マイクロソフトは3月11日、『Ori and the Will of the Wisps』をPC/Xbox One向けに発売した。価格はSteam(PC)では3132円、Microsoft Store(PC/Xbox One)では3150円となっており、日本語表示に対応する。
本作は、オーストリアのデベロッパーMoon Studiosが手がけるアクションゲーム。2015年に発売され高い評価を得た『Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)』の続編だ。
『Ori and the Will of the Wisps』の主人公は精霊のオリ。前作のその後の物語を描いており、オリは親代わりのナルや冒険で出会ったグモ、そして新たに生まれたフクロウのクゥと共に平和に暮らしていた。クゥはうまく羽根が生え揃わず飛ぶことが苦手だったが、とあるきっかけにより克服し、オリを背中に乗せて大空へと羽ばたく。しかし、嵐に巻き込まれたふたりは離れ離れになってしまい、ここから新たな冒険が始まる。
本作はメトロイドヴァニアスタイルのゲームプレイを引き続き採用しており、広大なマップを探索し、パズル要素をこなしたり新たな能力を得ることで探索範囲が広がっていく。能力には、砂地に潜るようなものも存在する。また、そうした基本的なアクションのほかに、任意に装備できるアビリティも登場。たとえば壁につかまる能力や、攻撃やギミックの発動に使用できる弓などが装備可能だ。モンスターとのバトルでは、精霊の刃と呼ばれる近接武器をメインに戦う。前作での精霊の炎よりもリーチが短いため、立ち回りがより重要になるだろう。
さまざまなキャラクターと出会い会話を交わせることも、前作からの違いとして挙げられる。その中では、目指すべき目標や世界観についてのヒントをもらったり、サイドクエストを請け負うことができたり、あるいは新たな攻撃手段やアップグレードなどを購入することもできる。そうして幻想的な世界を進み、強大な敵とも対峙しながら、クゥを探す旅を続けるのだ。
『Ori and the Will of the Wisps』は、前作のゲームプレイを踏襲する部分を持ちながら、システムやメカニクスを大きく拡張。また、美しいビジュアルや音楽もさらに磨きがかかっている。レビュー集積サイトMetacriticではメタスコア91という高評価。満点をつけるメディアも複数存在する。また、Steamでのユーザーレビューも、本稿執筆時点で90パーセントが好評とする「非常に好評」を獲得している。
開発元Moon Studiosは、前作に続きその実力を証明した形だと言えるだろう。同スタジオはオーストリアに拠点を置いていると先述したが、スタッフ全員がリモートワークをおこなっていることでも知られる。前作では20名が、そして新作では80名のスタッフが、世界43か国に散らばるそれぞれの自宅にて開発作業をおこなっていたという(GamesIndustry.biz)。
共同設立者のThomas Mahler氏によると、最初からそうしたスタジオにしようと計画していたわけではなく、異なる国に暮らす一緒に働きたいと思う人物に声をかけ、遠隔で共同作業をすることを続けているうちに、同スタジオの成功に繋がる戦略になったという。つまり特定の地域に縛られず、また就労ビザの取得も引越しを求める必要もないため、世界中の有能なスタッフを雇えるということだ。
ただ、リモートワークでのスタッフの数が80人にもなると、誰が何の作業をおこなっているのか把握しきれなくなったという。そのため、部門ごとにリードスタッフを指名し、独自のコミュニケーションツールも制作して意思疎通を図ることにしたそうだ。さらに年に一度は大きな別荘を貸りて、全スタッフが一堂に会する機会も設けているとのこと。一方別の問題として、一人暮らしのスタッフの場合はリモートワークは孤独に苛まれることもあるそうで、耐えきれなくなってスタジオを去ったスタッフも、数は少ないもののいたという。
そうした難しい側面もありながら、Moon Studiosにおいてリモートワークは、素晴らしい作品を生み出すための一種の手法として定着しているようだ。Mahler氏は、同スタジオは会社というよりもバンドのようなものだと表現。ヒエラルキーは存在せず、ゲームについて誰もがアイデアを出し合うことができる環境だという。そうして生み出された『Ori and the Will of the Wisps』が非常に高い評価を得たいま、同スタジオは次にどのような作品を手がけるのか興味深い。
『Ori and the Will of the Wisps』は、Steam(PC)およびMicrosoft Store(PC/Xbox One)にて販売中だ。