレートが必要だという。Xamide氏のフレームレートは常に190~250fpsに張り付き、いつでもスーパージャンプを行う準備が出来ている。
Stratton氏をはじめとする開発者たちは、ゲームの世界の外まで到達したら、巨大な文字で「おめでとう」と表示されるイースターエッグを仕込んでおこうかと冗談を言い合う。また、開発者が意図しない場所を通った場合、スキップできないカットシーンが強制的に再生されてスピードランの邪魔をするアイデアに盛り上がっていた。
高速でマップを駆け抜けるXamide氏だが、エレベーターを使う場面は移動できずスピードランのペースが落ちてじれったそうだ。これに気が付いた面々は「ドアとエレベーターの速度をもっと遅くしてみよう」「数秒だけエレベーターを止めてみたらどうか」と、ちょっとした嫌がらせを思いついてしまった様子。
空をスーパージャンプで駆けていくスピードラン動画のため、作りこんだ景観がほとんどスキップされてしまう。映るのはほぼマップの外の背景で、まるでスカイボックス(背景)ツアーとも。しかしそんな中でも、星が空に瞬く終盤のステージ「ネクラヴォル」の背景はStratton氏のお気に入りだという。大変急ぎ足な開発者コメンタリーとしても楽しめるかもしれない。
開発者一同は、Xamide氏のゲームの腕前には素直に感心している。バグを使用していない場面では、敵スポーンのタイミングを把握するなど、よく研究された精密なゲームプレイを観察できるはずだ。そんな「Doom Eternal Developers React to 27 Minute Speedrun」、スピードランとしてだけでなく『DOOM Eternal』開発者が愉快に語らう動画として是非見ていただきたい。