インディースタジオBmc Studioは2020年5月1日、『Each Sale I Drink a Glass of Water』をSteamにて発売する。タイトルのとおり、本作は「ゲームが売れるたびに、1杯の水を飲む」というもの。その異色のテーマが、SNSなどで話題を呼んでいる。開発者自身も「ゲーム/実験(game/experiment)」としているように、実験的な意味合いが強い作品になりそうだ。
本作のシステムはシンプル。ゲームが売れるたびに、開発者が1杯のグラスの水を飲む。そして、実際に水を飲む映像がゲーム内に追加されていく仕組み。水を飲む映像は、毎週金曜日にまとめて追加されるようだ。なお本作は早期アクセスとして販売されているが、この早期アクセスは「実験期間」でもある。12か月の早期アクセスの間に、売れたゲームの数だけ水を飲み、その水を飲む映像が投稿される。最初は3種類の「飲む映像」が存在しているといい、ここに映像が追加されていく仕組み。
正式リリース版は、これまで投稿されてきた水飲み映像をたっぷり堪能できる。が、どれだけ堪能できるかは、1年間でどれだけ売れるかにかかっているだろう。正式リリースにあたっては、販売価格の上昇などはおこなわれないが、開発者は「ゲームが売れるたびに、コンテンツが膨らんでいくぜ!」と意気込んでいる。
開発元であるBmc Studio は、カナダに住まうクリエイターAlain Lagacé氏による個人スタジオ。『Each Sale I Drink a Glass of Water』の映像に出てくるのは、このLagacé氏である。チャレンジ精神にあふれるLagacé氏は、YouTubeにTikTokにPatreonにグッズ販売と、とにかくなんでもやっている。ゲーム開発・販売もそのうちのひとつ。これまでも実写映像と、ほのかなゲームエッセンスを組み合わせた、形容しがたい奇天烈作品を生み出してきた。デビュー作は、実写映像とGameGuruを組み合わせたという、素材だけでもかなりキツめのゲーム『Kimulator : Fight for your destiny』。その奇妙さから一部話題を呼び、続編も作られた。
ただし、一見さんお断り路線が続きすぎたのか、話題の新鮮味がなくなったのか。同系統の実写映像を盛り込んだ作品をマイナーチェンジしながらリリースしていたが、以前ほど注目を集められなくなっていた。反面、『Each Sale I Drink a Glass of Water』は、初心にかえったのか、わかりやすさに訴求したテーマ性に仕上げられているだろう。本作はそもそもゲームなのかという疑問が勃発しているが、「ではBmc Studioの今までの作品もゲームだったのか」というもうひとつの疑問がつきまとう。とあるSteamユーザーは「インタラクティブなアート実験だ。普通のウォーキングシムよりはゲームプレイ的だろう。」との見解を示している。
いずれにせよ、『Each Sale I Drink a Glass of Water』がどれだけ盛り上がるかは、どれだけ売れるかにかかっていて、どれだけ売れるかは定価がいくらなのかという部分がポイントになってくるだろう。同作は、Steamにて5月1日に発売予定。興味深い企画ながら、水分を過剰に摂取することにより発生する「水中毒」なる中毒症状も存在するので、マネをすることはやめておこう(Wikipedia)。また開発者にも無理のない企画進行をしてほしいところだ。
【UPDATE 2020/4/19 15:10】
水中毒について加筆