アメリカ・シカゴのデベロッパー/パブリッシャーであるJackbox Gamesは3月20日、2016年にリリースしたお絵かきパーティゲーム『Drawful 2』の無料配布を開始した。配信経路はSteamやApple TVなどで、期間は日本時間で2020年4月11日14時まで。ダウンロードしたゲームは無配期間の終了後もライブラリから遊ぶことが可能だ。ただし配布されるゲームの数には上限があるほか、無料配布にてゲームを入手した際にはトレーディングカードがドロップされない。
本作はJackbox Gamesが過去にリリースしたパーティーゲーム集『The Jackbox Party Pack』に収録されたミニゲームを抜粋・拡張した作品だ。まず1人がお題を与えられ、それに沿った絵をスマホやタブレットで描く。そして周囲のプレイヤーは完成したイラストを見て、もとのお題が何だったのかを推測したタイトルを提出。最終的にみんなで「正解」と思われるお題に投票し、正しいものが当たれば絵の作者と回答者にポイントが入る。ルール自体はシンプルなお絵かきクイズだ。
しかしゲームから与えられるお題がクセモノである。例を挙げると「水差しとナチョス」、「ロボコップの誕生日」、果ては「トロンボーンによる死」。題材として与えられるのはシュールで一癖あるものばかりで、描き手は60秒という制限時間にひどく苛まれることになる。悩みながら筆を進める過程で、なぜか本作が「消しゴム機能」を頑なに排除していることも苦行に拍車をかけるだろう。完成する作品は、たとえ絵心のある人であってもおおむね惨憺たる出来栄えになる。
したがって次のシークエンスで「もとのお題を当てる」のが自然と困難になるのだが、実はこのゲームは正しい答えを見つける以外にもポイントを得る手段がある。タイトル候補の提出時、あえて間違った——しかし的を射た題名をつけることも可能なのだ。その「見立て」が思わず他の回答者をうならせるものであれば、最後の投票で周囲のプレイヤーから支持を得ることができる。そして、もしそれが正解のお題ではなかったとしても、人気を集めた回答者にはポイントが与えられるのだ。たとえば本来のお題が「シワシワのベッドシーツ」だったのに対し、誰かがその絵を「死んだサルバトール・ダリ」とかなんとか名付けてウケれば勝者になりうるということだ。難解なお題で誕生する悲惨な絵、そこでいかに気の利いたタイトルをつけるかが参加者の腕の見せ所となる。
『Drawful 2』は基本的には3〜8名のプレイヤーを想定している。しかしながら本作はTwitchによるストリーミングにも対応。ネットを介して1万人のオーディエンスによる投票を楽しむことも可能だ。配信との連携にあたっては攻撃的な絵やタイトルを排除したり、アカウント認証により匿名荒らしを防いだりと、万全のセキュリティ対策を備えている。一方、身内と遊ぶときには自分でクリエイトしたお題を忍ばせ、他人様にはお見せできないお絵かきバトルを繰り広げることも可能。内輪ネタ連発の、よりプライベートなお絵かきバトルを繰り広げることもできる。
Jackbox Gamesが今回のフリー配布に踏み切ったのは昨今の新型コロナウイルスによる情勢を懸念してのことのようだ。自社ブログでは「暗い期間にあって、つながりと幸せの瞬間を体験する手助けをしたい」とコメントしている。現在、無料で本作をダウンロードできるのはSteamとApple TVで、期間は2020年4月11日14時まで。またアメリカのニンテンドーeショップではNintendo Switch向けに99%オフで本作を購入可能とのことだ。また『Drawful 2』は上記以外にも多数のプラットフォームで配信されており、Jackbox Gamesは各所と連携しながら今後数週間でさらなる配信経路の拡大を目指しているという。日本語には未対応ながら、多少言語がわからなくとも十分楽しめる作品といえそうだ。