「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」パブリックコメント原本が報道により一部公開。ローカルIPアドレスによる疑惑も

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香川県で、4月1日に施行された「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」。その内容はもちろん、香川県議会で可決に至ったまでのプロセスも大いに問題視されているが、疑惑のあったパブリックコメント原本の内容を、KSB(瀬戸内海放送)が報じている。KSBの公開した情報によれば、パブリックコメント原本にはローカルアドレスから同じ文面で送られた賛成意見が大量に含まれており、ますます疑惑が強まっている。

KSBの公開した動画からのスクリーンショット

香川県ネット・ゲーム依存症対策条例とは、インターネット・コンピューターゲームの過剰な利用が、子供の学力・体力の低下、睡眠障害、視力障害といった問題を引き起こしているという指摘を根拠に、保護者やインターネットおよびゲーム関連事業者に対して責務や対策の実施を求めるもの。条例施行後の香川県では、18歳未満の子供のコンピューターゲームの利用について、1日の利用時間を60分(休日は90分)、同じくスマートフォンなどの使用については22時までを目安に家庭でルール作りを行い、保護者はそのルールを遵守させるよう努めなければならない。また、インターネットおよびゲーム関連事業者に対しても、自主的な規制を行うなど県民がネット・ゲーム依存症に陥らないために必要な対策の実施をするものとされている。現在罰則は規定されていない。条例の施行後2年を目処に、条例の施行状況などを考慮し必要があると認められれば、必要な措置が行われる。

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本条例は、2019年9月に制定へ向けた初会合が実施された。2020年1月20日に実施された検討会で、スマートフォンなどの使用を平日60分(休日90分)に制限する内容から、ゲームを対象にしたものへ変更。2020年1月23日に香川県内に住所を有する方とインターネットおよびゲーム関連事業者を対象にしたパブリックコメントの募集が開始。通常の約半分の募集期間であったにも関わらず、反対意見が事業者67者および香川県内の個人333人、賛成意見が香川県内の個人2268人から寄せられ、合計2613人と2団体、事業者71者という異例の数のパブリックコメントが集まった。その後、2020年3月12日に行われた条例検討委員会で、パブリックコメントが賛成多数であったことを踏まえて採決する方針が固められ、3月18日の議会で可決。4月1日に条例として施行された。

しかし、本条例に対しては多くの問題も指摘されてきた。集まったパブリックコメントの数が、香川県がこれまで行ってきたパブリックコメントの数や、省庁が実施したパブリックコメントの件数と比べても多い事実。パブリックコメントの全文が3月12日の条例検討委員会までに公開されず、十分な検討が行われなかったという指摘。後に委員向けに公開された際には、賛成意見の多くが同じ書式だったとする証言もある。また、こうした状況が賛成のパブリックコメントが募られたという疑惑を強めていた。香川県ネット・ゲーム依存症対策条例には、根拠の提示されていない条例自体の問題に加えて、可決へ至ったプロセスにも多くの疑問が持たれているのである。

そうした疑問に対する答えが、KSBが報道したパブリックコメント原本だ。KSBによると、賛成意見にはいくつかのパターンがあり、”皆の意識が高まればいい”という意見が173件、”明るい未来を期待して…”が140件、”ネット、ゲームが子供達に与える影響様々ですので、賛成”が136件と特に多かったという。また公開された動画では、氏名/年齢/住所/E-Mail(電話)が黒く塗りつぶされた資料の数々が映されており、コメント本文以外に件名、日付、ADDR、USERAGENTといった項目が確認できる。

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この内、ADDRとはアドレスを意味するもので、右側にはどこから送信されたのかを示すIPアドレスが記載されている。動画内では同じ「192.168.7.21」というIPアドレスが並ぶ。同一IPから送信された事実を示しているが、それ以上にこのIPアドレスはローカルIPアドレスであり、同一ネットワーク内、つまり県庁内のPCから送信されたと読み解ける。県庁内のPCから大量のパブリックコメントが送られたのなら、とてもパブリックとは呼べないコメントが紛れ込んでいたことになるが、同庁内のシステムがはっきりしていないため、別の可能性もある。

KSBの公開した動画からのスクリーンショット

ねとらぼの取材に対し、香川県県議会事務局は「香川県議会ホームページにご意見・お問い合わせというフォームがあり、そこから送られたものを印刷するとどれもこのような表示になります」と答えている。香川県ネット・ゲーム依存症対策条例に対するパブリックコメントは、郵送・持参・FAX・電子メールで募られていた。フォームは対象外とされていたが、資料には使用ブラウザが記されたUSERAGENTの項目や、件名および差出人にもフォームからの内容だと示す記載があり、県議会事務局の説明と合致する。ご意見・お問い合わせのフォームから、同じ内容の大量のパブリックコメントが、相次いで送られた事実は変わらないものの、ローカルIPアドレスだけを根拠に本件を判断することはできないだろう。

今回の報道で明らかになったのは、似たような文言のパブリックコメントが大量に寄せられていたことだ。原本の公開を含め、事実が少しずつ明らかになるとともに、県議会への疑惑はますます強まっている。

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