『ポケモンGO』のランクマッチ「GOバトルリーグ」で意図的に負け続けるプレイヤー続出。歪かフレンドリーか、ポケGO流マッチング


『ポケモンGO』の新たなコンテンツとして今年より稼働している「GOバトルリーグ」。同コンテンツにて意図的に「負け続けるプレイヤー」が続出しているとして話題を呼んでいる。なぜプレイヤーたちは負け続けるのか、そしてそれは問題なのか。『ポケモンGO』に導入されたレーティングシステムが、このような結果を生んでいるようだ。

「GOバトルリーグ」は、その名のとおりポケモンたちが戦うバトルリーグである。一定歩数を歩くこと(もしくはポケコイン使用)で参加資格を得られ、オンラインを介したポケモンバトルが繰り広げられる。バトルのベースは、これまでの対戦と同様ながらもよりガチな戦闘に。期間で区切ったシーズン単位で戦いが展開され、勝敗に応じてランクが変動していく。

ランク報酬などが存在し、勝ちを重ねればほしのすなを中心としたさまざまなリワードが入手でき、さらにレアポケモンと遭遇可能となるのだ。色違いや高個体値ポケモンのほか、伝説のポケモンも登場する。プレミアムバトルパスを使用することでリワードもレベルアップ。ランクは10まで用意されており、上に行くほど報酬は多くなる。しかし一方で、わざと負けるプレイヤーは少なくないという。なぜなのだろうか。

押さえておきたい点としては、本作においては一定のランク帯まで、ランク戦で負けることでの“デメリット”が存在しないのだ。ランク7までは「一定回数バトルをこなす」「一定回数バトルに勝つ」ことでランクが上がっていく。それまではいくら負けても、ランクは下がらない。ストレスがたまること以外に目立ったデメリットはない。一方で、マッチング自体は自分と同程度の成績のプレイヤーとなされる。負ければ負けるほど、戦績が悪いプレイヤーとマッチングしやすくなり、勝ちやすくなる。そうすると負け続けることがランクを上げる近道になりえるのだ。

ランク戦を導入するゲームにおいては、負け続けることでランクを下げる措置をとるゲームが多い。もしくは、ランクを一度上げるとレーティングが0になり、同ランク帯でのレーティングは変動するものの、ランク下げがおこなわれないケースがほとんど。代表例としては『ポケットモンスター ソード・シールド』がそれだ。本作のように、負けのペナルティがないランク戦というのはなかなか珍しい。『ポケモンGO』の「GOバトルリーグ」においては、負けることを許容しているともいえる。

一方で、ランク7からは、このような手法をとることでランクを上げることができない。というのも、レーティングが導入されているからだ。負け続けるとレーティングが下がり続け、ランクが上がることはない。わざと負けることは、「レーティング上」はデメリットとしかなりえない。しかしながら、本作には勝利報酬が存在する。ふつうのリワードで5戦中4勝、プレミアムリワードで5戦中2勝することで、レアなポケモンと遭遇できやすくなるといったもの。レートを一気に下げつつ、戦績が悪いプレイヤーを相手に安定した勝利を稼ぎ、良いリワードを狙うことも可能。人気の伝説ポケモンと出会うためには、上位帯においてもわざと負けることは効果的なのである。

『ポケモンGO』では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、外に出ることなく遊べる「GOバトルリーグ」を一時的に無償化し、あわせてリワードを強化し続けている。リワードの価値はどんどん大きくなっている。そんな中、リワードを得るために意図的に負けようとするプレイヤーが出てきている、というのが顛末となる。

ランクマッチで負けることにメリットが生まれるというのは、対戦コンテンツとして一見歪。一方で、ある意味では、ランク7までは粘り続ければ誰でも到達でき、メリットを得られる初心者フレンドリーな構造にもなっている。「意図的に負ける」プレイヤーの対戦相手は、その恩恵を受け取れる。しかし、わざと負けられることに対し、フェアプレイ精神の欠落を感じ取るプレイヤーもいることだろう。対戦は勝つことだけでなく対戦プロセスも醍醐味で、それらが阻害されかねない。

一概に良し悪しは決められないが、ランクシステムの構造を考えても初心者フレンドリーを強く意識していることは間違いない。ランク7まではチュートリアルとも言える。ランク4から伝説のポケモンの捕獲チャンスが生まれ、たとえば今ならコバルオンの獲得チャンスがある。ランク10に到達するメリットは現時点では「マスクド・ピカチュウ」が好きすぎるプレイヤー以外は、さほど大きくない。より幅広い層が楽しめるコンテンツを作ろうとしている意気込みが感じ取れる。シーズン1が開始されたばかりの、楽しくも歪な「GOバトルリーグ」のランクシステムは、どのように変化していくのか。その過程を見守るのも面白くなりそうだ。
【UPDATE 2020/3/27 9:30】
レーティングが導入されるランク帯を、ランク7へと修正