『FF15』のGoogle Stadia独占コンテンツが混沌


スクウェア・エニックスは2019年11月に『ファイナルファンタジーXV』をStadia向けに配信していた。Stadiaは、Googleによるクラウド型ゲームサービス。同サービスの立ち上げにあたって、スクウェア・エニックスが2016年に発売した看板シリーズの最新ナンバリングタイトルを、ローンチタイトルとして提供していたわけだ。Stadia版のリリースに際しては、独占の追加コンテンツ「Crazy Challenge」を用意。それらのコンテンツのゲームプレイ動画が今になって報告され、その内容が混沌としていると話題にあがっている。

「Crazy Challenge」には、4つのミニゲームが用意されている。ミニレガリアで駆け抜けるレースゲームライクな「CHALLENGE RALLY」。レガリア TYPE-Fで制限時間内にゴールするスカイレース「MAGNA FLIGHT」。装備変更不可やステータス固定といった制限付きで、デスゲイズなどボスとの戦いが楽しめる「EXPERT DUEL」、魔導インビンシブルを着用し死力を尽くし戦う「ENDLESS MAGITEK ARMOR」。いずれも本編のメカニックを流用したミニゲームである。今回、これらのコンテンツのうち「CHALLENGE RALLY」が注目されたようだ。

発端となったのは、TwitterユーザーのNoah Sanchez氏の、ゲームプレイ映像をまじえた一連のツイートである。「CHALLENGE RALLY」にてミニレガリアが、ミサイルなどから逃れながら所定のコースを走っているが、突然車が横転。謎の引力にひきよせられ、カメラがぐちゃぐちゃに回り続ける。横たえた車は、そのまま地を這うように進んでいく。「noctis r u ok(ノクティス、生きてるか)」と添えられたメッセージが、その光景のシュールさを際立てている。

公開されているプレイ映像はこれだけではない。レース中にまたしても横転したミニレガリアは、空中を飛び回ったのちコンテナに囲われたエリアに着地。どうやらコースアウトしたようだ。しかしコースに戻ることはできず途方にくれている。どうやら物理演算が暴れることにより、同現象が起きているようだ。カーブしようとすると、横転する傾向にあるという。またレガリアType-Fに乗る「MAGNA FLIGHT」についても映像を公開。車やキャラが引き寄せられ、コミカルな効果音を鳴らしながらレガリアType-Fが空を進む同ミニゲームについては、「This is… um」と微妙なコメントを残した。

『ファイナルファンタジーXV』は、スクウェア・エニックスがおくる大作である。発売当初はややラフなローンチを迎え、DLC3本が中止となるなど、紆余曲折を経た作品としても知られる。しかしながら、リッチなビジュアルや、エリアにより特色あるそれなりに広いフィールド。青年たちによる絆をまじえた旅情体験に、アクション要素をまじえた爽快感のある戦闘など、見張るべき点は非常に多く根強いファンも存在する大作。そんな大作のミニゲームがかなり混沌としているとして、注目されているようだ。

Stadia版『ファイナルファンタジーXV』は冒頭に述べたように昨年末に配信開始されていたが、このタイミングで注目を集めているのは、Stadiaユーザーが他サービスよりも少ないことが関係していそうだ。同サービスの目玉のひとつである『Destiny 2』においては、2020年2月時点でStadia版をプレイするユーザーが全ユーザーの1%未満であると、APIを読み取るサービスによって報告されていた。単純にユーザー数を確保できていない。またStadiaは日本向けに展開されておらず、国内の『ファイナルファンタジーXV』ファンはこうしたコンテンツをさわることができない。実際のところ、Stadia版の『ファイナルファンタジーXV』のゲームプレイ映像は、YouTubeのようなメガプラットフォームでも発見できないのだ。TwitterユーザーNoah Sanchez氏は稀有なゲームプレイ映像をあげており、それゆえに今回のように注目を集めたのだろう。

なお同氏は『ファイナルファンタジーXV』を批判しているかというと、まったくそうではない。ストーリーやその旅路を楽しんでおり、Twitterでもその内容を報告している。単一ユーザーの報告であるので論拠に乏しく、ミニゲーム「CHALLENGE RALLY」が、物理演算が怪しいラリーゲームであるとも断定はできない。しかしながら、結局のところStadia版『ファイナルファンタジーXV』が日本国内からプレイできない以上、その内容を確かめる術もなさそうだ。