『ゴーストリコン ブレイクポイント』のサム・フィッシャー、主人公ノマドを「スネークイーター」と呼ぶ。「バンダナを巻いた男」の引退を偲んだサムの新たな希望

『ゴーストリコン ブレイクポイント』のサム・フィッシャー、主人公ノマドを「スネークイーター」と呼ぶ。『ゴーストリコン ブレイクポイント』にて過酷な環境下で生き抜き、単身潜入のプロと化したノマドにかけられた言葉。

Ubisoftは3月25日、『ゴーストリコン ブレイクポイント』のイヤー1パス所有者向けストーリーコンテンツとして、エピソード2「ディープ・ステート」を配信した(当初24日配信予定だったが、メンテナンスの延長により25日配信)。ディープ・ステート(闇の政府)のストーリーミッションでは、『スプリンターセル』シリーズの主人公サム・フィッシャーが登場。コードネームを「ディープブルー」に改めたサムと、『ゴーストリコン ブレイクポイント』の主人公ノマドが再び共闘する。

再び、というのは、2人は前作『ゴーストリコン ワイルドランズ』でも共闘したからだ。こうしたクロスオーバーコンテンツでは、何かしらのイースターエッグが差し込まれることが多い。『ゴーストリコン ワイルドランズ』のサム・フィッシャー関連ミッションでは、サムが「バンダナを巻いた男」の引退を偲ぶ一幕が見られた(関連記事)。『メタルギアソリッド』シリーズのスネークを示唆するやりとりであった。今月公開された「ディープ・ステート」のティザーでは「レア度分けされた武器ってのをよく耳にするんだが?」と発言しており、メタ視点の台詞が目立つサム(『ゴーストリコン ブレイクポイント』の武器には、装備レベルやレア度の概念がある)。そうした経緯があるがゆえに、再登場を果たす彼が次に何を言うのかは、注目ポイントのひとつとなっている。

*以下、『ゴーストリコン ブレイクポイント』エピソード2「ディープ・ステート」のサム関連イベントに関するネタバレあり。任務ターゲットの正体に関しては伏せている

その前に、そもそもなぜサム・フィッシャーが『ゴーストリコン ブレイクポイント』の世界にやってきたのかという疑問を解消しておこう。エピソード2「ディープ・ステート」の物語は、主人公ノマドが、元CIAエージェントのヴィクター・コステに接触するところから始まる。『スプリンターセル』シリーズに登場する、サム・フィッシャーの親友だ。コステからサムの居場所に関する情報を入手し、前作の舞台ボリビアでの合同任務以来となる再会を果たす2人。サムは、数か月前からアウロア島に潜入していたという。

ではサムは、何が目的でアウロア島にやってきたのだろうか。彼の任務は「ストラテジスト」の身柄確保。世界中で特技兵の拉致事件が続出しており、その首謀者とされている人物だ。アウロア島で極秘研究をおこなっているとの情報を得たサムは、ストラテジストを議会に引き渡せば、アウロア島への軍事介入が可決されるかもしれないとの狙いのもと、調査を進めている。ノマドがサムの任務に協力する個人的な動機としては、『ゴーストリコン ワイルドランズ』にも登場したゴースト部隊メンバーのミダスが、ストラテジストに囚われ拷問を受けていることが明かされる。かくして、謎の男ストラテジストの正体・居場所の特定および島からの脱出方法確立のため、情報収拾を開始する。

ミッション構造自体は、ストラテジスト関係者の居場所を見つけて、彼らのお願いごとをこなして情報・技術を提供してもらうという、ゲーム本編でも見られた構造が大半。ただしステルス要素に重きを置いているミッション目標が多め。敵兵襲撃イベントも頻発する。7時間以上相当のコンテンツと開発元より説明されており、実際の所要時間は難易度や「ゴースト体験」設定次第で変動する。

そして今回注目したいのは、任務を終えたサムがノマドに語りかけるシーン。任務に関連したやりとりを終え、去り際に「なあ…」と声をかけるサム。彼は、「エシュロンにはお前のようなスネークイーターに会いたがる奴がいるぞ」とノマドを誘う。ノマドは「訪問はまたにしておく。まだやるべきことがあるの」と返す。「スネークイーター」は、過酷な環境下でも自力で生き抜ける特殊部隊に付けられる呼び名。アウロア島に墜落してから単身で任務を遂行してきたノマドにふさわしい名だ。同時に、かつてサムが「バンダナを巻いた男」と称したスネークが登場する『メタルギアソリッド』シリーズ作品のうち、『メタルギアソリッド3』に付けられた副題でもある。なお『メタルギアソリッド3』のミニゲーム「猿蛇合戦」には、スネークがサム・フィッシャーを示唆する台詞があった。これまでのサムの発言および分脈を考えると、2つの意味を掛けたワードチョイスと考えられるだろう。

かつては「バンダナを巻いた男」という同業者の引退を受けて「そうか…」(英語版では、「もう俺しか残っていない」)と、一抹の寂しさを感じさせる言葉を残していったサム。当時彼はノマドに対し「お前は腕がいい、これからも油断するな」と声をかけていた。優秀な後輩に語りかけるような仕草であった。今回はノマドのことを「スネークイーター」と呼んでいるように、実力をより一層認めているように感じる。しかもただ優秀なだけでなく、サムが所属するエシュロンが興味を持つであろう人物とみなしている。

以前は単身潜入を専門とする同業者がいなくなったことを悲しんでいたサムだが、いまやノマドは、仲間を失ったアウロア島での経験を経て単身潜入のプロへと成長した。今回配信されたディープ・ステートでは、「エシュロン流」のステルスミッションもこなしている。戦闘兵器の破壊も小慣れたものだ。「バンダナを巻いた男」はもう戻ってこないかもしれないが、ノマドという新しい同業者の誕生を、サムは密かに喜んでいるのかもしれない。

エピソード2「ディープ・ステート」の報酬スキンにより、姿をサムに変えたノマド
Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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